2022/02/20

設計演習(M1)講評会

 引き続き、大学の設計演習の紹介です。こちらは、最終講評会を1/19に開催。急激に新型ウィルスの感染者数が増えてきた時期で、講評会が対面でできるか一抹の不安がよぎったが、何とか無事に開催できた。

 授業は建築家、生物建築舎の藤野高志さんと運営しており、課題は、「街の中の劇場的な場」というもので、文字通り、街中での新しい劇場の在り方の提案を問うている。課題文は下記の通り。

 今年度は履修者が6名いて、充実したものとなった。最終講評会には、劇場プロデューサーの伊東正示氏(シアターワークショップ代表)と、建築家の大塚聡、平田悠の各氏にお越しいただき、活発に講評いただいた。

 学生諸君も講評会後は、一様に充実感が漂い、解放された表情で、こちらも見ていて微笑ましい。今後の活躍に期待したい。年度末に向かって、元気にいきましょう。(TM)

■課題

「街の中の劇場的な場 -武蔵野芸能劇場改築計画-」

三鷹駅北側に位置する武蔵野芸能劇場。武蔵野市立武蔵野芸能劇場条例第 1 条に定め られている通り、郷土の古典芸能の保存、育成及び芸術文化の振興をはかることを目的 1984 年に建設された。武蔵野市の公共施設であり、武蔵野文化事業団が施設の管理 運営をおこなっている。施設は伝統芸能の他、現代劇の利用も対応した 154 席の小劇場 と、展示会や講演会に多目的に活用できる小ホールが設けられている。開館当時は、東 京都無形文化財にも指定されている江戸糸あやつり人形劇の公演の稼働率が高かった が、1990年代以降は特に伝統芸能に特化しない演目が開催されている傾向もみられる。 50 年が視野に入ってくるこの施設を新たな「劇場的な場」として改築計画をおこな うことを課題とする。 現代においては街と建築のつながりの重要性が叫ばれて久しい。大学における設計課 題でも都市への戦略をどうとらえてどう提案するのかということを求める課題も少な くない。そこで、今回の課題は建築と都市の関係をよりよいものとするための建築の計 画(建築デザインを含めて)を考えてもらいたい。 ここで言う「劇場的な場」というものは、既存の町にある一般的な劇場に限る必要は ない。ただ、まちの人(或いは、あなたでも構わない)がそのコミュニティ劇場でなん らかのモノ(文化活動やイベントや情報など)を発信できて、それを様々な人(もちろ んあなたも含める)が楽しめる仕組みを建築の中で構築してもらいたい。 上記の劇場機能の他、展示機能としてのギャラリー等、何らかの複合的な機能を併設 するものとする。その他自分のコンセプトに即した付加機能は自由に設けてよいものと する。既存の施設を利用した計画なども可能である。 計画においては周辺のまちや自然環境へどのように関わるかということへの提案は 大前提である。ハード、ソフト、環境が一体となり社会へ発信していき、魅力的な次世 代のまちづくりへとつながっていくような、新たな「劇場的な場」の提案を期待してい る。 特に敷地は三鷹駅直近ということもあり、駅との関連性、駅前の開発計画等をどうと らえるか、ということなど広い視点でじっくりと吟味してもらいたい。 蛇足ではあるが、この課題のポイントは場所を吉祥寺ではなく三鷹にしているところ である。これは武蔵野市の中の三鷹地域の場所性を吟味することに配慮してもらいたい という思いももちろんあるが、新宿や渋谷や六本木などの都心でもなく、住みたい街ラ ンキング上位常連の吉祥寺でもない、その街をどう捉えるかという課題も含んでいる。 それも頭の片隅に置きながら考えて欲しい。