2019/12/31

Look Back 2018 ゆく年来る年

さて今年も関西に帰っての大晦日、元旦を迎える。
まったく個人的なマイニュース2019を最後に振り返ってみる。
今年もいろいろ盛りだくさんな1年だった。みなさん、ありがとうございました。
マイ・ニュース、ベスト3をあげるとこんな感じ。

1.長女練馬区美術館で絵・習字が展示、長男七五三&ヘルパーなしで泳ぐ
2.むさし野文学館、開館
3.収録書籍(『進撃の建築家たち』『世界都市史辞典』)が無事出版

以上です。
みなさん、よいお年を。新年は6日からスタートします。(TM)


2019/12/30

Look Back 2019 その2

 昨日に引き続き、全く個人的なマイ・ベスト2019。今日は音楽編。今年はあまり新譜を手に入れることが少なく、もっぱら中古アナログレコードをボツボツとゲットしていたという次第。相変わらずアナログレコードとCDを並行して購入しているが、世間はもうデータ配信が主流になっており(ついでに、世間的にはCDの販売額をアナログが上回ったらしい)、いい音楽をデータでないと聴けなくなってきている気がして(そうでもないかな?。。。)いるが、まあそこの所はどうしようもない。
 ということで。、2019年のマイ・ベストを選んでみる。
 順番はこんな感じ。

  1位:『Not Waving ,But Drawning / Loyle Carner
  2位:『Hyperspace/ Beck
  3位:『35mm/Juan Fermim Ferraris
  4位:『Sinematic/ Robbie Robertson
  5位:『Jamie/ Brittany Howard
      I,I/ Bon Iver
  番外:『Once Upon A Time In Hollywood/ O.S.T

 今年は個人的にはあまりヒットするアルバムがなく、いや、どうしようかなぁ(ってどうしようもないのだけれど)と思っていたら、秋も深まった頃からいい新譜が続々と出たのでホッとした。ので、まだフーの新譜と、レックス・オレンジ・カウンティがじっくり聴けてないので今回は外している。
 という訳で、これという作品が中々出なかったというのが個人的には今年の前半特に特徴というところなので、ランキングも若干例年と違う感じが我ながら面白い
 本ブログ2019/10/1に書いたが、今年一番聴いたのはフ―ベルの『カーザス』。http://mizarchi.blogspot.com/2019/10/
でもこれは発売が昨年なので外す。
 で、それと並んで一時ずーっと聞いていたのを1位に、という訳で、何と1位は史上初めて、ヒップホップのアルバム、ロイル・カーナーの新譜。ヒップホップなのでまずは歌詞が分かっていないとダメというのが通常なのだが、このロイル・カーナーの楽曲群は歌詞が分からなくても気持ちよくて、本当にずっと聴けてしまうメロディセンスが抜群。アルバム・ジャケットのアートワークとタイトル(訳すと、「手を振ってるんじゃなくて、溺れているんだ」)がまさに秀逸。ヒップホップは個人的にはそれ程明るくないが、新しい音楽性を感じる。
 2位はベックの新譜。これも今年の後半に出たが、輸入LPの入手に時間を費やしたため、聴けたのはほんの最近という次第。で、これも傑作だ。ベックはここ最近のアルバム数枚どれも傑作なので、すごいレベルに達しているのを感じざるを得ない。
 3位はアルゼンチンの現代的であり伝統的でもある音楽活動を展開するピアニスト、ファン・フェルミン・フェラリスのソロ作。ジャンルでいうとジャズにあたるとみなされている作品。タイトルの通り、非常に映像的な感覚が喚起される秀作である。
 4位は、我らがロビー・ロバートソン御大久々の新譜。これもタイトルから分かるように映画的なアプローチの音楽。重厚(個人的には若干地味な感じも受けるが)な音作りは熟練の境地と言える。昨日の映画関連で言うと、『アイリッシュマン』のテーマ曲も収録されており聴きごたえ充分。
 5位はなかなか選びきれずに2作品に。アラバマ・シェイクスのヴォーカリストのソロは、バンドの曲とは一味違い、重みと深みがある曲を歌いあげている。ヴォン・イベールの作品もある意味ジャスティン・バーノンの集大成的な位置づけといえるまさに神秘的な作品。両作品とも美しい。
 後、ここには挙げなかったが、ポール・サイモンのトリビュートアルバム(『アメリカン・チューンズ』)が素晴らしくて、最近ずっと聴いている。後、昨日の映画編に引き続きでしつこいようだが、『Once Upon A Time In Hollywood』のサントラが素晴らしい。さすが、タランティーノのオタクセンス炸裂!という感じ。
 さて、そんなこんなで2019年もたくさんのいい音楽に出会えた。さて、2020年はどんな音楽に出会えるでしょうか!(TM)

