2020/04/25

ザ・ポール・ウィナーズ

 新型ウィルスの状況は変わらず。
 ずっと、カミュの『ペスト』のことが気になっている。中学生の頃読んだ気がしていたが、本棚を探したところ無かったので読んでないのかもしれない。高橋源一郎のNHKラジオの番組『空飛ぶ教室』で紹介されていたので、概略をつまんだだけだが、人間は本当にどうしていいか分からないような状況になったとき、本質的なことを考えるようになる、ということなのだと理解した。もちろん、まっとうな人間であれば、ということである。今の現在、そのまっとうな人々はどのくらいいるのだろうか?、いや、自分も含めて、ということを考えてしまう。
 深く考える時間を与えられているのだ、と、今現在の状態を捉えると、意外と気持ちが落ち着くかも、と思ってみたりする。
 そんな感じで、ポール・ウィナーズのアルバムを聴く。ギターのバーニー・ケッセルがメインのアルバムのような体裁だが、何といってもレイ・ブラウンのベースが最高にいい。ドラムはシェリー・マン。これ見よがしなソロや、余計なモノがなくて、あまりに謙虚な名盤。村上春樹がエッセイ『ポートレイト・イン・ジャズ』で「人間性の自然な延長の先に、その音楽はある」と評している。まさに、その通りとうなずくばかり。(TM)