2024/12/31

Look Back 2023 その2

 昨日に引き続き、全く個人的なマイ・ベスト2024。今日は音楽編。

 今年もあまり新譜を手に入れることが少なく、もっぱら中古アナログレコードをボツボツとゲットしていたという次第。ので、セレクトするのにかなり迷ったのだが、2024年のマイ・ベストを選んでみる。

 順番はこんな感じ。

 別枠:『The Holdovers/ O.S.T.

 1位:『No Name/ Jack White

2位:『12 Hugs/ 羊文学

3位:『Find Your Flame/ Nubiyan Twist

 4位:『Defiance Part2/ Ian Hunter

 5位:『soraya/ soraya

 まずは、映画『ホールドオーバーズ』のサントラ。サントラなので別枠に。映画の舞台が70年代なので、その時代に合わせた楽曲が並ぶが、当時の音楽だけではなく2000年代以降の70年代テイストの曲も絶妙に配されていて、素晴らしい。クリスマス・アルバムとしてもいける。国内はデータ配信とアナログLPでの販売という両極の特異な販促の在り方(自分がゲットした当時)で、もちろんアナログ・レコード2枚組を入手。何故かCDでは販売スルー、というのも一興だった。楽曲群も素晴らしく、年末までにかけてかなりの頻度で聴いていた。

 1位は、ジャック・ホワイトの新譜。マジで、ロック!という作品。そして新しいということを実現できている。まさに、「ロックは死なない」を最先鋒で戦っている姿は涙なくしては語れない。

 2位は羊文学の新譜。邦楽を基本的にはあまり聴かないのだが、子どもたちが『呪術廻戦』を観ているのを横で観ていて、曲がよかったので、アルバムまで買ってしまった。ギター・ロックがほぼ死滅してきた昨今、こんな音楽が日本の人気アーティストが生みだしているのは素晴らしいと思う。

 3位はヌヴィアン・ツイストの新譜。UK出身の9人組アフロジャズ・バンド。ソウル、ジャズ、エレクトリック、ダンス、等の要素が混然一体となった万華鏡のような傑作。ナイル・ロジャースも1曲参加していて純粋に楽しめるアルバム。

 4位は、何とイアン・ハンター先生の新作に。イアン・ハンター御大、まだ、バリバリの現役である。御年85歳!!ギター・ロックを真正面からやっている姿勢に脱帽。

 5位も日本のアーティストの作品に。壷阪健登(p)、石川紅奈(b)のユニットのファースト・アルバム。何となく、日本のクラシック・ポップとジャズの融合という感じの良作。今後の展開も楽しみだ。

 そんなこんなで2024年もたくさんのいい音楽に出会えた。さて、2025年はどんな音楽に出会えるでしょうか!

よいお年を!(TM)



2024/12/30

Look Back 2024 その1

 2024年もいよいよラストです。と、いうわけで例年、誰に頼まれる訳でもなく勝手にやってますが、全く個人的なマイ・ベスト2024を振り返り。

 で、まずは映画編。

 映画はまず映画館のスクリーンで観るべし、という主義。今年は夏から、いろいろとバタバタし過ぎで8月以降映画館にあまり足を運べなかった。

 と、いう数少ない観た映画30作品の中から、という感じ。

 さて、今年のマイ・ベスト5はこんな感じ。

1位『エストニアの聖なるカンフーマスター』/ライナル・サルネット

2位『夜明けのすべて』/三宅唱

3位『ホールドオーバーズ』/アレクサンダー・ペイン

4位『チャレンジャーズ』/ルカ・グァダニーノ

5位『憐みの3章』/ヨルゴス・ランティモス

 今年は、上位3作品は差がなく、実質全部1位!そんな中で、小さな規模の順に並べてみた次第。

 『エストニアの聖なるカンフーマスター』は、非常に奇妙過ぎる映画で、「一体何なんだコレは?」という衝撃の連続で面白かった。カンフーと宗教(信仰)に何故かブラック・サバス(ヘビーメタル・バンドの)を掛け合わせたテーマで、SFのようでありながら、アクションあり、ドラマ的な成長譚もあり、そして最後は家族や愛の話に帰着して泣ける、という映画だった。そして絶えずバックにはブラック・サバスが鳴り響いていて(って書いてて意味不明)、最高なのである。最後のエンディングを観ながら、『恋する惑星』(監督:ウォン・カーウェイ)を想い出してしまったのは、多分、自分だけだろう。。。

