2022/10/31

偶然の聖地と日本シリーズ

 10月に入って、ブログを更新しまくるつもりでいたのが、まったく進まず、最早10月が終わろうとしている、やれやれ。

 宮内悠介著の『偶然の聖地』を読了。評判通りの不思議な小説で、読後の感想は軽くクラクラする感覚だった。地図にはなく、限定された人間の目の前に(ある意味意識下といってもいいかもしれない)、突如として偶然あらわれる山(イシュクト山)を巡る奇想の旅、の話。なのだが、途中から何を読んでいるのかよく分からなくなる、という謎の快感を味わえる小説である。カテゴリーでいうと、SF小説ということになると思うのだが、幻想小説、冒険譚、恋愛小説、或いはエッセイ、とも読めてしまう。そのストーリーもさることながら、この小説を特異な存在たらしめているのは、その体裁である。異常なまでに脚注が多いのである。もしかしたら本文よりも文字数が多いんじゃないか、と感じるほど。なので、この脚注を読んでいると、話がなかなか進まない。しかも、その脚注の内容が、本編のストーリーと全く関係のないこと(例えば、筆者の個人的な回想等)が突如差し込まれてくるので、話の内容に戻ってくるのに、頭をグルグル使う訳である。いや、面白かった。

 この何だか分からない感覚なのだが、我がバッファローズが、ついに26年ぶりに日本一に。

 それにしても今年の日本シリーズも大接戦の連続だったので、何だか、勝った実感がない、という不思議な感覚である。優勝が決まった瞬間、中嶋監督が頭を抱えていた気分は、観ていたファンも良く分かる。なんか現実感がなく、フワフワしている今日この頃である。

 自分の眼の前に“イシュクト山”が出てきたらどうしようか、と変な思いにも頭を巡らせながら、余韻に浸るのであります。はい。(TM