2011/11/08

ザ・ウォールな昼下がり


 武蔵野大学の授業「環境論演習」でのひとコマ。毎年恒例になってきたが、授業の中で『散歩ライブ』をおこなう課題を出したところ、なぜかこんなことに。
 学生が倒れているのは御愛嬌。そもそも課題の主旨は場所を読み解いて、その場を表現できることを何らかのかたちで(表現方法は全くの自由)パフォーマンスをおこなう、というもの。そんな主旨はどこにやら(まあ、毎年そうなんですが)、というところだが、学生の意外なエネルギーにこっちも少し興味深かった。

 これはあるグループが、段ボールを大量に集めてきて即席で空間をつくる、という試みをしたところ。プログラム自体は特に何てことなく終わったのだが、一旦終わった後にある学生が「段ボールで壁を立ててブチ壊したい!」、と発言した所に端を発する。今までののんびりした雰囲気から一転、学生たちの動きが機敏になり段ボールの壁があっという間に立ち上がる。そして奇声を上げて、ドワーっ!!と壁を壊したところ、勢い余ってずっこけてます。
 それにしても、最近の若者は元気ないな、という感が世の中満載だが、いやいや。ロック魂は若者にもあるじゃないか、と思わされた一コマでした。
 ひとつひとつ積み上げた壁を壊す、という行為はさまざまなかたちで演じられたり、アート活動としておこなわれたり、文字通り壁を壊したりと、、、人間の壊したい欲求の根源的な表現方法なのかもしれないと、思ってしまう。ピナ・バウシュの『パレルモ・パレルモ』しかり、ジャン・ピエール・レイノーの『レイノーの家』しかり、そしてピンク・フロイドの『ザ・ウォール』しかり、である。(ピンク・フロイドは逆だったかな?最後に壊したような記憶があるが間違ってたらすみません。)
 そして期せずして、もうすぐ、吉祥寺バウスでピンク・フロイドの『ザ・ウォール』が始まる。
 今の若者はピンクの豚が見えるだろうか?
 そんなことに思いを馳せる昼下がり。
 なのである。