 『夜明けのすべて』は純粋に良い映画だった。妹尾まい子の同名小説の映画化。上白石萌音が最高に素晴らしい。大田区の馬込周辺が舞台になっており、東京下町の街の様子を非常に良い感じで切り取っている映像が非常に秀逸。限られた予算でも、傑作ができる、ということを証明している。

 『ホールドオーバーズ』は何といっても、アレクサンダー・ペイン監督最新作。アレクサンダー・ペイン好きなんです。映画の舞台は70年代なのだが、現在の最新の技術を駆使して、70年代のテイスト(映像から音楽まで)を再構築する、という一見みただけでは分からないコダワリが詰まりまくっている作品。最後のオチもマジで泣ける。

 『チャレンジャーズ』は、ルカ・グァダニーノの最新作。ルカ・グァダニーノも好きなんです。内容的には、ほぼ意味のないテニス・スポーツジャンルの作品なのだが、非常に特異な撮影技術(というかスタンス&センス)と勢いだけでグイグイと押し切る、という爽快な一品。ゼンデイヤの凄さがやっと分かったし、ジョシュ・オコナ―とマイク・ファイストと共鳴する3人の演技が最高で、圧巻のラスト。

 『憐みの3章』はヨルゴス・ランティモス節復活の作品(ここのところアカデミー賞等を意識したような大作が続いていたのでイマイチ個人的には食いきれずだった)。今年は、アカデミー・ノミニーの『哀れなるものたち』も上映されたが、個人的には絶対こっち。個人的には決して好きな映画ではないのだが、とんでもない作品。多分、今年一番笑った(しかも、大苦笑いで)映画。。

 後、『ロボット・ドリームス』、『ルックバック』のアニメ作品もよかった。残念ながら、観たかったけど、『メイ・ディセンバー』、『バーナデッド』『動物界』を見逃したので、また再上映の機会を待ちたいところ。

 という感じで、来年もいい映画に巡り合いたいですね。

 明日は音楽編、いきますよ。(TM)

2024/12/24

クリスマスと美学

 自宅のダイニング・スペースの横の小さな棚に、その時の気分でレコードを立てかけている。

 クリスマス、ということで、今回は、『Do They Know It’s Christmas?』(の12インチEP)と、後、何となくニュー・オーダーの『権力の美学』。

 ニュー・オーダーのセカンド。超名盤。多分、自分のオール・タイム・ベスト・アルバムを選べと言われたら、30枚の中に入るかもしれない。

 そして、この季節はクリスマス・ソングで巷は溢れかえっているが、やはりこれでしょう(まあ、ワム!も良いけど)。このバンド・エイドのチャリティ盤がリリースされるニュースは、当時衝撃だった。自分は中2の頃で、PVをテレビにかぶりついて観ていた記憶がある。そして、この後、『We Are The World』へとつながっていく。時は流れているが、飢餓や世界の経済格差は、当時から変わってない気がする。そんな思いも抱きながら、メリー・クリスマス。元気にいきましょう。(TM)

2024/12/23

松谷武判

 先週のはなし。有明方面に赴くことがあり、その経路で少し時間ができたので、オペラシティ・アートギャラリーで開催されていた、『松谷武判』展を観に行く。

 具体(美術協会)の第2世代として活躍したアーティストで、接着剤(60年代当時は新しく開発された素材だった!)を使った立体作品が有名。今回の展覧会は、過去最大規模の回顧展である。で、回顧展と銘打たれているので、不勉強ながら存じ上げなかったが、現在もバリバリの現役で、作品創作を盛んに続けているという事実に衝撃!プロフィールを拝見すると、御年87歳!いや、素晴らしい。

 展示作品の質量とも充実しているのだが、創作過程を記録した映像展示があり、それを鑑賞した後でもう一度作品を見直していくと、その圧倒的な存在意義が感じられる。接着剤を送風機で地道に乾かして、その上から鉛筆(黒鉛)で更に切々と塗り込めながら仕上げた作品群。圧倒的アナログのエネルギーに感動する。年末のバタバタ感も吹き飛ばしてもらいながら、「「疲れた。。」とか言ってられへんなぁ。」と痛切に感じる。そうです、元気にいきましょう。(TM)

2024/12/22

コロッサル・ユース

 年末になり、本当に慌ただしくなってきた。が、どんなに忙しくても、少し時間があればレコード探索に赴くのであります(!)。

 で、ずっと欲しかったアルバムをついに発見!!

