2023年もいよいよラストです。と、いうわけで例年、誰に頼まれる訳でもなく勝手にやってますが、全く個人的なマイ・ベスト2023を振り返り。で、まずは映画編。
映画はまず映画館のスクリーンで観るべし、という主義。今年は夏から、いろいろとバタバタし過ぎで8月以降映画館にあまり足を運べなかった。と、いう数少ない観た映画34作品の中から、ということなのだが、前置きが長くなるが、
・一番泣いた映画 →『Blue Giant』(立川譲)(マジでハンカチが足りないくらい泣いた)
・一番アガッた映画 →『アクロス・ザ・スパイダー・バース』(今のアニメの最高到達点、マジで腰を抜かした)
・一番笑った映画 →『逆転のトライアングル』(リューベン・オストルンド)(ラストシーンも素晴らしかった)
・一番演技に驚いた映画 →『TAR』(トッド・フィールド)(ケイト・ブランシェット、マジ恐るべし)
・一番学生に薦めた映画 →『エブリシング・エビリウェア・オール・アット・ワンス』(ダニエルズ)(まさに現代の映画!これがアカデミー作品賞とは時代が変わったな!)
という感じで、ビッグ・バジェット系のこの5作品はランキングから外すことにした。
さて、今年のマイ・ベスト5はこんな感じ。
1位『アフター・サン』/シャーロット・ウェルズ
2位『クライムズ・オブ・フューチャー』/デヴィッド・クローネンバーグ
3位『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』/古賀豪
4位『エンドロールのつづき』/パン・ナリン
5位『ベネデッタ』/ポール・ヴァーフォーヴェン
『アステロイド・シティ』/ウェス・アンダーソン
『別れる決心』/パク・チャヌク
『レッド・ロケット』/ショーン・ベイカー
今年は、ずばぬけて好きな映画がなく、かなり迷った。そんななかで、
『アフター・サン』が、非常に良かった。もう一度観たいと(何故なら一度見ただけでは、理解できないことが多いので)一番感じた映画。11歳の娘と父親との2人旅を回顧してしている設定の映画で、個人的に自分の娘と重ね合わせてしまうので、完全にもう1回観たら号泣することが分かっている。そして、クライマックスで流れる、クイーン&デヴィッド・ボウイのあの名曲の演出が、素晴らし過ぎる。
『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』はクローネンバーグ久々のクローネンバーグらしい映画だったが、世間の評判は微妙な感じだった。が、設定(「人類に痛みという感覚がなくなった近未来?に、新しい臓器を、タトゥーを施して摘出するという行為をアートとして表現する」と書きながらこの時点で既に意味不明感ビンビン!)の異才さ、役者の演技、美術のデザインのオリジナリティ、すべて変で、奇妙で、と観ながら恍惚とする。
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は評判が高かったので、まさか!と思い観たら、感動した。今のアニメにはない(若干前時代的な)テイストが良く、水木しげるのメッセージも十分伝えている。最後の最後に「鬼太郎誕生」のタイトルが出る瞬間はマジで泣ける。
『エンドロールのつづき』は、映画を巡る、インド映画らしくないインド映画。巷では『ニュー・シネマ・パラダイス』の再来と話題になっていたが、全然違う!そして、全然、こっちの方が良い!!
のである。映画の本質について、そして、今後の映画を考えさせる、非常に射程の深い映画だと思う。
5位は選べず、たくさん挙げてしまう。『ベネデッタ』はポール・ヴァーフォーヴェン節全開で素晴らしい。最初から最後まで開いた口が塞がらない傑作。それにしてもクローネンバーグ80歳、ヴァーフォーヴェン85歳、でこの作品群とは。すさまじすぎる。
『アステロイド・シティ』は、あまり話題にならなかったが、ウェス・アンダーソンが、ますます意味が分からない(褒めてますよ)所まで到達していて、興奮した。
『別れる決心』は、さすがのパク・チャヌク。ストーリーの展開と色気が半端ないです。
『レッド・ロケット』は、これほどダメな(史上最高に感情移入できない)主人公の話で、ここまで魅せて面白い作品づくりに感服。新鋭、スザンナ・サンの存在感が良い。
という感じで、来年もいい映画に巡り合いたいですね。
明日は音楽編、いきますよ。(TM)