2010/10/30

アーチの森2010

今年も武蔵野大学の学園祭でアーチをつくる。パートナーのRMのブログでも紹介してもらっている。これは毎年恒例になっていて、学園祭の記念ゲートをつくり、来場者の祝祭性を盛り上げるというものである。毎年夏前から僕の環境プロジェクト演習(通称「イス環」)を履修している学生たちとデザインを考え始め、セルフビルドで制作をおこなうプロジェクトである。このプロジェクトの発展形が昨年出展した、大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレである。


今年のアーチの森2010の大きな特徴は、いままでリニア―に続く空間構成をモチーフに制作してきたが、今年は求心性をもった空間づくりをおこなった点である。まさに「アーチからドームへ」(って勝手に名付けました)。僕は、ドーム建築にはなぜかとても魅かれる。レニー・クラヴィッツ「Are You Gonna Go My Way」のPVなんて最高でいつ見ても鳥肌がたつ。あんな建築をいつかつくりたいと思う。そんな思いで、このドームのアーチの森2010を真ん中に立って眺めてみる。いい感じだ。思わず学生たちに「みんなでUFO呼ぼうか!」って言ってしまう。でもそういうのって素敵ですよね。まあ、本当にUFOに来られても困るんだけど。

2010/10/27

U2のいえ

10月20日。武蔵野大学の設計演習(空間造形4)の授業の講評会。毎年恒例になっているが、この授業の前半で僕の課題は、スーパースターの家(元ネタは1975年に開催のコンペ『わたしのスーパースターの家』(審査員長:磯崎新))シリーズである。毎年ロックバンドを課題のテーマに建築空間を考える、というコンセプチュアルな課題。ある意味非常につかみどころのない課題なので、学生もそうだが、講評をするこっち側も難しい。今年の課題は「U2のいえ」である。僕としてはオンタイムなバンドなので思い入れも強い。課題の全文は武蔵野大学水谷研のHPを参照ください。


今年は6名がスタジオを履修。まずまずみんな頑張った感はあったが、コンセプトの提案性ばかりに気をとられていて、空間の具体的な構築まで至っていないという点が少し残念である。それにしても毎年同じ反省をしているな。やれやれ。

今年の学生の発表の中に面白い感じをうけたのがひとつ。内容は置いといたとして、スタンスが面白いと思った。彼女の提案は、U2の「空間ではなく、精神性のあるかたちでの具現化」ということであった(彼女がそう言った訳ではなくて僕の解釈です)。なかなか「空間造形」の授業で、空間ではない(もちろん建築でもない)ものをつくる、ということを堂々と発表するのは、ある意味「ロックだな!」と感じた(彼女がそこまで意識しているかどうかは全くの謎ではあるが。)。これはいままで6年間このシリーズの課題をやってきてなかったので、興味深かった。空間を考える上で、物理的な空間を考えることが果たして全てなのか?う~ん、このあたりに踏み込みだすとなかなか頭がトロけそうだ。でも改めて建築というものを考える機会にはなる。そんな思いを胸に、授業後は三鷹に出て、大塚先生、宮口先生なんかと出て、酒を飲む。さて、来年の課題はやいかに?

2010/10/26

黄金町ブルース

10月9日。横浜で開催されている「黄金町バザール2010」に、パートナーのRMとスタッフのharuと出かける。武蔵野大学の設計演習の授業でお世話になっている建築家、ワークステーションの高橋寛さんがコンバージョンの設計された作品もあるので楽しみにして出かける。黄金町バザールとは黄金町から日ノ出町までの線路沿いの地域をアートやカフェ、ショップや建築が一体となって小さなアートフェスティバルのようなものを開催。かつては不法風俗営業をしていた地域を観光的なまちづくり(都市計画?)の範囲まで広めていければ、というプロジェクトである。


昨年、越後妻有にどっぷりだったので、少しその感じを思い出しながら現地へ。天候はあいにくの雨模様のため、物悲しい雰囲気が漂い、いい感じである。そこにはかつての、地域の空気感が感じられ(ただ、雨だったせいでもあるが)、あまりに「あやしげ」という形容詞がぴったりである。線路下に対象の地域が細長~く続いていくかたちもまたいい。しかも線路高架下が工事中で、褪せた銀色の仮囲いが続いていく感じが、「あやしげ」な感じを助長している。僕は「あやしげ」なものには目がないのである。