 『コロッサル・ユース』!!!、とは言っても、ペドロ・コスタの、あの難解な傑作映画の話ではない。

 ヤング・マーブル・ジャイアンツ。ウェールズ出身のポスト・パンク・バンドの1980年の作品。カート・コヴァ―ンが影響を大きき受けたアルバムとして、後に再評価されている、ある意味伝説の盤。

 いや、改めて、アナログ・レコードで聴くと、素晴らしさ倍増。

 この傑作をうみだしながら、バンドはこの1枚しかリリースしていない、という史実も、その悲哀も全てをとりこみながらの趣きがある。

 年末のバタバタ感を、音楽で安らぎを与え、元気にいきましょう!(TM)

2024/12/14

20年ぶりの同窓会

 武蔵野大学環境学科住環境専攻(現、建築デザイン学科)1期生の卒業生が主催で、卒業してから20年ぶりの同窓会が開催される。そして、その場に、お招きにあずかる。

 本当に20年振りに会う卒業生もいて、楽しいひと時を過ごす。1期生は、まだ女子大の時期だったので、(当たり前だが)全員女性。今、振り返っても、非常にパワフルな学年だったな。自分も若かったので、一緒になって必死にがんばっていた記憶が甦る。

 水谷研のメンバーも、9人が集まってくれた。みんな元気そうで、うれしいかぎり。1期生みなさん、ありがとうございました。(TM)

2024/12/11

都心の劇場とピアノ

 最近、劇場を調べてみる機会があり、改めて、ポツポツと、比較的規模の大きくない劇場をリサーチしている。

 都心に出向いた際に、大手町にある日経ホールに出向く。600席規模の、基本的には企業セミナー対応をした、ホール。なので、メモ用の小テーブルが内蔵された客席があり、非常に機能的(なので、あまり劇場としての色気はない)なのだが、音楽ユースにも十分に対応をしているようで、矢野顕子のコンサートがおこなわれていたりする。そのアンバランスさが、面白い。

 このブログでも以前、“勝手にマイ天才ミュージシャン”について触れたことがあるが、矢野顕子さんのことを忘れていました。天才ですね。自身の楽曲はもちろんのこと、他の人の曲も、矢野顕子が唄うと、矢野顕子の曲になってしまう。そこが、本当にすごい。

 元気にいきましょう。(TM

2024/12/08

講義:空間とデザイン

 少し前、先月のはなし。武蔵野大学の3年生の授業で「空間とデザイン」というのがあり、盟友の建築家、増谷高根さんに担当いただいていた。この度、授業開始から10年目を迎え、最後の授業となる。

 思い返すと、10年前には、有明キャンパスがメイン・キャンパスだったので、10年の歳月はやはり時間の深みを感じる。増谷先生、長期間に渡り、おつかれさまでした。

 最終講義の後、上石神井の居酒屋で、その10年を思い出しながら、おつかれさまの杯を交わす。だいたい、二人で飲むと、取り留めない話で閉店まで過ごすのだが、今回も例にもれず、最後の方は、スペインのバルセロナの街の話とか、血圧の話とか、ニュー・オーダー(ロックバンドの)の話とか、しているうちにあっという間に終電の時間。

 一つの時代が終わりを迎え、おやじどもは帰路につくのでありました。(TM

2024/12/05

ロボット

 最近、劇場を調べてみる機会があり、改めて、ポツポツと、比較的規模の大きくない劇場をリサーチしている。

世田谷方面に出向いた際に、シアター・トラムに出向く。『ロボット』という公演が上映中。ノゾエ征爾(「1万人のゴールド・シアター」の人だ!)演出。カレル・チャペックの原作としてあまりにも有名な戯曲。100年前につくられた話だが、AIがどんどんと成長している現在を、まさに表現している話、といえるのではないか。

