2011/10/19

レッチリのいえ

武蔵野大学の設計演習で、3年後期の第1課題の講評会。例年通りだが、第1課題は3週間の小課題で、学生にはある意味、瞬発力を期待した課題でもある。
水谷スタジオは例年のとおり、『スーパースターのいえ』(ロック・アーティスト)シリーズ。今年で、このシリーズも7年目に突入したことになる。いやはや、長く続いてますね。
 そして今年の課題は『Red Hot Chilli Peppersのいえ』。
 この課題は敷地や建築条件など、特に規制や制約のない課題なので、学生は本当に困った顔で設計に取組むことになる。まずは設計(デザイン)のとっかかりを見つけなくてはいけない。普段はそんな、なんでもありな課題に接してないのでまずはそこで苦労する。そしてコンセプトを構築して、空間として表現し、その設計したものの意味を問わなければならないので大変そうである。
 学生と議論していると、「ある程度制約がないと、進められない。。。一体、何したらいいんですか?」という意見を年度を経るにつれて聞くようになってきている。自由さ故の不自由さ。そんなことを学生も実感しているのだろう。ここでのポイントは、助け船は決て出さないということ。これは、指導教員としてもとても悩ましいところではあるが、そこがツボである。自分で突破口を見つけることも大切なんだ(というか、そこに課題の一番の醍醐味がある)ということに気づいて欲しい、と思っている。でもね、なかなか最近の学生諸君は結果を求めたがるから、、、難しいのである。
 今年度は7名が履修。先週まではほとんどが完成しないんじゃないか、と心配していたが、蟻の巣のような空間があり、ストイックなまでに建築素材を積み上げていく形態のものもあり、場所性を認識させるしかけづくりだけで勝負する案もあり、ニューヨークの超高層ビルにガツンとやる都市的なアプローチもあり、まったく空間として機能していないメタフォリカルな案もありと面白かった。
 履修者のひとりがマレーシアからの留学生で、その彼が最後に、「この課題をやることの意味は一体何なんですか?」と聞いてきたのが刺激的だった。
「その意味を見つけることに、この課題の意味があるんじゃい!」。
と、いうのがひとまず僕の答え。
 なにはともあれ講評会は、ある意味、“ロックンロール・タイム”を自ら体感できる瞬間だ。
 さあ、学生のみんなはロックできたかな?