進んでいくと、「入ってはいけない家」というプロジェクトを発見。「あ、あやし過ぎる。。。」。こうなると我慢できない。入るしかない。中はそれほど衝撃的ではなかったが、なかなかの「あやしげ」さ満載の展示になっていた。満足だ。さらに進むと、また「中をみませんか?」と店先で声をかけられる。どうやらギャラリーになっているようだ。「あやしげ」なのだ。また、つられて中に入ってしまう。内部は木の線材がみっしりと乱立していてその間を赤ちゃんのように這いまわって空間体験をする仕掛けになっていた。これもまずまずの「あやしげ」だった。そのあと、建築のプロジェクトも拝見。あやしい展示の後だったので、非常に健康的だ。さまざまな建築の取り組みの可能性をみることができた。最後は日ノ出町にある古い旅館を利用した展示スペース兼カフェの竜宮へ。ここも、かつての風呂場の壁画などが、程良いあやしげな雰囲気を醸し出していた。そんな空気にひたりながら、3人でカレーを食す。モグモグと若干無言気味。美味である。

この地域を歩いているときに、なぜか大学時代に組んでいたバンドで演っていた曲が頭に浮かぶ。「Refugee(逃亡者)」という曲で、一旦頭に浮かんでしまうと、もう駄目でグルグルと頭を廻ってしまう。Aメロの最後のところの歌詞はこんなだった。

「さまざまな、夢があり、人は言う、Refugee(逃亡者)」♪。。。。。

そんな思いを胸に黄金町を後にする。黄金町にはブルースが流れていた。

お祭りは楽しい。

 お出かけが気持ちいい季節になって、身の回りのイベントも急増。暑くもなく寒くもないこの時期、みんながこぞってアクションを起こすものだから、あっちへ出向き、こっちへ出向きと結構大変です。楽しいことが好きなので、ついつい顔を出してしまう癖があるし、動き出したらもう止まらない。



 というわけで、10/23(土)。
 午前中にフリーマーケット(池袋)へ。お稽古に通っている教室で開催されたもの。いつもお稽古をしている空間(15人ほど集まると狭く感じる)に、入れるだけ入りました~とばかりにぎゅうぎゅう詰め。お買い物後、ようやくほっとして先生が手作りされた「ドングリの実入りドーナツ(人生初ドングリ!)」と「いもようかん」を頂きながら、先生とゆっくりとお話をしておいとま。これがこの日最初の甘味。さらなる甘いもの攻撃が待ち受けていようとは、この時はまだ知らず。
 午後、行き先の方角を変えて、武蔵野大学の学園祭「摩耶祭」へ。知った学生たちが展示をするというので見に、また今年の学生がクラスで出店するというので応援しに出かけました。授業を手伝ってくださるスタッフのお2人に案内をお願いして学内を巡るのですが、模擬店はみごとに甘いもののオンパレード。ビール片手に、焼きそば、たこ焼き・・・ルンルン♪という勝手な期待はどこへやら。朝からずっと甘い~。(※学内はアルコール禁止だそう。がっくり。。。よく考えたら、1年生は未成年でした、仕方ない。)
 まあ食べ物のことはよいとして、学生が授業中とはまた違った姿でイキイキとしていたのが印象的でした。おそろいの手作りポロシャツ、明るい呼び声、せっせと働く姿。展示は力作ぞろいで、エネルギッシュ。きっと短期間で制作したものなんだろうけれども、最後まで完成させているところが素晴らしいです。写真は学生が制作した学園祭のウェルカムゲートで、アーチがクロスしたドーム型の立体作品です。アーチの足下に座って上を見上げると、木のフレームを通って秋晴れの空に吸い込まれそうな心地になります。エネルギー満タンのお祭りっていい。みんなで盛り上がる時は、精一杯楽しまないと!
 フリーマーケットも学園祭も、私はちょっとだけ顔を出した客でしかなかったけれども、その場に居合わせてみると、大勢の人がこの日を楽しみに、準備をして作り上げてきたそれはそれは大切な一日なのでした。
 お祭りは楽しい。

 この日、武蔵野大学の河津先生にお誘いいただいて、今週は狂言観賞会へ行くことに。 またお出かけ。

2010/10/09

進め!

