2010/12/12

さとがえる日曜日

 『いすヲつくる』(武蔵野大学で展開している授業)でお世話になっている渡邊浩幸さんのお師匠さんである東京藝大の田中一幸先生の展覧会『佇む木々 田中一幸展』(田中先生の退官記念の作品展)が藝大の陳列館で開催されているので妻と上野まで。田中先生には一度取手キャンパスで御挨拶させていただいただけなのだが、丁寧に御案内をいただいたので拝見させていただくことに。木の部材の解体と再構築により創り出される作品は非常に魅力的で、木を組んで作品をつくるといういわば初源的な行為自体を考えさせられる。そしてできた作品は非常にユーモア感があるという、味わいの深い展覧会になっていた。また、作品のモチーフが建築的な要素が多くみられ、自分の設計行為ということも少し考えさせられた。『いすヲつくる』授業を履修してる学生にも是非見てもらいたいと思う。

 隣接する藝大美術館で大学院博士課程の学生作品展を開催していたので、そっちもついでにのぞいてみる。美術の世界もなかなか難しいなぁ、というのが正直な感想。さすがに博士課程の学生なので力作ぞろいだが、作品のモチーフは「どこかで見たよななぁ。。」というものばかりで、なかなか爆発的なエネルギーのようなものが感じられない。まあ、あくまで僕の個人的な感想なのですが。建築も美術も同じような状況なのかもしれないなぁとひとり思い悩む。展覧会鑑賞後、歩いて駅へ。上野公園にあるメリーゴーランドが冬の夕焼けのなかで、儚く哀しくも幸せな感を出していて、写真をパチリ。
 渋谷のNHKホールまで移動。本日のメインイベント矢野顕子の『さとがえるコンサート2010』へ。毎年、矢野顕子が開催している恒例のライブで、僕たちは昨年から行き出した。今年のバックミュージシャンも昨年同様の布陣。オリジナルの他、コルトレーンとかツェッぺリンのカヴァーなどを演奏して、ほっこりと幸せな感じのライブである。1年を締めくくりにはピッタシだ。「ラーメン食べたい」とウィ―ザ―のカヴァーがよかったな。それにしても矢野顕子は声もしっかりと出ていて、改めて感動。素晴らしい。個人的には3月のボブ・ディラン依頼のライブ鑑賞。2010年は結局この2つしかライブには行けなかった。近年稀にみる少なさ。そのあたりが少し哀しいが、やっぱり、レコード(CD)じゃなくて、ライブは最高だ。
 いよいよ年末モードも加速がついてきた。後、20日で2010も終わるのだと、感じながら帰路につく。文化的な年の瀬の週末。