2017/12/31

Look Back 2017 ゆく年来る年

さて今年も関西に帰っての大晦日、元旦を迎える。
まったく個人的なマイニュース2017を最後に振り返ってみる。
今年もいろいろ盛りだくさんな1年だった。みなさん、ありがとうございました。
マイ・ニュース、ベスト3をあげるとこんな感じ。

 1.長女、自転車のコマが外れる。長男、泳ぎ始める。
 2.武蔵野クリーンセンター、グッドデザイン賞受賞 
 3.トロールの森2017に大学研究室で出展 

以上です。
みなさん、よいお年を。新年は9日からスタートします。(TM)

2017/12/30

Look Back 2017 その2

 昨日に引き続き、全く個人的なマイ・ベスト2017。今日は音楽編。今年も音楽メディアの購入は例年に比べて比較的少なめ。理由は昨年同様はっきりしていて、アナログレコードの置場が家になくなってきて、なかなかドッチャリと購入できなくなってきた、という物理的な課題があるのです。
という訳ですが、今年は数えてみると61枚のレコード&CDを購入。相変わらずアナログレコードとCDを並行して購入している。世間的にはCDの売り上げが壊滅的なのに加速度がついており、ますます「どうなっていくのやら」という感じ。個人的な感想だが、今年はロック・アルバムでいいのがなかった(そうでもないかな?。。。)。そこで、ジャズ系も含めて、ということで。
さて、2017年のマイ・ベストを選んでみる。
順番はこんな感じ。
 1位:『Colors/ Beck
 2位:『Carry Fire/Robert Plant
 3位:『The Passion Of Charlie Parker/Larry Klein(プロデュース)
 4位:『Vu ja De/細野晴臣
 5位:『ニマイメ』/Scott&Rivers
 別枠:『Baby Driver/O.S.T

 今年は、もう圧倒的にベックの新譜が最高だった。前作がグラミーのベスト・アルバム賞受賞作で、非常に内省的で繊細な作品だったが、今作はそれとはある意味正反対の、まさにポップ曲群の玉手箱。王道のポップスターがいなくなってきた昨今、ベックがついにこの境地に辿り着きつつある、と思わせる大傑作。2位はロバート・プラントに。2000年以降のソロ作品は、どれも外れ無の名作で、本作も素晴らしい。若いころは、ツェッペリンはジミー・ペイジのバンド、というイメージだったが、改めてロバート・プラントの偉大さを感じさせる。でもあまり評価されていないような。。。。3位からはロックではなくなってしまうのが、今年の寂しいところ。まあ、でも、良しとしよう。本作は、チャーリー・パーカーもののコンピレーションだが、ラリー・クラインの編曲の元、マデリン・ペルーやグレゴリー・ポーターなどの錚々たるヴォーカリストが参加していて聞きごたえ満点。楽曲を新たに構成しなおしてて、アルバム全体でひとつのコンセプトをつくっているので、こうなったらもうオリジナルと捉えてもいいのではないか、と思ってしまう程の良作。4期は細野さんのニュー・アルバム。カバーとオリジナルの2枚組構成になっているが、まさに細野節全開!で素晴らしい。CD自体のつくりこみも非常にアナログな感触がして、これもまた素晴らしい。5位に再び、ロックアルバムをあげた。これも企画モノだが、ウィーザーのフロントますのリヴァース・クオモとスコット・マーフィーによる、日本ポップスの再構築(しかも、歌詞も日本語)作品。ウィーザーの新作を入れずに、こちらを入れさせていただく。
 ここには挙げなかったが、コートニー・バーネット&カート・ヴァイルのコラボアルバム、ランディ・ニューマンの新譜(何と日本盤発売なし。やれやれ。。)、スティーヴ・ウィンウッドのライブ盤(ワオ!でも、こちらも日本盤発売なし(泣))も、傑作だったということにも敬意を表したい。それと、忘れてはならないのが、『ベイビー・ドライバー』のサントラ。映画の中の全ての楽曲を収録した、100分超、2枚組は一家に一枚、という感じ。
 さて、そんなこんなで2017年もたくさんのいい音楽に出会えた。さて、2018年はどんな音楽に出会えるでしょうか!(TM)

