2019/07/26

『ビル景』展

 茨城方面に所用がありでかけたので、少し足を延ばして水戸芸術館で開催中の『大竹伸朗-ビル景』展を観に行く。大竹伸朗の展覧会を観る時は、「心してかからなければいけない」、というのは個人的に思う所なので、しっかりと心の準備をして観ることに。
 さすがに、かつて東京の現在美術館で開催された『全景』展(いまネットで調べたら2006年開催、もう13年も経ったのか!と時の流れの早さに若干愕然。。)と比べることはできないが、今回の展覧会のヴォリュームも非常に濃密だ。最近、簡潔にインパクトのある展覧会が主流になってきている(特に東京は)と個人的には感じるが、その対極にあるような骨太さだ。展覧会を紹介する前文に、「デジタル技術が全盛の現在において、一人のアーティストが数十年に渡り、自らの手で絵を描き、作り続けることの意味は、何なのか」という投げ掛けがあるが、まさに愚直に作り続けることの強烈な息吹きを感じさせられ、自分の活動(設計など)に対して静かに自省させられる。そして元気をもらう、水戸のハイブローな時間でありました。(TM)

2019/07/02

You Are The Man

 ちょっと時間が経ってしまったが、マーヴィン・ゲイの『ユー・アー・ザ・マン』がリリースされる。このアルバムは、一旦1972年に制作されたが、先行シングルが今一つヒットしなかったため、諸々の都合によりお蔵入りになってしまっていた、言わば隠れ伝説の盤。モータウン創立60周年を記念して、このタイミグでの発売になった模様である。アルバム全体の感じは非常に素晴らしく、お蔵入りにするような出来ではないと感じるのだが、まあ、政治的な思惑もあったのかもしれない。楽曲の出来だけでなく、非常に社会的なメッセージ性もあり、どうしようもない現在(例えば、年金問題デモに対して「税金泥棒」とレッテルを貼るかつてのIT長者(逮捕歴あるが、金持ちなので現在もSNSオピニオンリーダー的に幅を効かせている)に付和雷同的に同調するSNSユーザー(一般ピープル。まあ、我々も含まれている訳ですね。はい。。。)が社会の流れをつくってしまっているこの時代)にこそ、聴くべき音楽だ!と、感じる。いや、本当に。
 さて、これを機にと、このアルバムが制作される前年にリリースされた、歴史的名盤『 What’s Going On 』を引っ張り出してきて聴きなおしてみる(ちなみに、こっちはアナログ盤)。久しぶりに聴いてみた。いや、これは、、、改めて過ぎるが、すさまじいアルバムだ。特にA面の最後の方、『God Is Love』から『Mercy Mercy Me』につながるあたりは言いようのない感動が沸々と沸いてきて、まさに恍惚としてしまう。さすがにこのアルバムの後は、ハードルが高くなるわなぁ、と改めて納得。日が暮れるのが遅くなったこの時期に、この2枚を並べ聴く夜は、また趣深い。(TM)