2015/05/19

ヤバい考

 家の足元のシランが咲きほこっている。どんどん気候も暖かく(と、いうか暑く)なってきた。
 シランで想い出したが、最近、「ヤバい」という言葉が気になる。若者は、非常に素晴らしいという表現に使うアレだ。この前、大学のキャンパス内に群で咲いているシランを観て、ある学生一団が、「あの紫の花、ヤバくない?!」と言っていたのを聴いて、爆笑を押さえるのに苦労した。
 「いえいえ全然、すごくないですよ~。普通ですよ~。」と言ってあげようと思ったが、そこはグッと我慢する。
 さて、明治大学の青井哲人先生にお招きいただき、明治の2年生の設計演習の講評会に参加。2年生最初の課題と言うことで、課題は個人住宅なのだが、みなさん一生懸命、課題に取り組んでいる様子が窺える。最初の課題なので、是非これからも設計を続けて欲しいという個人的な思いもあり、あまり批判はせずに、どうすればもっと良くなるかという視点で講評。約20名ということもあり、約5時間の講評はさすがに頭がしびれてくる。でも、みんな真面目に取り組んでいるので、「ヤバい」作品は残念ながらなかったかなぁ。第2課題も声を掛けていただいているので、次の課題も楽しみだ。
 さて、うちの(武蔵野大の)学生はどうだろうか。
 連休を終えて学生も落ち着いてきたのか、本格的に4年生のゼミもエンジンがかかってきた。今年度は研究室の活動も多岐に渡る(越後妻有、新宿クリエイターズフェスタ、トロールの森、など)ので大変なのだが、年度明け当初はまだまだスロースタート気味。その状況に危機感を感じたのか、学生相互で渇を入れ合ったらしく、ピリッとしてきた。頼もしい限りである。後は、後輩達(特に3年生)の奮起を願うばかりである。3年生は来週が設計演習の第1課題の講評会だ。今週までの進捗はかなりヤバい。いい意味での「ヤバい」ではありません。本当に文字通りヤバいです。ハイ。是非、がんばって欲しい。
 写真は4年生の研究室決起会でのワンショット。毎年度、恒例で各年度のスローガンを決めている。2015年度の水谷研のスローガンは、これだ。

言葉の意味が分かったレコードのように、もう終わったかと思い込んでいるあなたは
 はじまりのうたをうたう
 It’s A Rock ’n’ Roll Time !!

頑張っていきましょう。(TM)

2015/05/08

現地調査@妻有

 新潟の妻有地方も雪融けを始め、雪の状態も落ち着いた、とのことで、「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2015」の作品出展準備のため現地調査に赴く。
 写真を見ると、出展場所が分かっちゃいますよね?!
 今回は出展敷地の状況を改めて検証ということもあり、研究室の4年のチャンエリとサワディの2名が同行。敷地の視察とともに、城山も1時間半程散策。里山アートと銘打ち、さまざまな常設のアート作品が山の中に点在している様子を見て回る。場所の状況も把握ができて、作品のイメージも具体的になってきた。
 夕方に十日町に移動し、2期生(卒業生)のベン(新潟魚沼在住)が仕事終りに駆けつけてくれる。十日町の居酒屋でおいしい日本酒とともに一献。さて、いよいよ妻有モードに入ってきた。また進捗は学生のブログでもお伝えします。そして夏は是非、芸術祭にお越しください。(TM)

2015/05/03

取材@唐ヶ谷

 3年ほど前にリノベーションの設計をおこなった住宅、『唐ヶ谷のいえ』が、雑誌の取材を受けることになり立ち会いに赴く。実は我が親の住宅。と、いうことで、実家が取材されるというのは、自宅が取材されるということよりも、はるかに奇妙な感覚だ、ということを実感する(でも、その感覚は何故なんだろう?)。
 たった1部屋だけのリノベーションで、しかも既存は普通のハウスメーカーの住宅。既存の仕様もごくごく普通で、規模は本当にミニマムな訳だが、設計としては大きく出て、建築や都市にとどまらず環境全体にまで手を伸ばせるようなことも考えてみた。まあ、本当に低予算の中、しかもワンルームでできる範囲で、ということではありますが。
 建築の可能性ということをどんなスケールでも考えることは大切なことだと、取材を受けて改めて考えさせられます。建築は、だからこそ面白い。(TM)