2017/12/29

Look Back 2017 その1

 2017年もいよいよラストです。と、いうわけで例年、誰に頼まれる訳でもなく勝手にやってますが、全く個人的なマイ・ベスト2017を振り返り
で、今日は映画編。
映画はまず映画館のスクリーンで観るべし、という主義。若いころ(学生時代)は本当にやることがなかったので、映画館に入り浸っていましたが、さすがにもうそんなに行く時間はなくなってしまっている。そんな中で厳選して観ているような感じと、いいながら何やかんやでおおよそ25本鑑賞した次第。今年のマイ・ベスト5はこんな感じ。
 別枠『T2 トレインスポッティング2』/ダニー・ボイル
 1位『ギミ―・デンジャー』/ジム・ジャームッシュ
 2位『ありがとうトニ・エルドマン』/マーレン・アーデ
 3位『お嬢さん』/パク・チャヌク
 4位『夜は短し歩けよ乙女』/湯浅政明
 5位『ザ・コンサルタント』/ギャヴィン・オコナー
   『ナイス・ガイズ』/シェーン・ブラック
   『ベイビー・ドライバー』/エドガー・ライト
 今年も、いきなり、別枠ですみません(!)。しかもベスト5と言いながら8作品を選出。。。『T2』は作品の出来はさておいて(って身も蓋もありませんが。。)、これは、あまりに特別なため別枠シードとさせていただいた(詳細は、本ブログの2017/4/27をご覧ください)。
 さて、『T2』を外して、何と、『ギミ―・デンジャー』を1位にした。ドキュメンタリーを同列に入れていいのか?、ということもあるが、これも非常に個人的な感想での1位。はっきり言って誰も泣くような映画ではない(と思う)が、映画後半から号泣してしまったのは個人的には忘れがたい(その勢いで今年の設計演習の課題を決定してしまったのは、本ブログ2017/10/18を参照ください)。ここでジム・ジャームッシュを入れてしまったので、個人ランクでは3位に入れたいところの『パターソン』を選ばないことに。でも、とにかくジャームッシュの2作品は非常に良かった。
 2位は『ありがとうトニ・エルドマン』。『ギミ―・デンジャー』はドキュメンタリーだったので純粋なフィクションの映画で言うとこれが今年の1位。ドイツ映画だが、作品のストラクチャー、俳優の演技とも申し分ない傑作。脚本上の超意外なアクセントやユーモアのセンスも抜群。劇中のホイットニー・ヒューストンの楽曲が使われているシーンなど涙無くしては見れない。
 3位は韓国映画『お嬢さん』。今年はカッ飛んだ韓国映画(『コクソン』、『アシュラ』とともに)が素晴らしかった。前半3分の2までは断トツの傑作と感じた。ラストの第3幕は、個人的には若干煮え切らないが、それでもすごい作品だ。
 『夜は短し歩けよ乙女』も、はっきり言って個人的な好みにつきてしまうかも、だが、とてつもない「しょーもなさ」(褒めてるつもり)の嵐とともに、湯浅政明と森見登美彦(原作)のハイブリッド感ビンビンの愛すべき作品。
 5位は、素晴らしきB級(これも、褒めてるつもり!)映画群。小粒(でもないか、中粒(?)くらい!)の良質な映画を出会えた時の多幸感は、まさに止められない!
という感じで、来年もいい映画に巡り合いたいですね。
 明日は音楽編、いきますよ。(TM)

2017/12/20

設計演習講評会2017ラスト

 武蔵野大学3年生、設計演習最終課題の講評会。武蔵野大学は4年生に設計演習の授業がないので、これが授業としてはラストの設計課題となり、後は卒業設計を残すのみとなる。
 3年生後期は僕も含めて5名の建築家によるスタジオ制(各建築家により異なる課題を出して、少人数のスタジオのようなかたちでおこなわれる設計演習)での設計演習のかたちをとっており、他のスタジオの課題が見られるのはこの講評会だけなので、教員としても楽しみである。個人的には年末のバタバタで体力は限界ながら、何とか気合で講評会に臨んだ次第である。
 水谷スタジオの2017年度課題は(例年とそれ程変化なく)『武蔵野市現代美術館』。敷地はかつてバウスシアターが存在していたサイト。丁度、現在、その地に新しい商業施設が建ったばかりなので、ある意味タイムリーといえばタイムリーな課題。
 水谷スタジオは4名が発表。
・箱形の小さなギャラリーとミニシアターが屋根やヴォリューム相互につながる美術館
・有機的に地下から盛り上がる展示室と、回遊する動線が特徴的な美術館
・地下一面に水をさまざまなかたちで取り入れ、静謐な環境を楽しむ美術館。
・街の商店街を形態をそのままサイトに引き込み、建築の裏側に主機能を設置した美術館と、いう具合にそれぞれに魅力的な提案を完成させた。学生のみんなは本当にお疲れさまでした。
 講評会は13時過ぎから始まり、先生方の非常な熱心な指導及び講評があり、20時くらいに終了。長丁場になるので、さすがにこっちも身も心もしびれてくる。終了後、毎年恒例の懇親会へ。そこでは、一様に課題から解放されて、充実感と虚脱感を漂わせている学生たちの様子をみて、こちらもそこはかとなく静かに充実した達成感を感じることになる。
 例年そうだが、これが僕にとっての年内最後の学内のメインイベント。後は、新4年生の研究室配属の面接を残すのみ。さていよいよ年末に突入するのであります。満身創痍(とは、ちと言いすぎか?!)になりながら、じっくりいきますよ(笑)。(TM)