2019/12/29

Look Back 2019 その1

 2019年もいよいよラストです。と、いうわけで例年、誰に頼まれる訳でもなく勝手にやってますが、全く個人的なマイ・ベスト2019を振り返り。
 で、今日は映画編。
 映画はまず映画館のスクリーンで観るべし、という主義。若いころ(学生時代)は本当にやることがなかったので、映画館に入り浸っていましたが、さすがにもうそんなに行く時間はなくなってしまっている。そんな中で厳選して観ているような感じと、いいながら何やかんやでおおよそ35本鑑賞した次第。今年のマイ・ベスト5はこんな感じ。

 別枠『クリード2炎の宿敵』/スティーブン・ケイプルJr.
   『タレンタイム 優しい歌』/ヤスミン・アフマド
 1位『シティ・ハンターTHE MOVIE 史上最香のミッション』
                       /フィリップ・ラショー
 2位『サスペリア』/ルカ・グァダニーノ
 3位『メランコリック』/田中征爾(One Goose)
 4位『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
                   /クエンティン・タランティーノ
 5位『ブラック・クランズマン』/スパイク・リー
   『ゴールデン・リバー』/ジャック・オーディアール
         『アメリカン・アニマルズ』/バート・レイトン

 いきなり、別枠で2作品。すみません。
 『クリード』はロッキーの続編映画第2弾。日本公開が本当に年初めだった(ので、ほとんど今年という概念がない)のと、ロッキーへの思い入れの強さから別枠に。前作に引き続き傑作で、もう昔のロッキーの流れを脱して新しい流れをつくったと思う。個人的に『ロッキー4』オンタイムの世代なので、涙なくして観れない。ドルフ・ラングレン(&もちろんスタローンも)万歳!。もう1本の『タレンタイム』はマレーシア映画の大傑作。2009年作品だが、この度再上映となり初めて観る。これがすごかった。ノスタルジー感が半端なく、家族愛ド直球をこれまでもかと考えさせられる作品。映画後半3分の1くらいから涙(号泣)が止まらず、崩壊の嵐。大切な一本との出会いだった。
 さて、本編へ。1位は何と!『シティ・ハンター』の実写版(しかもフランス映画)にした。これは、期待感との強烈なギャップの賜物としかいいようがない。何気なく時間が余ったので観たら、これがすさまじく、ドはまりしてしまった。原作への愛情と再現性へのこだわりは凄まじい。作品のプロットも実は良くできている。いや、世界は広い。最後、TMネットワークが流れるところはまさに日本人なら鳥肌が立つこと間違いない。
 2位は『サスペリア』。ダイオ・アルジェント作品(77)のリメイクと言われているが、まったくの別物。まずは映像美。本当に観ていて恍惚としてしまう。そして、観終わった後の「???」感はすさまじい。個人的にはこの前日に『バーニング』(監督:イ・チャンドン)を観たのだが(これも傑作。素晴らしかった。)、連日食らう大きな「?」に、やはり世界は広いとしかいいようがない。
 3位は『メランコリック』。日本のインディペンデント系で正直予告編ではあまり好きな感じではなかったが、これが予想を覆しものすごく面白かった。若い役者もすごく良く、「面白いものつくって映画界変えてやるぜ」的なエネルギーを感じられた。最後のシーンも素晴らしく思いがけず泣かされてしまう。
 4位は『ワンスアポンナ』。本ブログ2019/10/3に詳しくは書きましたのでそちらを参照ください。http://mizarchi.blogspot.com/2019/10/
 5位なかなか選べず3作品。『ブラック・クランズマン』はメッセージ性+エンターテイメントの塊でこれぞ映画という作品。さすがスパイク・リー。アダム・ドライバーの演技も抜群。『ゴールデン・リバー』は骨太な作品性はしびれるし、後はやはりメインの4人の役者陣の演技。ホアキン・フェニックス物では『ジョーカー』(もとても良かった!けど)を外してこちらを入れさせていただく。『アメリカン・アニマルズ』も非常に新鮮な作品。途中で作中の実際の事件の当事者が映画の出演者へシフトしていくあたりが堪らない感満載である。
 この他、個人的には『スパイダー・バース』を今年鑑賞。いや、衝撃度ではある意味今年No1。アニメ映画も新たな世界に突入したなと感じる。そして何といってもnetflix映画がどれもすごく、『ローマ』(監督:アルフォンソ・キュアロン)(日本では今年一部映画館で上映しそれに参戦。逆説的だが、まさにこれこそ映画館で観るべき映画。)、『マリッジ・ストーリー』(監督:ノア・バームバック)(ここでもアダム・ドライバーが抜群の演技。いや、どれもすごいのが素晴らしい。そして、スカーレット・ジョハンセンもキレキレ。)、『アイリッシュマン』(監督:マーティン・スコセッシ)(とんでもない3時間半、多分、アカデミー獲るやろう)、など選外にしたが、見応え充分だった。
 という感じで、来年もいい映画に巡り合いたいですね。
 明日は音楽編、いきますよ。(TM)

