2022/08/05

小田原の測候所にて

 施設視察で小田原の江之浦測候所(設計:新素材研究所)に赴く。現代美術作家の杉本博司氏が構想し、実現した場(展示公園(?)のようなもの)である。美術収集家としての一面も持つ杉本氏が集めてきたさまざまな物(像や井戸や石など)が、みかん畑の丘陵風景の中に点在しており、それを来館者は巡っていく、というかたちになっている。

 敷地内の新築の建築群自体は、大谷石などの自然素材をふんだんに用いながら、隙のないモダニズム建築を実現しているように見受けた。いわば、ミースとライトのハイブリッドにアート性を加味しているという感覚。また、公共建築にありがちな、安全側へ過剰に意識した要素は排除されており、そのあたりの運営面での潔さには感嘆させられた。

 個人的には、何となく、イタリアのヴォマルツォの公園や、日本国内だと中野区の哲学堂公園を思い起こしてしまった。何となくそんな不思議な空気感をまとっている。いやあくまでも、個人的な感想です。。。

それにしても、この場をつくったパワー(情熱と言ってもいいと思う)、はすさまじい、と思う。建築的行為のそうなのだが、人間とか自然とか社会とかに思いを馳せながら、いや、いろいろと考えさせられる。(TM)