2024/03/15

卒業設計審査会(MUレビュー)2024

 遅ればせながら、1月遅れのUPになりますが、武蔵野大学の卒業設計の審査会を開催。

 今年度から卒業設計の審査のやり方を大きく変えた。一大変革と言ってもいいだろう。まずは、1月に開催の学内審査を各学生に対してじっくりと講評をおこなうことで、充実度を高めた。

 そして、今回から学内審査に加えて、大きな企画を立ち上げた。

 建築設計界で活躍する建築家を審査員として招聘し、「武蔵野大学卒業設計レビュー MU Review 2024」と銘打った公開審査会を併せて開催した。ちなみに、審査員は原田麻魚(MOUNT FUJIARCHITECTS STUDIO)、大島芳彦(ブルースタジオ)、藤野高志(生物建築舎)、高野洋平(MARUarchitecture)の各氏という顔ぶれで、モデレーターを水谷が務めた訳である。我ながら、その辺の卒業設計審査プログラムより充実した陣営となっているのではないか、と自我自裁(誰も褒めてくれないし(笑))。

 企画から準備までほぼ一人きり(いや、助手のコンちゃんが、手伝ってくれた。ありがとう!)でやりきったので、個人的には、この準備があまりに大変で、ひっくり返りそうだった。

 審査会自体は盛り上がり、審査員の方々も熱心に審査いただき、一安心。まずは、動き出せた成果は大きいと思う。今後、学内の卒業設計、設計演習(設計製図)が盛り上がって欲しい、ということと、学生の今度の糧となることを切に願うばかりである。(TM)

2024/03/14

卒業と、雑感と

 武蔵野大学の水谷研18期生のゼミ生10名が卒業。

 今年から、コロナの影響もなくなり、学位記の授与を対面でおこなえるかたちで、卒業式は開催の運びに。式後、卒業生が企画した小パーティが学内で開催されたが、コロナ世代はこのような企画に慣れていないのか、教員たちよりも先に卒業生たちがドンドン会場から帰っていくので(!)、いつ終わったのか分からない会になってしまっていた。いや~、そういう時代になったのかな、と先生方と苦笑しながら学生の門出を祝う。

 コロナに戦争に地震に、もう本当に大変な時代だと思う。4月からの新しい世界での活躍を期待したい。そして、式後のガイダンスで卒業生に話したが、革命を起こしてほしい。

 今年の水谷研のキャッチフレーズ(毎年勝手に小生が定めている次第。。。)は、かつてジャズ・ミュージシャンの菊地成孔氏がTBSラジオでやっていた時の口上と、ある小説のメッセージとリル・ヨッティをモチーフにしている。それでは、卒業生へのはなむけに。

欺かれぬ者は彷徨う

ネットの届かぬ所で、革命の音が鳴っている

Let’s Start Here!(TM




2024/02/07

椅子の講評会2023(年度)

 ブログの更新が、また滞ってしまいました。すみません。

 年度末でさまざまな事柄が目白押しだったので、また振り返りも含めて、随時UPしていく所存であります。よろしくお願いします。

 さて、例年そうなのだが、年度末なので様々な授業の講評会、発表会、審査会がおこなわれる。武蔵野大学で椅子をつくる授業をやっていて、その講評会を開催。今年度もゲスト講評者を招いての講評会を何とか無事に開催の運びとなる。木工作家の渡邊浩幸さん、映像ディレクターの土居京子さん、現代舞踏家の相原朋枝さんに参加頂き、それぞれの多様な視点から講評を頂く。僕以外はみなさん建築とは違った分野の方々なので、その講評も個人的にはとても楽しい。

 しかし、今年度、この講評会への学生の出席者が少なく愕然とする(これまで20年近くやってきて休む学生はいなかったので、まさか!という事態だが、3割以上の学生が参加しなかった。上級生である3年生は半分以上が欠席する事態に。)。若い世代に何かが起こっているなぁ、と感じながらも、気を取り直して講評会に臨む。事前の授業内での作品講評では、史上最弱の出来の悪さ、というイメージを持っていたのだが、欠席者が多かったことが逆に幸いして、例年と同じレベルの感じではなかっただろうか。ゲスト・クリティークの講師の方々も、いい感じで講評いただいているように見受けたので、一安心といったところ。