2017/12/14

畠山記念館

 港区白金台にある畠山記念館を偶然ご案内いただいて見学。あまり古美術などを鑑賞する機会がないので新鮮だ。まちの真ん中、木々が生い茂る環境に施設は立地しており、まさに別世界が形成されている。『近代数寄者の交遊録』展が丁度開催中で、学芸員さんに最初に解説していただき、展示を堪能する。展示室内に茶室が設けられており、そこでお茶をいただくこともでき、さらに別世界観に拍車がかかる。たまには時間の流れが違う環境に身を置くのも良いものだと、改めて実感。
 敷地の隣は、三島由紀夫の『宴のあと』に登場する料亭のモデルになった、「般若苑」があった所らしい(現在はまったくその痕跡は感じられなく、まさに白亜の大豪邸が建っている)。文字通り、時代の気配を感じるのでありました。(TM)

2017/11/26

武蔵野エコマルシェ

 武蔵野クリーンセンターのエコマルシェ。以前のブログでも書いたが、武蔵野クリーンセンターで、イベント対応のためにマルシェと名付けられた屋台のような什器を整備することになり、主催者であるクリーンセンターの事業者より、大学の研究室へ設計(デザイン)の依頼をいただく。昨年度、11期生のゼミ生とデザインをし、今年度、4年生である12期生が色彩計画をおこない、実際に塗装して仕上げた什器本体が完成をした(、ということまでは書いた)。
 そのマルシェも6月からイベントが開催される折に稼働しており、既に2回くらい出番があった模様。マルシェ本体の撮影をしていなかったので、写真家キッチン・ミノルさんにお出ましいただき、撮影を敢行。学生と一緒にマルシェの配置フォーメーションを何パターンか動かしながら、撮影も無事終了。
 天気も良く、非常に爽快なシチュエーションで、なかなかいい感じだった。キッチンさんとトロールの会場まで移動して再度作品を撮影していただく。秋はやはりアートな感じがぴったりと当てはまる、と思ってみたりする。はい。(TM)

2017/11/17

ドラコニアの地平展

外出のついでに、世田谷文学館で開催の『澁澤龍彦ドラコニアの地平』展へ。丁度、アーツ前橋で『ヒツクリコ ガツクリコ-言葉のうまれる場所-』展を観たばかりなので、言葉(文学)をテーマにした展覧会を、またしても堪能。
 個人的には、澁澤龍彦は学生時代にいくつか作品を読み、かれこれ25年くらい前にイタリアでの生活へ渡欧した際は、『ヨーロッパの乳房』を片手に、辺鄙な地域にあるヴァロック建築やアート巡りの旅をしたのを思い出す。今と違い情報もほとんどなかったので、澁澤龍彦の本に掲載されている写真を、ツーリストセンターや街ゆく人々に見せ、そこまでの経路を懸命に聞きまわっていたなぁ。
 今回の展示は濃密なものでややカオティックな様相を呈しているが、キュレーターの愛を感じられるもので、その余剰さが澁澤龍彦らしくていいのかもしれないなぁ、と思う。やはり、文学、そして言葉というものの奥は深い。(TM)

2017/11/16

ゼミ@アーツ前橋2017

  アーツ前橋で『ヒツクリコ ガツクリコ-言葉のうまれる場所-』展が開催されている。研究室4年生のゼミ生を連れて一路前橋方面へ。今年は武蔵野大学の設計演習の授業でお世話になっている藤野高志さんの事務所である天神山のアトリエを拝見させていただく、という企画を盛り込んでみた。建築家の久保秀朗さんが、藤野さんと丁度当日に前橋工科大で授業されているということでご一緒する。忙しい所、学生とドヤドヤと押しかけてしまうかたちになってしまったが、丁寧にご案内いただき本当にありがとうございました。
 午後はアーツ前橋に移動。展示は「言葉」をテーマとしたもので、市内にある前橋文学館と連携した展示プログラムが特徴である。「言葉」という、ある意味目に見えないものがテーマになっているので、観る側のイマジネーションが刺激されるような感じを受ける。本展示も施設全体をつかっているので見応え充分である。
 学生もいろいろ刺激を得たようでよかった。会期は年が明けた116日まで開催中ですので、お近くまでお越しの際は是非会場に足を運んでみてください。(TM)