現実の世界をみても、効率ばかりを追い求め、何だか、息苦しい世の中になってきている、と感じるのは気のせいかな?「不毛こそ、人類が達成した、究極の成果。」いや、名言だな。元気にいきましょう。(TM)

2024/12/02

真ん中の指

 いよいよ、12月に入った。

 まさに、師走。これから、年内のラストスパート。

 なのではあるが、そんな慌ただしい時期の最中、まことに痛恨なことに負傷。それ程ひどくないと思っていたのだが、痛みが引かないので念のためクリニックに診察に行ったら、何と骨折していた(!)。いやはや。

 利き手ではない一本の指なのだが、当たり前のことではあるが、使えないと、何かと不便である。こういう時ほど、焦りは禁物である。ゆったりと、元気にいきましょう。(TM)

2024/11/20

黙約:シークレット・ヒストリー

 相変わらず、電車での移動が多い。電車で仕事をするのが苦手なので、ひたすら本を読む(か、寝るか、)という行動パターン。

 ドナ・タート著(吉浦澄子訳)の『黙約』を読了。ドナ・タート。海外では非常に評価の高い寡作な作家なのだが、日本での知名度は残念ながらそれ程でもない。1994年に『シークレット・ヒストリー』として刊行された作品を、23年ぶりに改題して再版したもの。2巻構成の非常に読み応えのあるボリュームの小説だ。ミステリー小説の範疇に入れられている様子だが、作中で描かれている事件に関しては、かなり最初の方(というか冒頭)に明らかになるので、そのミステリー要素は中心では無く、主人公をはじめとした若者(大学生)たちの心理的な様々な揺れ動きを繊細に綴っている。大きな事件は起きているのだが、語られる内容は非常に私的なので、話しとしては、大きなクライマックスやドンデン返しもなく、ゆるやかに進んでいくので、ある意味地味といえる(ので、退屈してしまう人も一定数いるのかもしれない)。しかし、読み手をグイグイ引き込んでいくのは、何より文章の力(ので翻訳も素晴らしい)という、ある意味小説然とした骨太の力作である。この、私的なんだけど大作のようなイメージを与える、というのは、映画監督のポール・トーマス・アンダーソンの作品との通じるところがあると感じる。まあ、あくまでも私の感想です。

 この小説、23年ぶりに再版されたのは、小説家の村上春樹がとり上げたから、という経緯があり、自分も村上春樹のエッセイを読んで知った次第なのだが、再版されて7年くらいで既に再び絶版状態になっている状況に軽く衝撃を受けた。最近、自分の好きな本を、書店で見かけなくなっている様子をみながら、“本は刊行されたら、早く買っておかないと無くなる”感が押し寄せている。いや、ネット全盛の時代の流れかな。でも、最近、パワハラで辞職した知事が、SNS戦略で再選し、メディアやネットが手のひら返しになって記事を垂れ流しているようすを眺めると、「ドナ・タート、じっくり時間かけて読んで、ちゃんと考えようぜっ。」って独り言つのであります。いや、あくまでも私の感想です。(TM)

2024/11/04

トロールの森2024

 杉並区の善福寺公園で開催されている屋外アート展『トロールの森2024』に作品を出展しています。

野外×アート トロールの森 (trollsinthepark.com)

 作品名は「トロール・インフォメーション・センター-Cloud Nine-」。

 アート展の総合インフォメーションを設計・制作しました。今年は、昨年度の作品の発展形。今年もインフォメーションの内部では、自由に絵を描けるコーナーもありますので(極小空間ですが!)、アート展の雰囲気ともども、場の楽しみを味わっていただければ、うれしい限りです。

 会期は20224/11/3から23日まで開催しています。入場無料ですので、お近くにお越しの際は、是非お立ち寄りください。 (TM)


2024/11/03

悪は存在しない

 このブログでは、毎年年末に、全く勝手にマイベスト映画を、ランキング形式で挙げている。のではありますが、もの凄く気になったのだが、多分年末では、採り上げないだろうな、と思った映画の話を少しだけ。