 金曜日の基礎デザイン2の授業は、早くも4回目。いよいよ前川國男自邸のトレースが始まりました。ともかく、描いて描いて描く課題なので、学生のみなさんにはせっせと手を動かして前に進んでもらいたいです。♪前進!前進!前進!そうすればいつかは終わります(励ましているつもり)! いや、こんな言い方だと終わらせることだけを目的にされてしまいそうなので、(ちょっと先生らしく)その過程で一本一本の線の意味を考えることがより大切です。じっくりと取り組みましょう(あ~、偉そう)。まあ、楽しみましょう、はい。ポイントは授業で話しました。

 授業を終えると外は真っ暗。少し気温が下がっているので、シャキシャキと歩いて体を温める。大学を出て、事務所に片付けに寄るとスタッフが金曜日の夜らしくビール片手にいい感じ。「じゃあ、私も」とちょっとだけのつもりが調子づいて・・・・・。都合のいいことに体もぽかぽか。こうやって、1週間の締めくくりに、少し気を緩める時間が持てると、週末の始まりがスムースになる気がします。しかし、明日9日はちょっと遠出。久しぶりに事務所の研修です。

2010/10/07

秋晴れの日に

 先週末、10/2(土)
 雨が多い今年の初秋。今日だけは晴れて~!と願った日でした。思いが天に通じて穏やかな秋晴れ。
 午前中は大学の課外授業で小金井公園にある前川國男自邸を見学。この建物は天気のよい日に見学するのが一番と思っているので、願ったり叶ったり。グループごとに入れ替わりで見学する1年生に対して、建物の見所をSAの3人から説明してもらったところ、苦心しながらも頑張っていて頼もしかったです。回を重ねるごとに上達し、さらに演出(?)を工夫したりして。1人ずつ話すのかと思えば、掛け合いのようになっていたり、最後はどんなに発展するのかと思いましたが、徐々にこなれて無難に終了。感心しました。これも日頃の研究の成果?!Good job!お疲れさまでした。
 建物について。今回、初めて窓が全開になっている状態で見学できました。訪れる度に佇まいが違うというのは、リピートする甲斐があるというもの。メインの空間、サロンに差し込む光が心地よいのはもちろんのこと、意外な発見だったのはサロンの両隣にある書斎と寝室の窓。全開にして庭に対峙する時、思わず背筋がシャンとするような緊張感が走ります。(ゆったりとした空気が流れるサロンとの対比が面白いです。)窓回りの設計に工夫があって、勉強になりました。

 昼を過ぎると汗ばむ陽気。見学を終えていったん帰宅。簡単に昼食を済ませ、着物に着替えて外出。ともかくドタバタ。目的地は水谷研究室5周年記念会。卒業生、在校生総勢30名以上が駆け付けてくれて、近況や思い出話や今だから話す秘話とか・・・で楽しくおしゃべり。集まった人の中に、私の直接の教え子はいないのだけれど、大学のイベントにお邪魔した時に話した人、自宅に遊びに来てくれた人など知った顔がたくさんいるので、私も楽しい。企画、運営していただいた幹事の皆さん、集まっていただいた皆さん、本当にどうもありがとうございました。先生、ご機嫌でしたよ。