2017/11/04

GOOD DESIGN AWARD 2017

今年度のグッドデザイン賞の発表があり、デザイン設計監修として携わった「武蔵野クリーンセンター」が受賞の運びとなる。

授賞式が開催され、共同で応募した、武蔵野市、荏原環境プラントの方々と会場に赴く。自分としては、さまざまなフェーズで約7年くらい携わってきて、このようなかたちで成果をみなさんと分かち合えるのは非常に幸福で、感慨深い。おめでとうございます。そして、ありがとうございました。

武蔵野クリーンセンターの全体の整備も後、数年かかります。今後の展開もご期待ください。(TM)

2017/11/03

トロールの森2017

 杉並区の善福寺公園で開催されている屋外アート展『トロールの森2017』に作品を出展しています。
 作品名は「Shout」。
 我々世代にとっては「ティアーズ・フォー・フィアーズ」を連想してしまうが(しないか!)、まったく何も関係ない作品です。
 非常に明快で楽しい(空間?)体感をしていただける作品になっていますので、是非、お近くにお越しの際はご来場ください。
 写真はNHKの取材が入っているところ。関東版の地域情報でとりあげられるとのこと。
 会期は2017/11/3から23日まで開催しています。入場無料ですので、お気軽にどうぞ。(TM)

2017/10/24

“負け犬”の凱旋

 90年代半ばに衝撃的にメジャー・デヴューした時に、どれほどの人が、そのアーティストが20年以上も、音楽シーンの最前線で活躍し続けることになる、と予想できただろうか?
 確かに、今になってみれば、「そう思ってたよ!」と言うのは簡単なことだ。しかし、最初に世に出た曲の名が「Looser」(負け犬)だったことを思い起こせば、そのあたりは、非常に感慨深いものである。
 ニュー・アルバム(これが、また素晴らしいに尽きる)のリリースに合わせて、緊急来日。東京は昨日の武道館と今日の2日のみ。
しかも、今日は新木場スタジオコースト。
 馳せ参じる。。。しかあるまい。
  個人的には久々のライブ・ハウス。ライブの最初から最後まで、テンションはフルスロットルで、多幸感という言葉以外にこの感情を表現できる言葉が見つからない。
 20数年前の負け犬は、時代を切り開くべきキラ星のような存在として凱旋していた。本名はハンセンを姓に持つ男。その名も、“BECK”(TM)
 



2017/10/23

風景の転換

 昨日の台風による長雨で、近くの武蔵関公園の池の水があふれている。なかなか、ささやかに衝撃的だ。知り合いからの情報によると善福寺公園の池もあふれているとのこと。
 池の周囲をぐるっとめぐっている、公園の地盤面より一段低くなっている散策路が完全に水没してしまって、そこにあるベンチが水の中にある。と、いうか、水の中にあたかも浮かんでいるようにみえる。この光景に静かに心が震えてしまう。
 ちょっとしたこと(でも、ないかな。台風だし。。。)で、日常の風景がまったく違ったものに転換している様子は、とても新鮮な感情をもたらしてくれる。平易な表現ではありますが、自然の力を再認識させられるのでありました。(TM)

2017/10/18

課題:ストゥージズの家

 武蔵野大学3年生の後期、設計演習(授業名:設計製図4の第1課題の講評会を開催。この授業は、僕を含め5名の建築家の先生と一緒に運営する、スタジオ制の設計演習。
 水谷スタジオでは例年、第1課題ではスーパースター(ロック・アーティスト)の家シリーズの課題を提示する。もうこれも13年目に突入。非常にコンセプチャルな課題で、学生にとっては非常に難しいと思うけど、頭をグルングルンさせ普段とはまったくちがう脳味噌の使い方をして思い切り頑張って欲しい、と例年思っている。
 今年度はこの9月にジム・ジャームッシュ監督の映画『ギミー・デンジャー』が公開され(全く余談になってしまうが、ほぼ同時にジャームッシュの『パターソン』という映画も公開されており、こちらも素晴らしい作品!)、それを観た衝撃に打ちのめされた(もちろんいい意味で)ということもあり、「ストゥージズ」(イギー・ポップ)(!)とした。おそらく、例年のテーマ以上に、学生は誰も本当に全く知らない課題ネタとなり、独りよがりにアツくなりながら、履修希望者が果たしているのか?と不安に駆られながら授業に臨んでいった。約3週間の短いスパンだが、履修者7名が課題に取り組み、77様のそれぞれ面白い提案が完成した。
 基本的に正解(らしきものも含む)がない課題なので、学生も困惑するが、講評する教員もいつもと違う所に頭をもっていかなければいけないので、講評会はいろいろな先生方の意見が聞けて、こちらとしても面白い。さまざまな技術や技能がどんどん展開していくこの世の中なのだが、最後は手描きのスケッチや絵が、まあまあパワーを持つということを改めて感じさせられれて(もちろん、これは良いと思っている訳だけど)こういうのも大切だよね、と、完全に自己満足(及び、自己弁護(!))しながら講評も無事に終了。   
 さて、課題全文を下記に流します。講評会の翌週は恒例の第1課題の打ち上げ&第2課題決起会@吉祥寺ハモニカ横丁。学生諸君には第2課題も健闘を期待します。(TM)

