2013/04/24

年度のスタート

 新年度がスタートして早くも1月が経過しようとしている。
 事務所は来月から少し体制が変わるので、その準備をしています。引き続き一同、今年度も頑張っていく所存であります。
 学生も水谷研8期生のゼミがいよいよスタート。また1年が始まるんだなぁと感じる今日この頃。
 大学では毎年学生の作品集(『Mu』という名前です)を制作しており、その中で教員も毎年1年の総括をすることになっている。自分の担当している授業を総括するのが普通な訳ですが、僕は場違いに随想を勝手に書かせていただく。この時期にまったく遅ればせながらですが(例年恒例なのですみません)、全文を以下に掲載します。卒業生のみなさんは懐かしさとともに、どうぞ。


■2012年度 回顧・雑感
 さて、今日、2013311日にこの文章を書いています。2011年から2年が丁度過ぎたことになります。例年(2011年からですが)のことなのですが、Muのこの欄では同じトピックばかりを書いているような気がします(本来はこの欄では自分の担当している授業を総括しなければならない訳ですが、僕は場違いに随想を勝手に書いてしまっています)。が、やはり今年も117日と同様、311日は僕たちにとっては忘れられない日だ、と改めて思いながら1年の総括をしています。
 糸井重里氏が「ほぼ日刊イトイ新聞」の巻頭のエッセイでも、「「これは忘れてはいけない」と、じぶんで決めたことは、忘れてはいけないことです。でも、「忘れてはいけない」と思ったことさえも、人は忘れてしまおうとします。」というメッセージを言われています。ので、忘れないようにしないとね、と。僕も末席ながらそんな考えに共感させていただきながら、建築についても、学生のみなさんとこの1年考えてきました。というか、考えてきたつもりです。さて、学生のみなさんがどうだったでしょうか?
 卒業設計は3.11をダイレクトに扱った作品は1作品。ただ、この2年を意識した(或いは自覚している訳ではないが、意識しているように感じられる)作品は、いくつかの作品に感じられました。(いい意味での)寓話的なコンセプトテーマであったり、地下に包まれるようなアンダーグラウンド的な空間デザイン、また全体を物語として捉えようとするテイストは、少し何らかを表現しようとしているのではないか、という思いを想起してしいました。そういう意味では充実した作品群を今年はみれたのかもしれません。が、どこまでその物語の奥深くまで考えたのだろうか?と、思ってみたりします。
 翻って空間造形43年の設計演習、略して空造)はどうだっただろうか?今年度からスタジオ数も5スタジオに戻り、プログラムも充実して熟成してきました(。。。ような気がするのは僕だけかな?)。空造は課題の設定がある意味バシッとフィックスしていますが、熟成してきたこの渦中だからその点は学生のみなさんはその固いディフェンスに是非勝負をかけて欲しいところ。なのです。まだまだ、おとなしい受身感は否めないのです。
 環境プロジェクトは、スタートの課題は「ゼロから始めるイス」。と、いうことで意識の源泉は実はできています(気づいていましたか?)。そして、はじめて新宿クリエイターズフェスタに出展をする機会を得ました。作品のタイトルは『大地解体』。僕個人的には非常にスレスレのネーミングだな、と思いながら、実際に新宿のまちの中に作品をつくっていった学生のみんなはどう考えたのだろうか?、と再び思ってしまいます。
 答えの出ない問いを絶えずしながら、(建築)デザインのプロセスは続いていきます。
 最新の『Number』(スポーツ雑誌)は、「90年代特集」。僕はいつもこの話になってしまいますが、95年は毎年Bクラスの神戸ブルーウェーブ(現バッファローズ)が、神戸の被災を受けた年に優勝をした年です。この記事も特集に組まれており、その中で当時選手だった元メジャーリーガーの田口荘氏が、(表現は厳密ではありませんが)「ホームの神戸グリーンスタジアムでは、観客席の声援の後押しがあまりに強烈過ぎて、試合に負ける気がしなかった。実際、それ程強くないチームが、奇跡的に勝ち続け優勝にたどり着いた」と言っています。
 言葉には表現できない、何か(見えない力のようなもの)が現れる。そんな感じなのでしょうか。敢えて表現すると不思議な衝動感。そんな感じを学生のみなさんは、各フェイズでちょっとくらい感じたのだろうか??
 さて、この文章はこれで終わります。答えはありませんし、明確なストーリーのようなものはないですし、激励の言葉もない。少し気持ち悪いですか?別の意味で不思議な感じがしたかな?
 何か感想があれば、、、聞かせてください。
 それは5年後。10年後でも。全然、大丈夫です。
 街の繁華街にかかる橋の上世界は再び色づきはじめる 
  Can’t Stop Rockin’ On!!      (TM)