2022/09/08

われらの時代のサイン

 現代アーティスト、ライアン・ガンダーの『われらの時代のサイン』展が、オペラシティ・アートギャラリーで開催されていて、新宿方面に出向いたので観覧する。これは、昨年開催予定だった展覧会が新型コロナの影響で開催できなかったので、いわばリベンジ的な、満を持しての展覧会といってもいいだろう。(ちなみに、昨年は代替で、ライアン・ガンダーがキュレートして同館の収蔵作品を展示するという、これまた画期的な展示だった。ちなみに、このブログ2021/6/29でも書いていますので参照ください。)。

 さて、あまり期待しすぎると肩透かしを食らう、ということはよくあることだが、この展覧会はそんなジンクスは全く関係なく、すさまじかった。ここ近年でみた、展覧会の中では圧倒的に素晴らしい、と個人的には感じた。展示空間自体と作品が連動していて、そこが建築やってる者としてはたまらない(この会場でもそう感じるので、アーツ前橋でやったら、さぞ素晴らしいだろうと勝手に妄想)。この歳になってくると、あまり感動することがなくなってくるのだが、静かに感動の嵐である。合掌。

 作家の作品のテーマである、時間&お金&教育(転じて洗脳)、と“よく見ないと分からないもの”、ということを踏まえながら、それにユーモアの調味料をドップリと(しかし、超センス良く)ふりかけまくっている作品群に、完全にヤラれる。鑑賞者は、作品に各々のアクションを振る舞いながら、自分で「考え」なければいけないので、その鑑賞体験は非常に(静かな)刺激(衝撃?)を受けるのである。会場は写真撮影OK!、でも「撮影のための後ずさり禁止」(笑!)なので、その世界観を味わいたい。いや、面白い。そして、世界は広い。(TM)