2015/05/01

カヴァーに想う

 最近、カヴァーもののアルバムを立て続けに購入し、何となくヘヴィー・ローテーションで聴いている。カヴァーものは、つまらないのもたくさんあるけど、いいものはいいなぁ、とつくづく感じる。カヴァーの良い面は曲を再構築している、という、そのコンセプトから手法までを含めたテイストを楽しめる所であり、そう考えるとある意味、有名な楽曲のカヴァーの方が面白いのかもしれない、と思ってみる。有名という所が、みんなが知っているということにつながり、ハードルが高くなっている所もあるが、その壁を突き抜けたところでいい形で再構築できている作品は、オリジナルを超えた面白さがあると思う。そのあたり、建築にもつながることかもしれないなぁ、と思ってみたりする。 さて、ビリー・ホリデイが生誕100周年ということで、ビリー・ホリデイのカヴァー・プロジェクトがいくつかあると思うのだけど、カサンドラ・ウィルソン(『Coming Forth By Day』)とホセ・ジェームス(『Yesterday I Had The Blues』)の盤を購入。ホセ・ジェームスは最高に素晴らしい。ここ2作品程、個人的にはちょっとはまらなかったので嬉しい限り。正当ジャズに取り組んだ作品が意外と良いなぁと思うが、気のせいかな。後、70年代ポップス(ロック?)を中心にセレクトした、ダイアナ・クラールの盤『Wallflower』もいい。少し静かなテイストでまとめられているのが物足りなさを感じるかもしれないが、静かに仕上げることによりひきたつ側面をかなり意識しているのではまいか、と思う。プロデュースはデヴィッド・フォスター。最後にボブ・ディランの盤(『Shadows In The Night』)が最高。あまり表だってクレジットされていないが、フランク・シナトラが唄っていたトラディショナル・ナンバーをカヴァーしたもの。あまりに多様にカヴァーされ尽くされてきた楽曲を渋く選曲し、それを更にディランがカヴァーすることにより、新の魅力を「アンカヴァー」するという意図があるらしい。まさに、そのあたりカヴァーの真髄なのではないか、と感じさせられる。ちなみにLP盤はブルー・ノートのレーベルデザインをそのまま踏襲(コピー)していて、ある意味ウィットに富んでいる。
 再度、改めてだが、こういう試行(或いは思考)って、建築のリノベーション(やコンバージョン)と通じるものがあるなぁ。(TM)

2015/04/24

木材へ@武蔵五日市

 ある施設の椅子(ベンチ)を、その敷地にあった既存樹木によりつくるプロジェクトが進行中。木工デザイナーの渡邉浩幸さんと、久しぶりにタッグを組んで設計&制作をおこなう予定。武蔵五日市の製材所にて、製材が終わった材を関係各者の方々と確認に赴く。実際の制作はまだ先の話だが、渡邉さんと仕上げのイメージなどを共有しながらイメージをふくらませる。
 全然関係ないが、武蔵五日市駅はJR東日本の五日市線の終着駅。終着駅というのは、何となく不思議で素敵な感覚を呼び起こす。しかも東京都内なので尚更。この駅から秋川渓谷へ山登りをする年配の方々が、まあまあの数いて新鮮だった。終着駅で降りて、山に登る、っていい響きだなぁ。(TM)

2015/04/14

2015イスをつくる課題

  庭に植えたチューリップがきれいな黄色に満開(って表現合ってますかね?)。大学もいよいよ新年度が始まりました。新年度にあたり、さまざまな授業で続々と課題を出す。今年度も「イスをつくる」授業は、趣向を凝らした課題にした。来年2月までじっくりかけて学生たちは取り組みます。さて、どんな作品ができるか楽しみだ。
 
 

イスをつくる」課題:

「 午前4時の256分前
   深夜のラジオのスイッチをつけ
   1945年から、70年を考える
   そんな時に座るイス」


 
【課題概要】
  とあるジャズ・ミュージシャンが深夜のAMラジオで喋っている。
  「もしあなたが自信を失い、疲れ果てて、自分や誰かを呪いそうになって、生きていく意味がわからない子羊のようになって、そして。。。もしそれが金曜の深夜だったら、ラジオをつけてください。」、と。
  さて、2015年は戦後70年を迎える。世界各地で勃発する戦争やテロ、緊張するアジア情勢、原爆から原発への流れ、翻弄される経済の動き、米軍の沖縄基地、靖国神社、5年後に開始される五輪、etc、、、。この70年の時間を僕たちはどう考えるのか。
  2007年にブルース・スプリングスティーンは『Radio Nowhere』を唄っていた。そんな流れは、さまざまなコンプライアンスによる委縮という枠組みがかぶさる日本のラジオにもみて(聴いて)取れる。ラジオDJのピーター・バラカンが2012年に仕かけた「ラジオに魔法を取り戻す」ことはできるのか。
そんな、今現在。
いろいろなことが身の回りでも起きている。そして、僕たちはどこに向かうのか。
様々に考えを巡らしてみてください。魅力的なイスに出会えることを期待しています。(TM)

2015/04/08

事務所10周年

  事務所登録更新のため一路神戸へ。
  早いようで、長いようで、いや、やっぱり早いようで、という時間的な感覚ですが、事務所が10周年を迎えました。
  ありきたりではありますが、これからもいい建築の設計をしてゆく所存でおります。
  神戸元町駅の高架下は昔から変わらない風情で、何か感じさせるものがあります。
  さて、次の10年やいかに。    (TM)