2021/12/29

Look Back 2021 その1

【※遅ればせながら振り返りUPします。しばらくしたら2021年の欄に移動します。】

 2021年もいよいよラストです。と、いうわけで例年、誰に頼まれる訳でもなく勝手にやってますが、全く個人的なマイ・ベスト2021を振り返り。

 で、今日は映画編。

 映画はまず映画館のスクリーンで観るべし、という主義。なので、今年も新型ウィルスの影響で、本当に困った。いや、なので、今年のベストを選ぶのにも本当に困った。と、いいながら何やかんやで、今年のマイ・ベスト5はこんな感じ。

  1位『アメリカン・ユートピア』/スパイク・リー

  2位『1秒先の彼女』/チェン・ユーシュン

  3位『ドライブ・マイ・カー』/濱口竜介

  4位『アナザー・ラウンド』/トマス・ビンターベア

  5位『パーム・スプリングス』/マックス・バーバコウ

    『天国に違いない』/エリア・スレイマン

  『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』/エドガー・ライト

  別枠『ノー・タイム・トゥ・ダイ』/キャリー・ジョージ・フクナガ

  1位は、別枠にしようかとも思ったが、やはり外すわけにはいかない、ということで、『アメリカン・ユートピア』に。このブログでも既に一度書いたが、ただのロック・ライブのドキュメンタリー映画、であり、‘ただもの’ではない映画である。そして、この映画の良さを言葉で表現することが非常に困難である(何故なら、ただのロック・ライブのドキュメンタリーだから)。だが、観る者は感動する。トーキング・ヘッズもデヴィッド・バーンを知らなくても感動する。ので、ある。素晴らしい。素晴らしすぎる。是非、映画を観てその意味を感じてもらいたい、という映画である。

 2位は台湾映画の『1秒先の彼女』。批評としては、若干、賛否あるように見受けたが、個人的には、今年一番刺さった映画。基本的に時間と記憶をテーマとして映画、とみたが、ファンタジーのシーンの描き方の転換と、台湾の地方を巡る映像が圧巻で、まさに映画館で観るべきある。そして、ラストシーンは本当に、観る者すべてが泣く。いや素晴らしい。

 3位は2位にするかもかなり迷ったが『ドライブ・マイ・カー』。まったく予備知識なく映画館で観たのだが、若干今までの村上春樹原作物をふまえて、少し‘舐めてた’ら、見事に裏切られた。堂々とした作品の構え(そもそも上映時間3時間くらいあってビックリした)、チェーホフやベケットをモチーフにした演劇との連関性、ほとんどのシーンが車の中という舞台設定、等々、どれも骨太で、感嘆するばかり。アカデミー賞候補にも上がりそうな勢いもビックリ。

 4位は『アナザー・ラウンド』。これは個人的な感触では不思議な映画、だった。飲酒をテーマにしたデンマーク映画だが、酒好きな人にとっては、本当に身につまされる映画。観終わった後に、本当にいろいろと考えさせられた。そして、何といっても、それらのモヤモヤ感をすべて包み込むラストシーン。主演のマッツ・ミケルセンのパフォーマンスが洗い流す。

 5位は決め切れずに3作品。

『パーム・スプリングス』は、定番のタイム・ループもの、な訳だが、いろいろな超越的な摩訶不思議なシーンが伏線として散りばめられており(そしてその伏線は見事に回収されないくらいの超越具合)、シンプルなラブ・コメディ(×タイム・ループ)のように一見みえて、実は奥が深(そうに思える。。)い、これまた不思議な映画。

『天国に違いない』は、さらに不思議感満載。数国の合作映画だが、パレスチナ人の監督が主演を兼ねているので、パレスチナ作の映画といって差し支えなく、そして、そこが映画の主要テーマともなっている。非常にオフビートな全体のテイストに差し込まれる、ユーモアと風刺の効いた美しい映像が秀逸である。

『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』は我らがエドガー・ライト最新作。いよいよ巨匠の仲間入りか、と思えてくるほど、映画のつくりが骨太だ。オタクの星、エドガー・ライトが遠い存在になっていくように感じさせ、一抹の寂しさも。とは言え何といっても60年代を再現した映像&音楽の洪水は、映画館で観るべき映画。

 後は、007『ノー・タイム・トゥ・ダイ』がやっと上映されたのは、嬉しい限り。

 という感じで、来年もいい映画に巡り合いたいですね。

 明日は音楽編、いきますよ。(TM)