■課題:「The Stooges のいえ」
 「スーパースターの家」シリーズの第13弾の課題は、「ザ・ストゥージズ」である。 
 「ゴッド・ファーザー・オブ・パンク」と呼ばれ、カリスマ的な人気を誇るロック・アーティスト、イギー・ポップのバンドというのが一般的な認識である。67年初頭にアメリカのミシガン州デトロイト近郊のアナーバーで結成。たった3枚のアルバムを発表して74年に解散。当時、評論家からは「下品で退廃的」と叩かれ、正当な評価を得ることができなかったものの、後の時代に、セックス・ピストルズ、ニルヴァーナー、ソニック・ユース、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ホワイト・ストライプスなどのロック史上に名を残す名だたるバンドがストゥージズから影響を公言。イギーはストゥージズ解散後にソロ活動を展開するが、2003年に電撃的に再結成、2010年にロックの殿堂入りを果たす。今年、9月現在、映画監督のジム・ジャームッシュによる、ストゥージズを描いたドキュメンタリー長編映画『ギミ―・デンジャー』が日本公開されている。
 オリジナル・メンバーは、イギー(vo) 、ロン・アシュトン( g)、スコット・アシュトン(ds)、デイヴ・アレクザンダー(b)。デヴュ-作『ストゥージズ』(69)はヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルがプロデューサーとして就き、歌詞も音もミニマルなロックミュージックの世界を世に放ち、セカンドの『ファン・ハウス』(70)は一発録りの極致を目指し名曲群をうみ出された。2作とも商業的には惨敗したが、その後デヴィッド・ボウイがミキサーとして参加したサードアルバム『ロー・パワー』(73)をリリースするも、変わらないセールス不振や、過激過ぎるステージパフォーマンス、ドラッグの問題などが相重なり、バンドは一旦自然消滅する。
 時代の趨勢は皮肉なもので、世界に見捨てられたストゥージズなき後、勃発したパンク・ムーヴメント以降、評価が高まりカリスマ的な存在へと移行していく。現在のロック史上においては、この70年代後半のパンク、80年代を中心に栄華を極めるハード・ロック、90年代のオルタナティブ・ロックなどに影響を与え、それらのジャンル各々の原点と評価されるまでになっている。そして、2000年代に入りストゥージズは長い空白期を経て、復活を果たしていく[1]
 もともとこの課題のオリジナルは『わがスーパースターのたちのいえ』[2]というコンペの課題である。今年度は、その『スーパースター』をどうとらえられるかということを、ブルース、サイケデリック、グラム、パンク、ハード・メタル、ファンク、ノイズのどのジャンルにも属さない、史上最強の素行不良のロックバンド、ザ・ストゥージズの存在を冠して考えてもらいたい。
 課題へ取り組む糸口は、数多ある。イギー・ポップというアイコン、自殺行為と紙一重の肉体的ライブ・パフォーマンス、ベルベッド・アンダーグラウンド、デヴィッド・ボウイやJマスキス[3]、或いはジム・ジャームッシュとの相関関係、後世のロックへ与えた影響、デトロイト暴動が起こった60年代後半~現在という時代性、各々のメンバーや楽曲群、歌詞、等など。
 課題は、例年通りの前置になってしまうが、様々な社会性や文化性を持ったバンド(今も一応、現役)、ザ・ストゥージズという音楽グループの住まいを設計することではない。音楽という世界を通して創造をしているストゥージズの拠り所としての概念(→空間)はどのようなかたちで表現することができるのか、時間や空間を超えた構想力豊かな提案を期待している。


