2024/02/07

椅子の講評会2023(年度)

 ブログの更新が、また滞ってしまいました。すみません。

 年度末でさまざまな事柄が目白押しだったので、また振り返りも含めて、随時UPしていく所存であります。よろしくお願いします。

 さて、例年そうなのだが、年度末なので様々な授業の講評会、発表会、審査会がおこなわれる。武蔵野大学で椅子をつくる授業をやっていて、その講評会を開催。今年度もゲスト講評者を招いての講評会を何とか無事に開催の運びとなる。木工作家の渡邊浩幸さん、映像ディレクターの土居京子さん、現代舞踏家の相原朋枝さんに参加頂き、それぞれの多様な視点から講評を頂く。僕以外はみなさん建築とは違った分野の方々なので、その講評も個人的にはとても楽しい。

 しかし、今年度、この講評会への学生の出席者が少なく愕然とする(これまで20年近くやってきて休む学生はいなかったので、まさか!という事態だが、3割以上の学生が参加しなかった。上級生である3年生は半分以上が欠席する事態に。)。若い世代に何かが起こっているなぁ、と感じながらも、気を取り直して講評会に臨む。事前の授業内での作品講評では、史上最弱の出来の悪さ、というイメージを持っていたのだが、欠席者が多かったことが逆に幸いして、例年と同じレベルの感じではなかっただろうか。ゲスト・クリティークの講師の方々も、いい感じで講評いただいているように見受けたので、一安心といったところ。

 例年、いろいろと学生が考えてくれるような課題の提示をしているが、このシリーズもそろそろ限界のような気がしてきていて、次年度以降の課題の在り方と、更には授業の在り方も要検討、といった感じである。ただ、この授業の醍醐味は、じっくりと考えて愚直に制作していく、ということであり、そういう姿勢で臨まないと、作品における本質的なパワーは生まれないような気がする。それがデザインを考えていく上でとても大切なことだと思う。当たり前のはなしなのだが、効率ばかり目指していては、底が浅くて、たかが知れているのである。学生諸君には、そこに気づいて、殻を破って欲しいと思う。

 さて、次年度以降に、期待するばかりである。しっかりと頑張った学生には充実感を持ってくれれば嬉しい限り。さて、怒涛の年度末が続いていくのです。はい。(TM)

課題:  コロナの後に

妖怪の孫が遺す妖術から解き放つ

そんな時に座るイス」

【課題概要】

20233月末、岸田政権の新年度予算成立により、過去最大の114兆円の予算が成立した。政権は性急に防衛予算の拡大に進んでいることが、窺い知れる。(そして、このお金はどこから出てくるのか、、、というと、僕たちの血税が、、、ということになってくるだろう。。。)思想家・文学者である、内田樹氏が自身のHPにUPした文章を読んで、下記のような趣旨を汲み取った。

 岸田首相(政権)に、独自の日本の将来についてのビジョンはあるのか?

 日本の安全保障戦略を、今の(昔も含めてもいいけど)政府は考えているか?

 F35戦闘機をなぜ爆買いするのか?トマホークは本当に必要なのか?(そもそも、これらは、アメリカでは、すでに時代遅れの兵器ではないのか?)

 そのために増税することが許されるのか?

 更に、インボイス制度で、また国民に負担がかかっていないか?

 同じく、マイナンバー制度も、同じく負担がかかっていないか?

 それらを横目に「政治はこれからもまったく変わらない」と思うのは、ショボくないのか?

 そして、この、ろくでもない国の不完全なシステムの穴を、自己利益を増やそうとしている人は許されるのか?(現に、オリンピックで、電通独占状態だった訳だし。。。)逆に、この状況をあきらめて、このシステムの外に、逃げだすのは恥ではないのか?システムの中に踏みとどまってシステムを良い方向に改善する選択肢は、もう今の若者(皆さんのことです)には存在しないのか?

(以上、出題者の抜粋及び意訳)

 大変なことになってきている感が満々だが、国民(僕たちも含めて)は、残念ながら無関心である。だって、実際、選挙にも全然行かないし。

 20233月に、映画『妖怪の孫』(企画:河村光庸、監督:内山雄人、企画プロデューサー:古賀茂明)が全国公開された。

 まずは、これを観て、実際に何が起こっていて、今の政権がどこに向かおうとしているのかを、考えてみることから始めよう。

 そして、“妖怪の孫”の呪縛から、解き放たれる術を考えて欲しい。

 作品を考えるにあたって、今の状況の具体的な問題点を指摘して欲しい。もちろん複数でも構わない。それを起点に、作品を考えて欲しい。

 斬新で、メッセージ性のある、魅力的な作品を期待しています。

                       (水谷 俊博)