2021/08/29

ブロンド

 新型ウィルスの状況は変わらず。今年の夏の高校野球も閉幕。個人的には、祖父母(既に、二人とも亡くなった)が甲子園に住んでいたので、高校野球に想い入れが非常に濃い。昔と比べて、高校野球が面白く無くなってきているように感じるのだが、それは年を取ってきたせいなのかなぁ、と感じ入りながら、脈略もなく、フランク・オーシャンの『ブロンド』を聴く(これはリリース当初ネット配信オンリーだったが、リリースからしばらくたって、突如CDスルーでLP2枚組)でリリースされた盤)。おそらく後世に残る、紛れもない名盤。C面(2枚目の表面)3曲目の「Seigfried」で、心を落ち着かせる。

 このブログでも、なんとなく新型ウィルスの状況で、明るい話題を書けないので、過去(2015/8/19)に一度UPした、高校野球に関する内容を再録いたします。よければ、お楽しみください。(TM)


■甲子園随想(2015/8/19

夏も真っ盛りで、今年の高校野球も佳境を迎えている。
  祖父母が甲子園に住んでいたこともあり、幼少の頃は春夏とも祖父母の家に一週間くらいずっとお世話になりながら、球場で高校野球をずっと観ていた。あまり知られていないが、高校野球は外野席がタダで観られるので、子供のころは暇さえあればずっと球場に通っていた。
 その祖母も今では甲子園を越して、高齢のため施設に入ってしまったが、この夏子供たちを連れて面会にいった。祖母はもう我々のことがあまり分からなくなってしまっているが、親子4世代間の交流をみながら感じ入ることもある。さて、そんなこんなで少し想い出話しを。
 甲子園での高校野球も数々の名試合を球場で生で観戦したが、はじめて甲子園に足を踏み入れたのは1977年の夏の大会。しかも決勝戦。母親に連れられて行った想い出がある。小学校に入ったばかりの僕は非常におとなしい子(言いかえればガッツがない子)で、親が心配して、我が子に「何か熱いものに触れて欲しい!」という思いやりがあったようだ。母の実家が甲子園だったので、それなら高校野球を観に行こうとなった。
 対戦カードは奇しくも、地元兵庫代表の東洋大姫路と元祖甲子園アイドルである“バンビ坂本(って、もう誰も知らないかなぁ。)”がエースの愛知代表の東邦の組み合わせ。何せ地元優勝の可能性とアイドル投手との対戦というダブルでの盛り上がりということもあり、球場は超々満員。記憶が定かでないが、試合の本当に終盤に球場に着いたようで、ライトスタンドはもう人が下の通路まで溢れかえっていて、観客席まではとても上がれるような状況でなかった。もちろん外野フェンスの高い壁がそびえているため試合の様子が観れる訳もなく、母からは「もう、観れないから、帰ろうか。。。」と言われた。試合が観れない事実を知った僕は、もう強烈に大泣きしてしまい、母はとても困り途方にくれてしまったが、小さい子が泣いてる様子をあまりに可哀そうに思ったのか、外野席の最前列にいた、あるオジさんが、何と、「僕!こっちおいで!!」と客席から手を伸ばしてくれた。甲子園球場は、外野下の通路から高さ2mくらいの壁がある上から客席がはじまるのだが、そこで僕が取った行動は、その2mくらいの壁をよじ登ろうとしたのだった。周りの人が助けてくれて、そのオジサンの伸ばす手につかまり、オジサンが客席まで文字通り2mくらい上にずずーっと引き上げてくれた。そして、そこでやっと球場の様子を一望することができた。その見ず知らずのオジサンには感謝である。本当にいい時代だったなぁ、と思う。そして、初めて生で観る球場の様子は外野の芝が緑にキラキラと輝きとても美しかったのを覚えている。
 試合はとても緊迫した展開で9回でも決着がつかず、延長戦に突入しており、10回裏の東洋大姫路の攻撃。2死ながら塁上にはランナーが二人。まわりは地元の優勝を祈る大応援が轟いている。そんな中、4番バッターが打席に立った。球場が大きく揺らぐような感覚の中、バッターが打った打球が快音を残して、大きな弧を描き本当に目の前のライトのラッキーゾーンへ飛んできた。何と、優勝を決めるサヨナラ・ホームラン。球場は大興奮で大混乱状態。僕は降り注ぐ紙吹雪をかぶっていた帽子に集めながら、それをまた撒き散らしていた。ふと下を見下ろしてみると、下の通路で母親がまぶしそうに、こっちを見ている様子が印象的だった。母が見守る中、紙吹雪が乱れ飛ぶのが、何故か季節はずれの桜の花びらが散ってるような錯覚をしてしまい、とても幻想的な景色だった。これが僕と甲子園の出会いである。
 さて、このホームラン。決勝でのサヨナラホームランは史上初だったと記憶している(そして、その後もないんじゃないかな?)。しかも75年、76年も決勝戦はサヨナラで決まったため、この試合が3年連続のサヨナラでの優勝が決まった試合となった。この体験に非常に感動してしまった(これで感動しなければアホでしょ)僕は、次の年は両親に頼んで、ちゃんと内野席のチケットを買って決勝戦を観にいくことになる。そして次の年、78年の決勝は、「2度あることは3度あると言うけど、4度目はないよね。」と言っていたことが、それに反して現実になることを目の当たりにするのである。まさに奇跡は続く。