 夏前に、濱口竜介(名作『ドライブ・マイ・カー』でお馴染み)監督作品の『悪は存在しない』を観た。濱口作品だし、世界的にも評価の高い(ヴェネチアの銀獅子賞受賞作)なのだが、何と、東京の上映は2館(自分が観にいった当時)だけ!ということで、下北沢の駅前の小さな映画館へ赴く。

 で、この作品、久しぶりに、映画が終わった時に、「えっ!?終わったの?今ので、終わったの??!」と感じざるを得ない映画だった。そういうのは、良い映画の“証”、ではあるのだが、あまりに作品の解釈が、観る者にオープン、ていうか、オープン過ぎ!、のため、かなり呆然としながら、駅前に近年開発された商業施設群「BONUC TRACK」(設計:ツバメアーキテクツ)をブラブラ眺めながら歩き、帰路につく。そして、ここまで解釈が観る側にオープンに委ねられると、中々、難しいんだなぁ、と感じ入る。若い頃に、観ていたら、多分、絶賛していただろう。でも、歳を重ねてくると、その辺がちょっと微妙な感じになってくる。そして、映像は、静かで、激しくて、美しい。そんな映画だった。

 映画館で販売していたパンフレットに、レコード(7インチ盤)が同封されているバージョンもあり、もちろん迷わず、レコード付の方を手にする。そして、家で静かに、レコードに針を落とす。

 映画を観てから半年位が経ったのだが、未だに釈然としない感じで、その余韻を楽しんでいるのであります。はい。(TM)

2024/11/02

36年ぶりの邂逅

 最近、実家の神戸に赴くことが多くなった。そういった経緯もあって、中高時代の同窓生のクスダ君と本当に久しぶりに連絡をとり合う機会ができ、36年ぶり(!)に会うことになった!いやいや、改めて本当に久しぶりの邂逅である。

 クスダ君とはバスケット部のチームメイトで、部の先輩からは「ゴールデン・コンビ」と言われていた(自分で言うな(笑!))間柄で、いや本当に“光陰矢の如し、光より速い!”である。

 お互いの、35年余りのこれまでの足跡を話し合いながら、時の流れをビシビシと感じる。クスダ君は、高校卒業後、医学の道を志し、現在は地元でクリニックを開業し活躍している。

 地元の垂水駅前の店で、魚(垂水は漁港があり、魚最高なんです)をツマに、あれやこれやと語り合いながら、あっという間に時間がたち、お互いの健闘を称えあいながら、帰路につく。いや~、時間足りなかったな。

 最後おまけに、昔の写真をひっくり返していたら、当時の写真が出てきた(ちなにに引退試合の後輩との紅白戦のワンショット。後ろの白の11番が小生(笑)。既に半年以上現役から遠ざかって、メガネでプレーしてるけど、意外と飛べてるね!)。かつては、本当に「スラム・ダンク」の世界観ドップりだったな、と改めて浸りながら。クスダ君、ありがとうございました。いや、今回は地元での邂逅だったので想いも一入(ひとしお)。本当に、時の流れは早く、そして偉大だ。(TM)


2024/11/01

超巨大梅干しの景

 いつも観ている風景が、ある事象や行為によって、一変してしまうことが時々あり、そういう場面に出くわすと、なぜか、ワクワクしてしまう。

 自宅から自転車で移動する際に、いつも見ている、工場にある巨大なガスタンク。

 それが、いつもと違う。

 なぜなら、超巨大な梅干し?(スモモかも・・・)が出現したから。。。なのである。

 多分、タンクの外壁(って呼ぶのかな?)の塗装を、塗り直していて、下地の塗装が赤い(濃い朱?)色をしているから、こうなったのだろう。それにしても、本来の薄緑色とのコンビネーションが抜群である。

 「それにしても、なぜガスタンクは、この薄緑色なのかな?ネットで調べたら分かるんやろうけど、まぁ、いいか!」と独り言ちながら、自転車を進めるのでありました。元気にいきましょう。(TM)