[1] 98年に公開された映画『ベルベット・ゴールドマイン』も再結成への一翼を担う。イギーをモデルとした役はユアン・マクレガー演。


[2] 1975年の新建築の住宅設計競技の課題。『わがスーパースターのたちのいえ』。審査委員長は磯崎新。そしてその結果は。。。ほとんどが、海外の提案者が上位をしめた。磯崎はその審査評で「日本の建築教育の惨状を想う」というタイトルで、日本人提案のあまりの硬直化した状況を嘆いている。さらに相田武文が「犯されたい審査員を犯すこともできなかった応募者」という講評をおこなっている。今で言うところの「草食系」である日本人建築家の提案の惨状をみて「磯崎が新建築コンペにとどめを刺した」と評している。


[3] ロックバンド、ダイナソーJr.のフロントマン。ライブへのロン・アッシュトン招聘を契機にストゥージズ再結成へと繋げていく。

2017/10/14

アーチの森2017

  武蔵野大学の学園祭(摩耶祭)(2017/10/1415)が開催される。例年、学園祭の実行委員会より依頼され、正門からアプローチした正面にある噴水広場の近くに、木造仮設建築物(作品名:『アーチの森』)を制作している。設計(デザイン)から施工まで、完全にセルフビルドでおこなうことが大きな特徴である。建築物は、学園祭のシンボルとしてPR機能を果たすことが条件として望まれており、後、制作チームとしては、このつくる建築で来場者の方々に憩い、たたずんで欲しいという思いがある。このプロジェクトも今年度で11年目になった。今年度は340mmを基本モジュールとした合板だけで建築をつくるというのが特徴で、構造体の各所にできる隙間に憩えるというものである。
 制作する学生は、厳然とした締め切り(学園祭初日の朝に建築が建ちあがってなければならないという縛り)があるので、作業後半は物凄いプレッシャーと共に作業をおこなうことになる。今年度は特に台風の襲来でかなりのガッツリとした雨に見舞われ、作業は困難を極めたが、完成した感動は何事にも代え難い、のではないかと思う。学生の皆さんはお疲れさまでした。
 会期中は雨の中、たくさんの方々に来場いただき、思い思いにこの建築にふれて頂きました。ありがとうございました。(TM)

2017/10/05

特論@千葉

 大学院の授業で、実際の建築を観るというプログラムを4回シリーズでおこなっている。ランダムに学生に4つの建築をセレクトしてもらい、その4作品を軸に建築(現代建築)の設計手法を斬っていくという、ある意味かなり乱暴な趣向で展開している。しかし、意外な共通項がみえてきたりと、その意外性が実は真髄にアプローチしていけるのではないか、という妄想を若干抱きながら、今回は千葉県立美術館(設計:大高正人)へ。
 昨年のゼミ旅行で坂出の人工大地をみて衝撃だったが、千葉県美も力強いまさに力作だと思う。展示室が増築可能な仕組みを持たせているような平面計画(正形の4隅が切り落とされており、その先端部が各室のジャンクションになっている)が特徴的。そして、展示室の四隅部に抜けや小さな空間を配していて、外部との連続性を感じられる空間構成が秀逸である。
 当たり前のことだが、実際に建築をみてみないと本当の意味で分からないのだなぁ、と改めて実感。
 ちなみに、後の3建築は、北斎美術館、瑠璃光院、六町ミュージアム、というラインナップ(個人的には、なかなか渋い感じじゃないかと思っている)。さて、どんな考察結果となるか、学生諸君に期待である。(TM)

2017/09/26

ダーティ47

私事で恐縮ですが、不肖、私めが47になりました。家族、先日の水フェスでの卒業生、大学の研究室の学生から、それぞれ祝福をいただく。ありがとうございました。この歳になってくると、嬉しいか?と聞かれれば、もう微妙な感じになってきてしまっているが、まあ、お祝いいただくのは、本当に嬉しいものですよね。
ありがとうございました。
 確実に言い訳できないくらい50の足音が聞こえてきている。
 家族からプレゼントにもらったアップルのAir Podsに興奮。あまりこの種の機器類には関心がない方だが、さすがに音楽を愛する身にとっては、これはワクワクもの。
まあ、それはさておき、また更に精進いたします。(TM)


2017/09/23

今シーズン最後の。。

おそらく、今シーズン最後の野球観戦。西武球場での我がバッファローズの最終戦のシリーズの中日に出かける。今シーズンも、例年通りというか、かなり早い段階でBクラスが決定的になってしまったので、個人的には早々と終わってしまっているが、まあ、そこは仕方がない。どうやら4位で終わりそうな気配なので、来年こそはAクラス、といきたいところ。
 試合は、バファローズ新人の山岡の粘投も報われず完敗。そこはかとない寂しさを感じながら、試合終了後の球団からのサービス企画で、グラウンドまで降りてみる。やはり、グラウンドから眺める景色は最高だ。
 毎年思うが、この野球(観戦)にかける時間を、他のことに費やすと、もっと新たな成果があげられるのかもしれないのだが。まあ、それはそれも含めてのマイ・ライフ、ということで、自らを納得させることにする。合掌。(TM)