 例年、いろいろと学生が考えてくれるような課題の提示をしているが、このシリーズもそろそろ限界のような気がしてきていて、次年度以降の課題の在り方と、更には授業の在り方も要検討、といった感じである。ただ、この授業の醍醐味は、じっくりと考えて愚直に制作していく、ということであり、そういう姿勢で臨まないと、作品における本質的なパワーは生まれないような気がする。それがデザインを考えていく上でとても大切なことだと思う。当たり前のはなしなのだが、効率ばかり目指していては、底が浅くて、たかが知れているのである。学生諸君には、そこに気づいて、殻を破って欲しいと思う。

 さて、次年度以降に、期待するばかりである。しっかりと頑張った学生には充実感を持ってくれれば嬉しい限り。さて、怒涛の年度末が続いていくのです。はい。(TM)

課題:  コロナの後に

妖怪の孫が遺す妖術から解き放つ

そんな時に座るイス」

【課題概要】

20233月末、岸田政権の新年度予算成立により、過去最大の114兆円の予算が成立した。政権は性急に防衛予算の拡大に進んでいることが、窺い知れる。(そして、このお金はどこから出てくるのか、、、というと、僕たちの血税が、、、ということになってくるだろう。。。)思想家・文学者である、内田樹氏が自身のHPにUPした文章を読んで、下記のような趣旨を汲み取った。

 岸田首相(政権)に、独自の日本の将来についてのビジョンはあるのか?

 日本の安全保障戦略を、今の(昔も含めてもいいけど)政府は考えているか?

 F35戦闘機をなぜ爆買いするのか?トマホークは本当に必要なのか?(そもそも、これらは、アメリカでは、すでに時代遅れの兵器ではないのか?)

 そのために増税することが許されるのか?

 更に、インボイス制度で、また国民に負担がかかっていないか?

 同じく、マイナンバー制度も、同じく負担がかかっていないか?

 それらを横目に「政治はこれからもまったく変わらない」と思うのは、ショボくないのか?

 そして、この、ろくでもない国の不完全なシステムの穴を、自己利益を増やそうとしている人は許されるのか?(現に、オリンピックで、電通独占状態だった訳だし。。。)逆に、この状況をあきらめて、このシステムの外に、逃げだすのは恥ではないのか?システムの中に踏みとどまってシステムを良い方向に改善する選択肢は、もう今の若者(皆さんのことです)には存在しないのか?

(以上、出題者の抜粋及び意訳)

 大変なことになってきている感が満々だが、国民(僕たちも含めて)は、残念ながら無関心である。だって、実際、選挙にも全然行かないし。

 20233月に、映画『妖怪の孫』(企画:河村光庸、監督:内山雄人、企画プロデューサー:古賀茂明)が全国公開された。

 まずは、これを観て、実際に何が起こっていて、今の政権がどこに向かおうとしているのかを、考えてみることから始めよう。

 そして、“妖怪の孫”の呪縛から、解き放たれる術を考えて欲しい。

 作品を考えるにあたって、今の状況の具体的な問題点を指摘して欲しい。もちろん複数でも構わない。それを起点に、作品を考えて欲しい。

 斬新で、メッセージ性のある、魅力的な作品を期待しています。

                       (水谷 俊博)

2024/01/30

イドバタコウギ

むさし野文学館が、ラジオ番組「イドバタコウギ」を始め、昨年末にそこにお呼びいただきました。

タイトル・テロップが、「プロの建築家と マイクラで東京駅を魔改造」という回です。

Minecraft】東京駅が〇〇に!?建物を生まれ変わらせる技法、コンバージョンとは? # 7 (youtube.com)

その時の収録内容が、配信されています(生も一緒に出演しています!)ので、是非視聴ください。 (TM)

2024/01/25

残像に口紅を

 年末、年始と、電車での移動が多かったので、積読状態の本を再び読みだす。

 筒井康隆著『残像に口紅を』を読了。文字が一つずつ世界から消えていく中で、どう言葉及び、物語を紡いでいくか?、という試練に実際に立ち向かう、というまさに実験小説。文字が消えて言葉として成立しないものは、そのもの自体や概念も消えていく、という設定なので、登場人物も、クールに容赦なく次々と消えていく、というところが何とも言えない感覚を読む側に与える。

 最後、20文字くらいになってくると、文体がまともな体裁ではなくなってくるが、文字数が少ない分、怒涛の文章構成になってくるところも面白い。それでも最後の1字がなくなるまで書き切る、という気迫に圧倒される。