2024/10/31

空間造形:ジギー・スターダスト

 武蔵野大学3年生の後期、設計演習(授業名:設計製図4)の第1課題の話し。この授業は、僕を含め5名の建築家の先生と一緒に運営する、スタジオ制の設計演習。水谷スタジオでは例年、第1課題ではスーパースター(ロック・アーティスト)の空間シリーズの課題を提示する。もうこれも19年目(!)に突入。非常にコンセプチャルな課題で、学生にとっては非常に難しいと思うけど、頭をグルングルンさせ普段とはまったくちがう脳味噌の使い方をして思い切り頑張って欲しい、と例年思っている。

 今年度はデヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』を投下。学生世代の人たちにとっては、ほとんど未知の存在の様子で、まずは知るということから始まるのである。という訳で、始めにボウイのドキュメンタリー『ムーンエイジ・デイドリーム』の映画映像を観る訳である。約3週間の短いスパンだが、履修者7名が課題に取り組み、7者7様のそれぞれ面白い提案が完成した。

 基本的に正解(らしきものも含む)がない課題なので、学生も困惑するが、講評する教員もいつもと違う所に頭をもっていかなければいけないので、講評会はいろいろな先生方の意見が聞けて、こちらとしても面白い。だが、作品のコンセプト、及び、そこからつくられる建築(らしきもの)の相関関係の妥当性は当然のごとく求められ、建築(らしきもの)自体の面白さ、及び、作品自体のメッセージ性に圧倒的な説得力がないと、つまらない、のである。

 今年は、自分で実際に踊ってみて、それを空間化する案があり、プレゼンも実際にダンス・パフォーマンスをおこなうなど、非常に元気な学生のエネルギーが素晴らしかった。講評会も無事に終了。第2課題も更に面白い、学生の作品提案に期待したい。

 さて、例年通り、課題全文を下記に流しますので、どうぞ。(TM)

 

2024年度 課題:「空間創作:『ジギー・スターダスト』(指導担当教員:水谷俊博)

「スーパースターの家」シリーズで20年(コロナ禍で1年飛ばしたので、今回が19課題目)続いたこの課題。もともとこの課題のオリジナルは『わがスーパースターたちのいえ』[1]というコンペの課題である。2022年までは、スパースター(アーティスト)を対象としてきたが、昨年度からアーティストの作品自体を課題の素材としている。新しい建築の可能性を提案してもらいたい。対象作品は、『The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars(ジギー・スターダスト)』(デヴィッド・ボウイ)とする。   

『ジギー・スターダスト』は1972年リリースの5作目。デヴィッド・ボウイの評価を決定づけたアルバムであり、グラム・ロックを代表するアルバム。地球に降り立った宇宙人「ジギー」がロック・スターとして成功し、やがて凋落していく物語をアルバム全体で描いたコンセプト・アルバム(同時代に流行したプログレッシブ・ロックとの相関関係もみられる)。当時台頭してきた、マーク・ボラン率いるTレックスと双璧をなし、グラム・ロックという新しいジャンルをつくりあげた。

デヴィッド・ボウイは自らジギー・スターダストに扮し、スパイダー・フロム・マースを率いて、自身を自ら劇的に演出していく。派手な衣装や化粧をほどこしたパフォーマンスが非常に特徴的で、アンディ・ウォーホルを中心とするNYアンダーグラウンドの影響が窺え、その存在感は他の追随を許さなかった。この時期の活動があまりに強烈なためボウイのイメージが固定された感があるが、この後、ソウル的なアプローチをするアメリカ時代、ブライアン・イーノとの協働でアート的な試みをするベルリン時代、コマーシャル的な方向へ舵を切った80年代、ロックバンドのティーン・マシーン時代、を経て、多様な作品を生み出し続ける90年代~2000年代前半、そして『Next Day(2013)から、逝去する2016年『★』まで、その活動の影響は計り知れない。

この課題は、『ジギー・スターダスト』を(“音楽→建築”という世界を通して)再解釈することにより、建築的な思考や概念を再構築し、それによって創作し得る空間や建築は、どのようなかたちで表現することができるのか、時間や空間を超えた構想力豊かな新しい建築提案を期待している。


