2023/11/01

指さす標識の事例

 ずっとバタバタで、本を読む時間が中々なかったのだが、秋に入ってきたので、無理やりにでも時間をつくろうと励んでいる。読みたい本が積読(つんどく)状態で、たくさん待機中な訳だが、ここ1年ほど、ずっと読みあぐねていた本があった。

 イーアン・ペアーズ著『指さす標識の事例』。ジャンルは、推理小説、ということになるのだが、時代背景が1600年代のイギリスで、また文章が微妙な感じで、読み進めづらい感触なのだが、ヴォリュームが約1200ページ(ワオ!)くらいの大作。全体が4編に分かれていて、章毎に語り部が変わるので、どれが本当のことなのかが分からない、という、いわば『藪の中』(芥川龍之介)状態。これを、ずっと読んでは止まり、読んでは止まり、をしていたのだが、一念発起して、一気に読み終える。やれやれ。

 これでやっと、村上春樹の新作に、ものすごく遅ればせながらだが、取り掛かることができた。そして、この新作、まさに『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の世界であることに、静かな衝撃(まだ、序盤なので、この後どういう展開になるのかが楽しみだ)。秋の読書を楽しみたい。合掌。(TM)