2014/03/12

今西家住宅


  学生の奈良建築研修旅行にスポット参加をする。奈良には何回か行っているが今井町まで行くのは初めて。

  今西家住宅は17世紀中頃(江戸時代初期)の町屋住宅の構造様式などを残す遺構で、とても興味深い。最大の見どころは内部の土間空間。非常に大きな空間に屋根の小屋組の架構が露わしで懸かっており、その構造体が見せる空間全体のテイストは圧倒的で、またヒューマンスケールな居室部分との空間の対比が、より空間の魅力をひきたたせている。

  ある意味非常に大きなスケール感というものは、建築の世界では批判されやすいところだが、ある劇(的)性を有すると体感する者にとっては何にも代えがたい空間として立ちあがってくる。これはこの住宅が地域全体の要塞のような機能を果たしていたことや、この場が当時はお白州の場であったという空間が持つプログラム自体がもつ劇性というのもあるだろうし、それらを背景に屋根架構造を含めた大きなスケールの空間と小さな居住空間を舞台背景にしながらその場で展開される人々のアクティビティ等のドラマツルギーを感じることができるからなのではないか、と思ってみる。
これも骨太のデザインなのだなぁ、と漠然と感じながら、空間を満喫する。やはり奈良は奥深い。(TM)