2017/09/22

『コレクション+アートの秘密』展


アーツ前橋へ赴き、丁度開催中だった『コレクション+アートの秘密』展を観る。http://www.artsmaebashi.jp/?p=9118
 コレクション展が1階のギャラリー1で開催されており、一昨年前に『ここに棲む』展で出展をさせて頂いた作品を、少しアレンジを変えて今回の展覧会に展示していただいている。
 展覧会全体には派手さはないが、地域に立脚した視点で展示構成されていて、個人的には非常に見ごたえがあると感じた。
 地下のギャラリー2でも来館者がインタラクティブに関われる作品があり、建築空間の特性を活かして(来館者の動きが、上部のヴォイドや壁の開口から垣間見えるようになっている)いると思う。
 もう会期が終了間際ですが、近くにお越しの際は立ち寄ってみてください。(TM)

2017/09/20

ニューロマンティック再来

 武道館へ。80年代を洋楽ロックで過ごした人々には好き嫌いはあるものの、ある意味、誰もが通過する存在があった。当時は、非常にアイドル的な存在で、男子としてはファンを公言するにはかなり恥ずかしい感じ満載だった。僕は87年に来日した時に、今は無き、阪急西宮球場に高校の同級生とライブ観戦に行った記憶が蘇る。そして、このバンドが40年近くも継続して活動をしているとは当時は誰もが思わなかっただろう。しかし、同時代の大多数のバンドはほぼ解散をしてしまった中(一線で残っているバンドはU2くらいか)、いまだ健在なのは改めて素晴らしいことだと思う。
 さて、ライブはナイル・ロジャースのシックが前座につくという、顎が外れそうな構成。ナイル・ロジャースのライブは賛否両論ある(シックの楽曲はほとんど演らずに、プロデュースしたヒット曲のオンパレード)かもしれないが、個人的には非常に盛り上がった。「レッツ・ダンス」(デヴィッド・ボウイ)と「ゲット・ラッキー」(ダフトパンク)は会場がえらい騒ぎになっていた。
 そして、本編。まずは、全然変わってないスタイル(容姿の方)に改めて小さな衝撃。そして、衰えないヴォーカル、及びライブ・パフォーマンス振り。
 セットリストは、最大のヒット曲を演らなかったり、日本で大人気のあの曲を演らなかったり、と不満はあるかもしれないが、それも新作がちゃんとあり、いまだ現役バリバリということの表現ということで許してあげよう。
 ライブ全編、及びライブ後の余韻も非常に楽しめるライブでした。メンバークレジットにオリジナルメンバーのギターリストはいない。しかし、問題ない。
 ロジャー・テイラー(Ds)、ジョン・テイラー(B)、サイモン・ルボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)。そのバンドの名はデュラン・デュラン。(TM)

2017/09/17

水フェス2017

 武蔵野大学水谷研究室の10周年を記念して、2年前に卒業生が主催して会が開催された。通称『水フェス』。その会を踏まえ、これからは毎年開催しよう!ということになり(半ば強引に(笑))、毎年恒例になった、武蔵野大学水谷研究室のパーティ。
 3期生のナツミをはじめとした4名の幹事が中心になって、今年も無事開催する運びとなった。台風が近づく雨という天候の中、30数名が集まってくれた。研究室卒業生のみなさん、ありがとうございました。今年は、6期生と9期生が残念ながら出席者がいなかったが、また来年以降ぜひ参加してもらいたい。後、特別ゲストで建築家の大塚聡さんにもお越しいただいた。大塚先生、ありがとうございます。
 会の中では、現役生の研究室活動報告があり、その後、誕生日(ちょっと早いけど)お祝いいただくというセレモニーもしていただく。重ね重ね、ありがとうございました。
 2次会も大勢がそのまま流れて、さまざまな話に盛り上がる。何となく、女性陣がパワフルで元気なような気がする(まあ、現役時代もそうだったが)。
 3期生以上は30歳の大台を過ぎていく年代に突入しており、またもや時の流れを感じるばかり。卒業生の活躍を期待しつつ、またもや吉祥寺において、吉祥寺の夜に乾杯、な1日でした。(TM)