[1] 1975年の新建築の住宅設計競技の課題。『わがスーパースターのたちのいえ』。審査委員長は磯崎新。そしてその結果は。。。ほとんどが、海外の提案者が上位をしめた。磯崎はその審査評で「日本の建築教育の惨状を想う」というタイトルで、日本人提案のあまりの硬直化した状況を嘆いている。さらに相田武文が「犯されたい審査員を犯すこともできなかった応募者」という講評をおこなっている。今で言うところの「草食系」である日本人建築家の提案の惨状をみて「磯崎が新建築コンペにとどめを刺した」と評している。

2024/10/30

建築に宿る空気感

 先月のはじめに、所用で鎌倉方面に赴く。せっかく神奈川方面に出てきたので、鎌倉、茅ケ崎の建築(茅ヶ崎市美術館を訪問。小規模ながら、良い感じの美術館。)を少し巡り、湘南台へ出る。湘南台と言えば、湘南台文化センター(設計:長谷川逸子)である。

この建築は、自分の学生の頃、非常に話題になり、いつか観なければと思いながら幾星霜。何となく、自分の好みの建築ではない気がしていたので、訪れる機会を逸していたのだが、遅ればせながら遂に訪問。築35年くらい経っているので、さすがに経年している感も否めないが、実際観てみて、軽い衝撃を受けた。


 この建築、時代的にも丁度ポスト・モダン建築の集大成的な受け止められ方をしていたと記憶している。確かに、ポスト・モダンのような建築の様相、例えば、ユニークな造形や過剰な装飾等、は各所に見られるのだが、その過剰さが尋常ではない徹底ぶり。ポスト・モダン建築は表層的なものが多い印象なのだが、この建築は、それをはるかに超えた密度と質感があるのである。それを言葉で表現すると、建築家の、精神?いや、狂気、とか、怨念、といった感じなのである。いや、まったく、私独断の感想です。

 その空間の中、たくさんの子どもたちが、併殺されている「子ども館」で遊んでおり、建築家の怨念(失礼!)による空間と、そのイノセントな子どもたちの空気感が相交じり合った様子が、非常に観る者を(ある意味)感動させる。

 今の時代では、絶対できない建築。「やっぱ、建築は実際に観なきゃ、分からんなぁ。。」と感じ入りながら、神奈川を後にするのでありました。元気にいきましょう。(TM)

2024/10/29

ランチョネット&ピンナップス

 自宅のダイニング・スペースの横の小さな棚に、その時の気分でレコードを立てかけている。季節も変わってきたので更新を、ということで、今回は、デヴィッド・ボウイとホール&オーツのアルバム。

 デヴィッド・ボウイのはカバーを寄せ集めたコンピレーション盤という、ちょっと特殊なアルバムで、あんまし評価も高くない盤なのだが、ボウイとツイッギー(!)のジャケットが少し不気味でカッコいい!

 ホール&オーツのは、売れる前の地味なアルバムだが、おそらくホール&オーツの最高傑作。このジャケットも秀逸。

さて、だいぶ寒さが出てきましたが、気持ちも新たにいきましょう。(TM)

2024/10/28

クリエーターの仕事場

 大学の「建築学演習」という授業で、昨年から、クリエーターの方々の仕事場を訪
問して、その空間を記録に残すことに取り組んでいる。

 内容としては、インタビューのようなものを学生がして、仕事場の実測をしたり、写真を撮らせてもらって、それをひとまとまりのビジュアルに記録する、という感じである。

 今年度は、都内巣鴨の写真家のキッチンミノルさん&イラストレーターの得地直美さんご夫妻の仕事場にお邪魔し、演習授業を展開。学生も懸命に作業に取り組んで、無事に実施することができた次第。ご夫妻、ありがとうございました。

 自分自身が書籍やレコードを大量に所有しているので物が溢れている生活なのだが、自分と同じくらい物が溢れている空間にお邪魔したのは、新鮮な驚きだった。学生の実測なども、密度が濃いものになっただろう。

さて、これを成果物として、授業でどうまとめていくか。楽しみである。(TM) 