2019/12/28

卒業設計審査会2019(年度)

 先週末の話になるが、3年生の設計演習の講評会の3日後に更なるメイン・イベントが到来。さて、武蔵野大学の卒業設計の公開審査会。疲労のため体力は限界。ここは気合で乗り込むのみ。
 昨年度までは年内に1次審査でファイナリストを選定し、年明けの作品展の期間に合わせてそのファイナリストによる2次公開審査をおこなう流れだったのだが、今年度はそのプログラムを改変。午前中に全員のポスターセッションをおこない、1次審査によりファイナリスト選定。午後に2次の公開審査会をおこなう、という1日で全てが決まる流れになった。
 午前中の1次審査で10名の学生を選定し、最終審査で発表をおこなう。例年そうなのだが、発表&審査で最初考えていた作品評価に関しても、いろいろと考えも変わってくるのでその点は興味深い。
 1400にスタートし学生の発表に続き、公開審査会に突入。今年も審査員の先生方、12名という大所帯で開催(しかも、公開で!)するので、これがなかなか審査会の運営上の難易度を上げている。
 最初に投票をおこない議論に入る。今年の結果は10作品のうち得票が多い5作品と少ない5作品にはっきり分かれるかたちとなった。
 得票の多い5作品に絞り、各作品に関して各審査委員が講評をしていく。例年と比べ、審査の時間設定が短かったため、なかなか議論が深まっていかなく若干時間切れ感も残しながら、作品の順位までを合議で決定することができずに最終の決選投票へ舵を切る。と、文章で書くと平坦な感じになるが、このあたりで既に夜の7時前。5作品の中でも比較的得票が多かった3作品の勝負になるかな、と予想したのだが、予想通りその3作品を軸にして順位が決まった。1位から4位(武蔵野大学は4位までが優秀賞)はある意味、順当といえば順当な結果となった。
 水谷研からは、3名が最終審査会に臨み、ヤマジが次点(武蔵野大学は4位までが優秀賞なので5位)ということで涙をのんだが、マァコが見事1位(最優秀)を獲得。アユが2位(優秀賞)と大健闘だった。重ねてになるが本当にお疲れさまでした。審査する側もどっぷりと疲れました。
 終わった後、全体の懇親会をおこない、学生も(ついでに教員も)一様に「1年が終わった感」をにじませながら、学生の作品をツマにいろいろと話をする。
 個人的な感想としては、今年は例年に比べてレベルは高かったような感があり良かったと思う。入賞者は年度明けに学外へのコンテストに進むのでしっかりとブラッシュアップして臨んで欲しい。
 学生たちには、卒業設計は卒業後も自身の語り草になるので大切にして欲しい、というようなことと、最近ライブを観たときにジャズミュージシャンの菊地成孔氏が言っていた、「自分の信じている神を信じろ!」(詳細は省きますが、決して宗教的な意味合いはありません。「神」の所を「魂」にしてもいいかもしれません。)をメッセージとして伝えて、長い一日が終わる。
 さて、いよいよ年度末も佳境に突入。(TM)

