2022/04/22

“タガタメ”の街並みやら

 その昔、ミュージシャンの上田現氏(当時、小生の羅針盤的存在だった。もう亡くなって14年が経つのか、という事実に気づき、時の流れのあまりの早さに戸惑ってしまう)が、自身の『もう逢えない人に』(アルバム『夕焼けロック』収録)という曲の中で、

「掛けられた密かな魔法は / あなたがいなくなっても / 続いています、あの電信柱に / 遠くどこまでも続く家並に」、という詞を唄っている。

 街中で、無秩序世に開発されている街の様子に出くわすと、何故かこの曲を憶い出してしまうのだが、吉祥寺の駅前で現在進行している工事現場で出くわした。吉祥寺でも有名だった銭湯の建物が、道路側の建物が取り壊されたために、期せずして、もの凄く街の前面に出てきてしまっている、今日この頃である。おそらく月日が経つと、また殺風景な高いビルが建ってしまうし、そう遅くない時期にこの銭湯自体も取り壊されてしまうだろうから、ある意味、一瞬の景観が誕生している、と言えるだろう。まさに蜃気楼のようだ。

 そうして、時の流れの早さを改めて感じさせられる、のである。僕たちの街の様相は、いとも簡単に書き換えられていく、という流れは如何ともしがたい。そして、それに対して、あまり人々が興味を持っていない(ようにみえてしまう)ということが、また人々を寂しい気持ちにさせるのである。うむ、合掌。

 タイトルに“タガタメ”とPCのキーボードを打ってしまったが、これはもちろん、“誰が為”ということである。いや、念のため。(TM