2023/12/29

Look Back 2023 前振り

 2023年もいよいよラストです。と、いうわけで例年、誰に頼まれる訳でもなく勝手にやってますが、全く個人的なマイ・ベストを映画と音楽で振り返る。

 という訳なのだが、ちょっと前振りで、今年の写真データを整理していて思い出したトピックを。

 夏に家族の用事で都心に出て、4時間余り時間を潰す必要が出てしまい、近くにあった神保町シアター(設計:日建設計)を観に行く。すると、丁度、映画が一篇始まるいいタイミングでの訪問となり、えいっ!と観劇した次第。映画館で「男が惚れる男たち」(昭和の)特集の上映をしていて、観たのは「ボクサー」(監督:寺山修司)。寺山修司監督に惹かれての鑑賞だったのだが、この映画が、予想に反して非常に素晴らしかった。

 まず、寺山修司監督の作品なのだが、アート的ではなく非常に商業的な映画。そして、主演が菅原文太と清水健太郎で、まさに、丁度、ちょっと前に公開されていた『ロッキー』と重なる。と、いうか、どっちかというと「明日のジョー」かな。ボクサーのファイトする空気感が濃密に描かれており、この時代のボクシング映画、しかも邦画では、かなり異端だったかもしれない。何と言っても、昭和の空気感が半端ないのが、良い、のである。来場者もほとんど高齢者男性ばかり(自分が一番年下かも、という感じ)で、ある意味タイム・スリップした感覚を味わった。

 この劇場、都市型小劇場ということで、共用部(ロビー)が以上に小さいので、終演後、併設した別ホールでやっていた吉本系のライブを観終わった若い女性客と、我々が交わって、何とも形容しがたいミスマッチ(よく言えば、キッチュ)な雰囲気を形成していた。いやはや。でも、これも一興。

といった映画にまつわる、休日の午後でありました。(TM)