 いや、すごいな。と思いながら、80年代後半に書かれたこのマイナーな本が普通に購入できるのは、SNSで話題になって、バズッたからだとのこと。最近、久しぶりに知り合いの方から連絡をいただき、「LINEをやっていない」と返信したら、いつも通りとても驚かれたことを、思い出す。SNSをやってなくても、恩恵に預かることができるので、いいではないか、と、また勝手に納得。いやはや。

 読書、と言えば、昨年から読んでいる、『街とその不確かな壁』(村上春樹著)は、読み終わるのが惜しくて、最終盤に差し掛かっているのだが、ちょっとずつ読み進めている。生活はバタバタだが、本はのんんびりと楽しみたいのであります。はい。(TM)

2024/01/06

新年2024

 2024年が始まりました。本年もよろしくお願いいたします。

 年末から、いろいろと、バタバタしており、それがシームレスに年明けにも来てるので、何か一年の区切りが、あまりない。でも、暦は勝手に人間がつくったものなので、まあ、それはそれで変な話ではないのだろう、と、自分を納得させる。

 そうこう言っていたら、今年は急遽、息子と二人で神戸へ弾丸帰省することに。今年も、すごくいい天気で、新幹線の中から富士山が綺麗に見えました。合掌。

 東京に戻り、初詣は石神井公園の池のほとりの水神社で娘とお参りをして、何となく2024年のスタートを実感。

 さて年のはじまり、元気にまいりましょう! (TM)


2023/12/31

Look Back 2023 その2

 2023年もいよいよラストです。と、いうわけで例年、誰に頼まれる訳でもなく勝手にやってますが、全く個人的なマイ・ベスト2023を振り返り。

 昨日に引き続き、今日は音楽編。今年もあまり新譜を手に入れることが少なく、もっぱら中古アナログレコードをボツボツとゲットしていたという次第。ので、セレクトするのにかなり迷ったのだが、2023年のマイ・ベストを選んでみる。

順番はこんな感じ。

 1位:『i/o/ Peter Gabriel

 2位:『Let’s Start Here/ Lil Yachty

3位:『Lean In/ Gretchen Parlanto & Lionel Loueke

4位:『The Barad Of Darren/ Blur

 5位:『The Mashmallow Man/ Gary Wilson

     『Leisurevision/ Leisure

         Wait Til I Get Over/ Durand Jones    

 今年は、春先に「リル・ヨッティ」の新譜を聴いて、コレだ!と感じ(今年度の研究室のテーマソングにしたし)、そこから中々いいアルバムに出会えなかったが、年末のギリギリで、「ピーター・ガブリエル」の新譜が何と20年振りのリリース。これが、すさまじい名盤で、年末ずっと聞いていた。マジで泣けるので、必聴。

 という訳で2位は「リル・ヨッティ」に。ラップ・アルバムというよりは、非常にサイケで、70年代や80年代を思い起こさせながらも現代的な音作りがされている名盤だと思う。

 3位は「グレッチェン・パーラト」のリオネール・ルエケとのコラボ作。ミニマムなヴォーカルとギターの共演が素晴らしい。80’sの女性コーラスバンド、クライマックスの「I Miss You」のカバーが最高。

 4位は「ブラー」の新作に。期待値が高かった分最初に聴いた時は若干物足りなさがあったが、聴けば聴くほど味がでてくるアルバム。さすが、デーモン・アルバーン。個人的には「Barbaric」が名曲。

 5位も選び切れずに3作品。「ゲイリー・ウィルソン」は相変わらずのアヴァンギャルドでヒネたメロディーで、カッコいい。
 「レイジャー」は朝のラジオでかかっていて、良かったので新譜をゲット。ニュージーランド出身のエレクトロ系という感じだが、本作は70年代から90年代のいろいろな要素がつまった楽曲群。最近こんな感じが好きかな。
 ソウル系で1枚、ということで「ドラン・ジョーンズ」の新譜を。このところバンド形式だったが今回はソロ作。骨太で力強い。そして、丁寧なつくりは新しい(と感じる)。ダニー・ハサウェイの「Someday We’ll All Be Free」のラップのテイストも盛り込んだカヴァーが良い。

 そんなこんなで2023年もたくさんのいい音楽に出会えた。さて、2023年はどんな音楽に出会えるでしょうか!

 よいお年を!(TM)