2019/12/27

設計演習講評会2019ラスト

 武蔵野大学3年生、設計演習最終課題の講評会。武蔵野大学は4年生に設計演習の授業がないので、これが授業としてはラストの設計課題となり、後は卒業設計を残すのみとなる。
 3年生後期は僕も含めて5名の建築家によるスタジオ制(各建築家により異なる課題を出して、少人数のスタジオのようなかたちでおこなわれる設計演習)での設計演習のかたちをとっており、他のスタジオの課題が見られるのはこの講評会だけなので、教員としても楽しみである。個人的には年末のバタバタで体力は限界ながら、何とか気合で講評会に臨んだ次第である。
 水谷スタジオの2019年度課題は(例年とそれ程変化なく)『武蔵野市現代美術館』。敷地はかつてバウスシアターが存在していたサイト。例年は発表者をセレクトする訳だが、今年度は履修者が全体で少なかったので、水谷スタジオも4名全員が発表できた。

 ・波型の大きな木造部材によりゾーニングをおこない街に開放する美術館
 ・スラブの積層で全体を構成し、彫刻を展示する、丘のような公園美術館
 ・既存の商業施設をリノベーションし、地下に新たな展示機能を創出する美術館。
 ・吉祥寺の街の要素を取り込み、様々な展示室が可変しながら一体的に連続していく美術館

 と、いう具合にそれぞれに魅力的な提案を完成させた。学生のみんなは本当にお疲れさまでした。
 講評会は13時過ぎから始まり、先生方の非常な熱心な指導及び講評があり、20時くらいに終了。長丁場になるので、さすがにこっちも身も心もしびれてくる。終了後、毎年恒例の懇親会へ。そこでは、一様に課題から解放されて、充実感と虚脱感を漂わせている学生たちの様子をみて、こちらもそこはかとなく静かに充実した達成感を感じることになる。
 例年はこれが僕にとっての年内ほぼほぼ最後の学内のメインイベンなのだが、今年はこの後すぐに卒業設計の審査会が控えている。さていよいよ年末に突入するのであります。満身創痍(とは、ちと言いすぎか?!)になりながら、じっくりいきますよ(笑)。(TM)

2019/12/15

ヨシュア・トゥリーの再現

 ちょっと先週の話になってしまったが、ヨシュア・トゥリーの再現ライブを観に、さいたまスーパーアリーナへ馳せ参じる。(ちなみに、「ヨシュア・トゥリー」とは、アメリカ西南部の砂漠に植生するユッカの樹のことである(by ウィキペディア))。「ヨシュア・トゥリー」。ロック史上における名盤である。
 そして、バンドの来日は13年ぶり。ということで、もう観ることはできないかもしれない、という思いを抱えながら会場へ。個人的には、以前このバンドを生で観たのは、1993年の来日時。東京でしか公演がなかった(今回もそれは同じ)ので、当時住んでいた京都からはるばる出てきた学生時代の日々をアリアリと思い出す。
 ライブ自体は、巨大なスクリーンに映し出される映像(多分、ライブ中のMCでアナウンスされていたのでディテクターはアントン:コーヴィン)が圧巻。さまざまなメッセージを発しながら、観る側も恍惚としながらも胸にドスンとくる感じを味わう。ライブ前半は「ヨシュア・トゥリー」以前のオールタイムベストのセットリスト。後半は「ヨシュア・トゥリー」以後からの渋めの選曲も含めた楽曲群が素晴らしい。特に「Ultra Violet」の時に、世界を変えた女性たちを紹介する映像は感動的だった。
 2時間半程のライブを堪能し、ここまでストレートにメッセージを発することのできる(しかも大きなエンターテイメント込みで)バンドは、もういないかもしれない、と改めて感じ入る。合掌。
 史上最高のライブ動員数を誇る80年代以降では最も重要なバンド。
 メンバーは不動の4人。ラリー、アダム、エッジ、そしてボノ。
 その名もU2(TM)


2019/12/05

「東京」展

 お台場のビッグサイトで開催されている「エコプロ2019」のプログラムの中でシンポジウム(主催:武蔵野大学)があり参加(登壇)する。お台場も久しぶりの気がするが、その道すがら、東京はオリンピックを控えて、また変化していっているように改めて感じる。
 その流れで、東京都写真美術館で開催中の『中野正貴写真展「東京」』展をみる。個人的には「TOKYO NOBODY」シリーズの写真集を持っているのだが、改めて大きなプリントされた写真をみることで、いろいろと気づかされることもある。展覧会はその「TOKYO NOBODY」も含めて、作家のこれまでの東京を撮ってきた景を一同に眺めることができ、どんな東京論よりも、この写真群の方が迫力&説得力があるなぁ、と改めて思う。丁度今辿って来たお台場(正確には青梅)の開発されていく様をみながら、改めて時の流れを感じるのでありました。(TM)