2010/10/27

U2のいえ

10月20日。武蔵野大学の設計演習(空間造形4)の授業の講評会。毎年恒例になっているが、この授業の前半で僕の課題は、スーパースターの家(元ネタは1975年に開催のコンペ『わたしのスーパースターの家』(審査員長:磯崎新))シリーズである。毎年ロックバンドを課題のテーマに建築空間を考える、というコンセプチュアルな課題。ある意味非常につかみどころのない課題なので、学生もそうだが、講評をするこっち側も難しい。今年の課題は「U2のいえ」である。僕としてはオンタイムなバンドなので思い入れも強い。課題の全文は武蔵野大学水谷研のHPを参照ください。


今年は6名がスタジオを履修。まずまずみんな頑張った感はあったが、コンセプトの提案性ばかりに気をとられていて、空間の具体的な構築まで至っていないという点が少し残念である。それにしても毎年同じ反省をしているな。やれやれ。

今年の学生の発表の中に面白い感じをうけたのがひとつ。内容は置いといたとして、スタンスが面白いと思った。彼女の提案は、U2の「空間ではなく、精神性のあるかたちでの具現化」ということであった(彼女がそう言った訳ではなくて僕の解釈です)。なかなか「空間造形」の授業で、空間ではない(もちろん建築でもない)ものをつくる、ということを堂々と発表するのは、ある意味「ロックだな!」と感じた(彼女がそこまで意識しているかどうかは全くの謎ではあるが。)。これはいままで6年間このシリーズの課題をやってきてなかったので、興味深かった。空間を考える上で、物理的な空間を考えることが果たして全てなのか?う~ん、このあたりに踏み込みだすとなかなか頭がトロけそうだ。でも改めて建築というものを考える機会にはなる。そんな思いを胸に、授業後は三鷹に出て、大塚先生、宮口先生なんかと出て、酒を飲む。さて、来年の課題はやいかに?