2010/10/03

水フェスと渋谷のまち

武蔵野大学水谷研も研究室ができて5年目を迎えた。と、いう訳で5周年記念パーティをすることになった。名付けて(現役生が名付けました!)“水フェス(@5周年)”。研究室も1期生17名、2期生17名、3期生15名、4期生9名、そして現役の5期生が12名と70名が研究室に所属したことになる。本当に時間がたつのは早いものだと感じる。
3期生のアッキ―が総幹事、1期生のトモ、Haru、5期生のペーが幹事となって、場所は渋谷で開催(横浜在住の人たちに配慮して、とのこと)。2次会から参加してくれた卒業生も含めると30数名が参加してくれた。中には卒業して以来、初めて会う学生もいて懐かしい。卒業生はみなそれぞれ社会にもまれて、いい意味で逞しくなっている。まあ、これからいろんなことがあると思いますが、頑張って前進してほしいと思う。
宴ではそれぞれの卒業生の現役時代のスライドショーを眺めながらこれまでの5年間を振り返る。スナップショットばかりで面白くはあるのだが、もうちょっと建築に関連した映像でもいいかな、と思うが、まあ、そのあたりは10周年までの課題としよう。卒業生たちからはケルベラの鉢植え(未来へ伸びてゆけ!水谷研!!というメッセージがあるらしい。)と研究室創立の2005年モノのワインをプレゼントされる。連日のお祝いに感謝感激。ありがとうございました。
宴も終わり三々五々、渋谷の街を歩いて駅まで向かう。それにしても久しぶりに渋谷に来たと感じる。12年くらい前によく渋谷に来ていたのを想い出す。丁度、レディオヘッドの『O.K.コンピュータ』が出た時代だ。その頃は、シネマライズでビール片手に気になる映画を観て(ハーモニー・コリンの『ジュリアン』やジム・ジャームッシュの『イヤー・オブ・ザ・ホース』を観た記憶がある)、中古レコード屋で物色して、そして古い焼き鳥屋で日本酒をやりながら酩酊するというのが僕の黄金コースだった。時は変わっているが、街の様子は相変わらずドラスティックに夥しい数の若者が徘徊する様相だ。昔はそれほど感じなかったが、ある程度歳をとると、なかなか渋谷のど真ん中で身体を馴染ませるのが難しいと感じる。多分、街が変わっているのではなくて(もちろん歩いている人は変わっているが)、僕の方が変わってきたせいだろう。まあ、繰り返しになるが歳をとったということなのだろう。センター街の雑踏を抜けて最後にハチ公口前のスクランブル交差点に到達する。実は僕が東京でも好きな場所だ。そこにくると、空気が変わる。なんとなく一気に空白を感じることができる。なぜかは分からない。でもこの微妙な空虚な解放感は他の街では味わえない。今は駅前にはQフロントがあるが、12年前にはなかった頃とその感覚は変わらない。サーシャ・ガバシ監督のドキュメンタリー映画『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』でもデイブ・アリソンがこの場所に立って、巨大なスクリーンに映し出される映像をみながら「ゴジラ!」と叫ぶシーンで終わるのが印象的だ。この人の集密と移動のエネルギー。そこで感じるある意味(僕はそう思うんだけど)気持ちいい空白感をつくりだす。渋谷はそんなまちなんだなあと思い、渋谷のまちを後にした。
でもやっぱり渋谷のまちは非常に疲れますね。渋谷好きなみなさんには申し訳ないけど。

2010/10/01

エネルギー補給。

 10月初日の金曜日、授業をしに大学へ行くとSA(学生アシスタント)からほかほかの鯛焼きの差し入れ。大学近くの「美味」と有名な鯛焼きだそうで、温かいうちにいただきました。ごちそうさま。美味しかったです。それに、このエネルギー補給のおかげでその後の授業(3時間)を無事に乗り切りました。なんせ授業時間が16時20分~19時30分なので、腹ごしらえは重要。

 鯛焼きといって思い出すものがあります。高校時代、学校帰りに駅前の売店で買って食べた「揚げ鯛焼き」。鯛焼きを油で揚げて温め、鯛の全身に砂糖をたっぷりまぶしたもので、初めて食べた時は油まみれ砂糖まみれで体に悪そうな食べ物であるとは考えもせず、その美味しさに感動しました。家族の分も買って帰ったぐらい。今でも懐かしく思い出しますが、高校卒業後に出会った記憶はありません。関西ローカルな食べ方なのでしょうか。何も揚げ鯛焼きでなくても餡ドーナツでもよいのではと思われるかもしれませんが、それが全くの別物で・・・。あれから10年以上がたった今、油まみれ砂糖まみれを食べきれる自信はありませんが、当時、陸上部の練習後の私にとって、あの糖分の塊はとびっきりのエネルギー補給だったのは間違いありません。

 さて、今年も非常勤講師の仕事が始まりました。昨年に引き続き、武蔵野大学にて基礎デザイン2を担当します。学生、スタッフのみなさん、頑張りましょう。よろしくお願いします!