2011/01/12

卒業設計といふこと

 武蔵野大学の4年生が卒業設計の発表会。学生にとっては4年間の集大成の発表の場。2月に最終の審査会があるので、今回は予選会といった感じ。しかし全員発表し、それに教員たちがひとつひとつ講評をしていく。学生にとってはとても恵まれている。僕が学生の時と比べると雲泥の差だ。
 常々、学生には伝えてきたが、卒業設計は「褒められよう、評価されよう、と思ってはダメ。」だということだ。このあたりが設計演習との大きな違い。もちろん社会に出て設計の業務に携わると、さまざまな制約があり、自分の思いだけで建築ができていくという可能性は全くの「ゼロ」である。というのは紛れもない事実。ただ、それだからといって、目の前にある課題点に対応をして、実現性の高い、いいデザインの建築を設計すれば、「はい、終わり!」という訳にはいかない。と、僕は思う。もちろん他の先生方には違う意見の人たちもいるだろうが。。。
 学生時代の集大成なんだから夢を持ってほしい。そして、それを凄まじいまでの情熱をもって表現して欲しいと思っている。実現性なんかは、吹き飛んでしまうくらいの何かを見たい!と思っている。そう、今にも建ちそうな建築なんて考えても、クソみたいなもんだ。って感じでいいと思う。建築が描ける夢はまだまだ無限なんだから。そして、「自分一人が味方だぜ。楽しくやらんかい!(byどんと)」って感じかな。
 いざ、発表会。年々感じることだが、全く駄目な作品は減っている。だが、これ!といった作品も減っている。おとなしく、きれいにまとめている作品ばかりだ。年々その傾向が高くなっている。他の大学もそうなんだろうか。建築の行く末はどうなるんだろうか、とふと頭をよぎる。
 審査の結果、決勝ラウンドに残るのは16作品に決定。今年は2つの作品に「少し面白い!」と感じたものがあった。残念ながらそのうち1つは決勝には残らなかった。うちのゼミ生は7名が決勝ラウンドに駒を進めた。予選の感じだと決勝ではかなり苦労するだろう。思い切ってやって欲しい。

そう、
レッツ ロック アゲイン!!

2011/01/07

新年

明けましておめでとうございます。

本日ようやく全スタッフがそろったこともあり、遅ればせながら事務所近くの神社に初詣をし、気持ちを新たに2011年のスタートを切りました。

本年もどうぞよろしくお願いします。

2011/01/06

2011スタート

 2011年が始まった。
 年初めから父親の3回忌、年末に緊急入院した祖母のお見舞い、今年は本厄なので厄払いと立て続けに、深いコンテンツでスタートする。
 祖母は今年90歳になる。2年前の父の葬儀の時に会えたがその時以来。高齢なため、もう僕のことが誰だか分からないような状況だ。一抹の寂しさは感じるが、見舞った病院では身体は元気そうだったので少し安心する。おそらくもう病院から出ることはできないだろう。母は「人間、歳をとることは、こういうことなんだよ。」という箴言を呟きながら看病をしている。時は流れている。祖母が病室の窓を眺めながら「あ、飛行機がとんでるね。」と言ったのが印象的だった。僕の目でもかなり注意しないと分からないくらい、小さく空に浮かんでいたが、それを目にとめて口にしたのだった。なぜか、妙に感心してしまった。   
 父の3回忌も無事に終わった。思えば父が亡くなってから、父に関してはいろいろな想いを封印しているような気がする。と、お坊さんの読経を聞きながらふと思う。父が亡くなったことで何が自分の中で起こったか?と少し考えてみる。大切な人をなくしたときの思い。大切な人をなくした後自分はどう歩んでいくべきかという心持ち。そして、そもそも大切なものとはどういうものなのか?と考える内なる省み。そんなことを、すべてひっくるめて感じるようになったのだろう。まあ、漠然としていて分からないような感覚ではある。言葉にするのは難しい。コーエン兄弟監督の『ノ―・カントリー』の最後を想い出す。トミー・リー・ジョーンズが演じる警察官が奥さんを相手にダイニングテーブルで自分のみた夢について話すシーン。彼は夢の中で雪の中をトボトボ歩いているが、後ろからすでに亡くなっている父親がロウソクを燈した篝火を持ちながら歩いてきて先に進んでいく、というくだりである。何のメタファーなのかはさまざまな考え方があるだろうが、どんなに状況でも火を燈しながら前に進むことによって何か未来へのてがかりを感じる、ということなんだろう。ある意味、ブルース・スプリングスティーンの『Dancing In The Dark』の世界だ。これは僕なりの(かなりの)意訳。

君は火を熾すことができないんだ。なにもなければ火を熾すことはできない。
なにかが火を燈すためにそこにある
たとえ僕たちが暗闇で踊っているとしても。
ヘイ、ベイビー!

この最後の、「ヘイ、ベイビー!」がいいんだよな。
そんなこんなで、2011年が始まりました。
そして、2011年のテーマは、これにした。
『「前進!前進!!前進!!!」の旅だぜ。』
前進あるのみ!ロッケンロール。