さて、そのお話は、また来年のこの季節にでもしましょうか。(TM)

2021/08/27

刺青の男・・(&チャーリー・ワッツ追悼)

 新型ウィルスの状況は変わらず。ローリング・ストーンズのチャーリー・ワッツが亡くなる。やはり、一つの時代が終わったことを感じる。2014年のツアーを東京ドームで観たが(本ブログ、2014/3/6参照)、やはりそれが、このラインナップでの最後になってしまった。チャーリー・ワッツといえば、なぜか個人的に思い出してしまう、アルバム『刺青の男』のB5曲目(アルバム最後の曲)、「Waiting on a Friend(友を待つ)」を聴く。ジャズ愛好家のチャーリー・ワッツが推した、ソニー・ロリンズがサックスで参加。そしてチャーリー・ワッツのドラムが最高である。合掌。(TM)

2021/08/25

テイキン・マイ・タイム

 新型ウィルスの状況は変わらず。ニュースだけだと、詳しい状況が分からないので、まわりの人々も含めて、何とも不安な感じが続いている。本当に政府は何もしてくれそうにないので、本当に、このよく分からない敵(ウィルス)へ感染しないことを祈るしかない。そして8月も後半になってきて、猛暑が続いている。日中、外に出ると、目を開けていられない程、日が照っていてトロケそうである。体質的に非常に汗をかくので、常時着替えを持ち歩いている。これが面倒くさいのだけど、まぁ仕方がない。そして、街中の人出は普段と変わらないように、個人的には感じる。なかなか、状況が良くなる要素がないので、早く終息を願うばかりである。

 ということで、ボニー・レイットを聴く。不遇の時代もあったが、現役バリバリで(最近の作品も素晴らしい)、現在進行形では女性ロック・アーティストとしては最高の存在だと個人的には思う。73年リリースの、3作目『テイキン・マイ・タイム』を。どの曲も素晴らしい傑作。ボニー・レイットの素晴らしいところは、デビュー時から一貫している、その音楽性にある。そして、時代とともに自分の信じる音楽を追求しているそのアンチ商業主義的なスタイルは、もう共感するしかない。B5曲目(アルバムの最後の曲)「Guilty」を。ランディ・ニューマンの楽曲が、心に沁みわたる。やはり、気持ちを落ち着けながら、元気に進みましょう。(TM)

2021/08/22

&5トロンボーンズ

 新型ウィルスの状況は変わらず。何とか、ウイルスワクチンの2回目を接種。東京は人口が多いせいか、なかなか接種の予約を取るのも一苦労である。そして、タイミングが丁度重なり、名古屋方面へ出張に出ることに。久しぶりの長い距離の移動である。感染対策に配慮しなければいけないので、何かと気疲れしてしまう。後、全国的に天気が安定しないようで、雨が降ったり止んだりで、これもなかなか疲れるところではある。ヤレヤレ。

東京を離れたが、場所が変われど、緊急事態宣言もあまり関係なく、街中の人出は普段と変わらないように、個人的には感じる。早く終息を願うばかりである。

ということで、ここは、フォー・フレッシュメンを聴く。40年代後半から活躍する、ジャズ・コーラス・グループ。メンバー全員(その名の通り、4人とも)が楽器を演奏し、唄うというのが大きな特徴。

 そして、何といっても、このグループの音楽が、ビーチ・ボーイズ(ブライアン・ウィルソン)の音楽性に多大な影響を与えている、というのがロック・ファンにとっては堪らない。55年作品の『フォー・フレッシュメン&5トロンボーンズ』を。文字通り5人のトロンボーン奏者と共演した傑作。そして、アルバムジャケットのヴィジュアルも最高である。ここはA面1曲目の「Angel Eyes」を。ジャズ・スタンダードの名曲を、極上のコーラスと、トロンボーンの響きで。気持ちを落ち着けながら、元気に進みましょう。(TM)

