2018/10/25

特論@所沢

 大学院の授業で、実際の建築を観るというプログラムを4回シリーズでおこなっている。ランダムに学生に4つの建築をセレクトしてもらい、その4作品を軸に建築(現代建築)の設計手法を斬っていくという、ある意味かなり乱暴な趣向で展開している。しかし、意外な共通項がみえてきたりと、その意外性が実は真髄にアプローチしていけるのではないか、という妄想を若干抱きながら、今回は所沢聖地霊園(設計:池原義郎)へ。かねがね一度観てみたい建築筆頭だったが、なかなか時間が取れずにやっと念願が叶った、という感じ。それにしても、素晴らしい建築だ。久しぶりに建築をみてアドレナリンが上がる感覚を覚える。素材とディテールの調和が見せる圧倒的な空間の姿は、設計の手法論や、構造・環境といったテクノロジーや、つくることのプロセス現自体への分析など、現在さまざまなかたちで取り組みがなされているのもを超えて(というか、そんなのどうでもいいよ!と思わせる程)、建築がつくる空間のよさを厳然と我々に提示しているなぁ、と思ってしまう。当たり前のことだが、実際に建築をみてみないと本当の意味で分からないことを改めて実感。ちなみに、後の3建築は、五島美術館(これも渋いチョイス)、アテネフランセ、川口市めぐりの森、というラインナップ。さて、どんな考察結果となるか、学生諸君に期待である。(TM)

2018/10/18

アーチの森2018

 先週末の話になってしまったが、武蔵野大学の学園祭(摩耶祭)(2018/10/1314)が開催される。例年、学園祭の実行委員会より依頼され、正門からアプローチした正面にある噴水広場の近くに、木造仮設建築物(作品名:『アーチの森』)を制作している。設計(デザイン)から施工まで、完全にセルフビルドでおこなうことが大きな特徴である。建築物は、学園祭のシンボルとしてPR機能を果たすことが条件として望まれており、後、制作チームとしては、このつくる建築で来場者の方々に憩い、たたずんで欲しいという思いがある。このプロジェクトも今年度で12年目になった。今年度は38mm×89mm2×4材(パイン材)を300mm程の寸法に切断し、その小さなブロック状の木部材を組積造の要領で積層させていくという、いわば非常にプリミティヴな建築であり、かつ全体が大きな繭のような形態をしているというのが特徴である。
 制作する学生は、厳然とした締め切り(学園祭初日の朝に建築が建ちあがってなければならないという縛り)があるので、作業後半は物凄いプレッシャーと共に作業をおこなうことになる。今年度は例年以上に作業の工程マネージメントがスムーズだったのか、大きな問題もなく無事に完成。それにしても、建築が建ち上がった感動は何事にも代え難い、のではないかと思う。学生の皆さんはお疲れさまでした。
 会期中は若干雨も降りましたが、たくさんの方々に来場いただき、思い思いにこの建築にふれて頂きました。ありがとうございました。(TM)


2018/10/11

Live at…

 「アメリカン・ロック」という言葉を、ラジオでも最近耳にしなくなったが、何を隠そう(別に隠している訳ではないが!)、個人的に一番好きなロック・バンドはチープ・トリックである。『チープ・トリックat武道館』が世に出てから40年。その40周年を記念して、当初(今年の春)は武道館のライブを開催の予定だったところ、メンバーの体調不良により延期。残念ながらスケジュールの関係で武道館での開催はならなかったが、Zepp東京にて開催。と、いう訳で有明まで馳せ参じる。
 かれこれ30年程前、学生時代に大阪のフェスティバル・ホールで初めてチープ・トリックを観たのを思い出しながら、その30年とか、『at武道館』からの40年とか、前回の武道館でのライブから10年とか、そういった一塊の時の流れを感じずにはいられない。
 オリジナル・メンバーからドラムのバン・E・カルロスが脱退してしまったが、その穴をギターのリック・ニールセンとヴォーカルのロビン・ザンダーの息子(!)が補っている、というのも時の流れを感じる。個人的には80年代の楽曲、『If You Want My Love』と『Never Had A Lot To Lose』でグッときた。変わらぬロックは鳴り響いた。合掌。(TM)

2018/10/03

風景の転換

 昨夜の台風がすさまじかった。
 我が家の換気用のレンジフードが吹っ飛び(何せ古い家なので)、その威力を実感する。近くの公園では大きな樹木がなぎ倒されていて、園路を通行できないようになっている。普段の風景が劇的に変化することを目の当たりにするのだが、ここからは特に何も教訓はない。ただただ、自然の力の大きさを感じるのみ、である。

 武蔵野大学の授業「プロジェクト」の後期の決起会が吉祥寺で開催。例年、仮設木造建築物を制作し展示するので、それに向けての文字通り決起会である。さて、今年はどんな作品ができるのか、乞うご期待である。
                 (TM)