2017/09/16

とんぼとのりしろ展

有明に出たついでにちょっと時間ができたので、上野まで足を伸ばして東京都美術館で開催している杉戸洋の『とんぼとのりしろ』展へ。来館者は丁度同時開催のボストン美術館展へ行く人が多いが、その列を横目にみながら展示会場へ。
 なかなか見に行く機会がなかったが、初めての杉戸洋作品を観る。いわゆる、普通の作品展示というかたちをとらずに、展示場所と作品を密に関連させながらその場所(会場)全体をつくりあげていく展示が大きな特徴で、そのあたりがやはり建築をやっている身にとっては非常にワクワクするところである。
 今回は東京都美術館が展示場所ということもあり、いわゆるホワイトキューブではない展示室は、杉戸洋の作品に非常にフィットしており見ごたえがある。作品としては、タイルを素材として、段々に巨大な壁面状に構成された「module」(コルビジェのモジュロールを意識していると思われる(多分))というインスタレーションが最大の見所。後で図録をみると大原三千院の「虹の間」がモチーフの源流になっているようで、そのあたりも「ほう」と思いながらいろいろと考えさせられる。会場に作品説明は全くなく、杉戸洋本人がスケッチとして描いた展示会場プランを手渡されそれを観ながら巡るというかたちも面白い。本当にいろいろと思いを巡らせながら、その場所を楽しむという、展覧会のタイトルのとおり「のりしろ」が広がっている感じが、観る側にもとても元気を与えてくれている。(TM)

2017/09/15

時の流れを感じつつ@武蔵野→吉祥寺

 9月は行事が目白押しでバタバタ。ブログもなかなか更新できない。遅ればせながら順次アップします。
さて、先週、武蔵野クリーンセンターの見学会を開催。今回は、久しぶりに会う方々と。武蔵野大学の設計演習では他大学の院生に授業サポートに来てもらっているが、偶然が色々と重なり、かれこれ10年くらい前に授業を担当して頂いていた各年代の方々3名(組)(そしてお互いは初対面)にお越しいただく。僕としてもみなさんそれぞれとは10年振りくらいなので懐かしい限り。
 いや、時の流れるのは早いです。本当に。見学会も無事終わり、吉祥寺に出てタイ料理屋で打ち上げ(?、再会の宴??)。非常勤でお世話になっている建築家の大塚聡さんも合流。まさに10年越しの四方山話で盛り上がる。偶然にも、今日参加いただいた方々はみなさん独立されていて(&結婚もされていて)、なかなか厳しいこのご時世であるが若い世代は頼もしい限りと、こっちも元気が出てくる。まさに吉祥寺の夜に乾杯、な1日でした。(TM

2017/09/14

『リバー』再び

 ちょっと、まったくどうでもいい小話。
 本ブログ2017/7/17の時に書いた話の後日談である。
 村上春樹の新作『騎士団長殺し』の中でブルース・スプリングスティーンのアルバム『リバー』に関する記述があり、そこが印象的だったということを書いた。
 残念ながら、『リバー』はCDしか持っていないのだが、『騎士団長殺し』の中ではアナログLPでないと意味がない、というような内容でストーリが進んでいく。
 そんな折、先日、ふらっとレコード屋へいった時に、何とLP盤の『リバー』を発見!
 一瞬躊躇したが(何と言ってもCDでは持っているので)、流れに身を任せてLP盤を購入。これを聴きながら、あらためて『騎士団長殺し』を読んでみる。やはり読み心地が若干違う。。気がする。。。まあ、「そう思わないと、やってられない」というお話。そもそも、「買わなけりゃいいじゃない!」という話もあるが、まあ、それは「それを言っちゃあ、おしめぇよ~。」(by寅さん)ということにしておきましょう。(TM)

2017/09/07

街の風景ということ

 写真のデータを整理していて、新橋駅前にある「ニュー新橋ビル」の写真をみつける。
 先々月新橋で会合した際、ちょっと早く着いたので、立ち寄ってみた次第。建物の前(外部)はよく通っていたが、建物内に入るのは何と初めてだった。建物内は、やはり特異な感じがする。特段に何か特別な設計をしている訳ではないと思うのだが(ちなみに設計は松田平田設計)、この雰囲気は何故現れるのだろうと不思議になる。平日の夕刻だったが、非常にたくさんの人々で賑わっており、人々の集まっている、というか群れている様子が何故か昭和的に雰囲気に感じられてしまう。
 この建物も再開発の事業計画があり、あと5年程すれば解体されてしまう。ずっとある街の風景がなくなることを考えさせられる新橋の夜。(TM)