2021/08/18

ショート・シャープ・ショックト

  新型ウィルスの状況は変わらず。感染者数は増えるばかり。フランス文学者・思想家の内田樹氏が『AERA』に、現状を「どうしたらいいのか、分からなくなってきた」と寄稿しているのをみて、「ゲッ、その通りや。。。」と妙に納得。多分、ほとんどの人が同意見なのではないかと感じる。

 夏季休暇が終わったが、なんとなくズルズルといろんなことが続いているような感じで休み明けがスタート。元気にいきたいところだが、個人的にはドヨンとすることがあり、いきなりゲンナリしている。

 ということで、ここは、ミシェル・ショックトを聴く。孤高の(と言っていいと個人的には思う)、80年代のプロテスト・ソング・ミュージシャン。2作目の『Short Sharp Shocked』を。これも紛れもない、超名盤である。基本的に、フォーク&ブルース系の音に、社会的な歌詞のヴォーカル載せているが、ルーツ・ミュージックに留まらない、オルタナティヴな方向性を示す宝石箱のようなアルバムである。個人的には、コートニー・バーネットは、後継者だと思う。そして、警官隊に取り押さえられているような自身のアルバム・ジャケットは秀逸。ここは、A面2曲目の「Hello Hopeville」を。
 “Now the world’s been cruel(今、世界は残酷です)”。
元気に進みましょう。(TM)

2021/08/12

サムシング・レイト・アット・ナイト

 新型ウィルスの状況は変わらず。感染者数は増えるばかり。そして、東京五輪が閉幕。メディアでは、開催も含めて賛否両論のような感じで伝えられているように受け取れるが、周りも含めて個人的には全く盛り上がらない非常に不思議な(悪い意味で)イベントだった、としか言いようがない。このギャップがとても奇妙である。

 このような状況の中、夏季休暇に突入。今年も関西方面には帰省できない状態。子供たちもあまり遠出ができないので、炎天下、近所の公園でサッカーボールを蹴ったりしている

 さて、オリンピックは閉幕したが、続いてパラリンピックなので、本ブログで進行中の、「勝手に名盤シリーズ」は、パラ閉幕まで続きます。しばし、お付き合いください。さて、そこで、何もできない夏休みに、キャロル・ベイヤー・セイガーを。現在、横浜市長選挙で(チョイ)話題の、小説家の田中康夫氏が、自身のラジオ番組で「無人島に1枚だけ持っていくのが許される、というなら、この盤。」と言っていた記憶がある、『Something Late At Night』を。でもって、紛れもない名盤である。バート・バカラックとの至高のコラボレーション。B4曲目の「Stronger Than Before」を。暑い夏の夜には、これを聴きながら、好きなリカーを、という感じで。さて、元気にまいりましょう。(TM)

2021/08/06

ストリートノイズ

 新型ウィルスの状況は変わらず。感染状況はより深刻になり、政府は突然、入院制限(して重症でない人は基本自宅療養の方針)を謳いだした。健全に動いている国の体制とは思えない。既にこうなりそうなのは把握できていたはずなので、オリンピックが終わりかけてきたこの時期を狙って出したとしか思えない。おそるべし。8月中旬から後半にかけて、感染者数が凄まじい数字になる専門家の予想があり、何とも言えない気分になる。

 そんな中、気を落ち着かせるために、家の棚に積読状態である中から選んで読んでいた、『ブルックリン・フォリーズ』(ポール・オースター著)を読了。久しぶりに、ポール・オースターを読んだ。老年にさしかかった主人公の物語で、何となく、自分も主人公側の年齢になってきたなぁ、と共感しながら読みすすめる。時は流れる、人生は進む、という感情に浸れる肩の力を抜いて読める作品だ。

 さて、この何とも言えない状況に、ジュリー・ドリスコール、ブライアン・オーガー&ザ・トリニティの3作目のアルバム、『ストリートノイズ』を。知る人ぞ知る、地味な盤だが、ジャズ・ロックやプログレに大きな影響を与えたとされる、LP2枚組の傑作である。アルバムD面(このアルバムは各面にタイトルがつけられたコンセプトアルバムになっている。ちなみにD面のタイトルは「Save the country…」(そうだ、この国を救ってほしい。。。))2曲目の「オール・ブルース」を。言わずと知れた、マイルズ・デイヴィスのカヴァー。トラディショナルなテイストにしたジャズ・ナンバーが心を、静かにホットに落ち着かせてくれる。さて、半端なく蒸し暑い日が続きますが、元気にいきましょう。(TM)