2024/10/27

作品設置へ@善福寺公園

 野外アート展『トロールの森2024』に今年も出展する運びとなりました。

 今週の頭に、会場である都立善福寺公園で、作品の搬入、及び、設置作業をゼミ生の学生たちがおこなう。

 何とか。無事に設置できて一安心。今年は、なかなか、準備に苦労した模様で、学生も協働作業をするのが苦手になってきているのかもしれない、と感じる。

 会期は11/3からです。

 展示会期中に公園の様子が、秋から冬に移行していくのを眺めているのもオツなものなのであります。お楽しみに。(TM)

2024/10/26

ダーティ54

 そして、そうこうしているうちに、丁度ひと月前(9/26)の話、私事で恐縮ですが、不肖、私めが54になりました。

 今年は、バタバタしていたせいで、自分本人が当日忘れていた!ということをやらかし、でも家族が祝ってくれたので思い出す!といった感じだった。これって、歳とってきたらアルアルなのだろうか?

 誕生日の翌週に、学生が覚えてくれて、「イスをつくる」授業でサプライズに盛大に祝福をいただく。ありがとうございました。

この歳になってくると、嬉しいか?と聞かれれば、もう微妙な感じになってきてしまっているが、まあ、お祝いいただくのは、本当に嬉しいものですよね。

 またひとつ歳をかさね、更に精進いたします。 (TM)


2024/10/25

デ・キリコ展

 東京都美術館で開催してた、デ・キリコ展を観に行く。キリコ、好きなんです。会場は多くの来場者で賑わっていたが、この手の展覧会にしては、イモ洗い状態とまではいかず、比較的観やすい雰囲気だった。

で、キリコが好きな割に、自分が大きな勘違いを2点ばかりしていたのを痛感した次第。

1つは、キリコの、あの列柱上の回廊をモチーフにした形而上的な絵は、イタリアのトリノの街からインスピレーションを受けていたと思い込んでいた(小生、大学院生の時に、トリノに4か月くらい住んで建築修行に勤しんでいたということもあり、キリコへの思い入れも大きくなったという次第)のだが、実は、トリノではなくフェラーラだったのか(!)(この辺り名言されていないので少し曖昧なのだが)と推察した次第。年表を見るとトリノには非常に短い滞在だったようなので、トリノ説は少しどうかな?と思い始めてしまった。

2つめは、キリコのことを、大天才と勝手に思っていたのだが、一連の絵画作品を眺めていくと、完全にゼロから生み出した作品でないことが、よく分かった。過去の他の作家の絵のモチーフを参考にしていたり、自分自身の過去の作品を再解釈して描いている様子が伺え、非常に苦労して試行錯誤をしている様子が(全く個人的な感触ではあるが)感じられた。やはり創作活動は、大変なのだなぁ、と不思議に(そして勝手に)親近感が湧いてくる。それにしてもトリノはその暮らしていた30年くらい前から訪れていないので、猛烈にまた行きたくなってきたのでありました。

そして、キリコ展、今は、大阪に巡回展しているので、もう1回観たい、と思いながらの日々であります。 (TM)

2024/10/24

今シーズン最後の野球場

 自分的には野球のシーズンが終わりを迎えた。世間では、大谷翔平のドジャースが盛り上がり、国内では日本シリーズが始まる訳だが、4連覇を目指した我がバッファローズは5位に沈み、クライマックス・シリーズを前に終戦。まったく良いところなく終わったので、完全に消化不良であった次第。

 という訳で(どういう訳だ)、今月始めに西武球場の最終戦の1試合前のゲームを観戦に。西武VS日本ハムということで、気楽に観れるところが良い。西武は武内の好投で勝利し(これで、武内、新人賞獲るんじゃないかと予想)、来シーズンへの光が見えていいなぁ、と感じてしまう。

 これで、今シーズンの野球観戦も最後となる。試合後のインフィールド・ウォークでグランドを歩きながら、一抹の寂しさと、来春への期待を感じる秋の日でありました。(TM)

2024/10/23

アーチの森2024

武蔵野大学の学園祭、摩耶祭が開催。

今年度はいよいよ本格的に対面形式で全面的に解禁ということで、5年ぶりにキャンパス内に多数の来場者で賑わう学園祭となる。

 コロナ前までは例年、木造仮設建築物(我々は「アーチ」と呼んでいる)を設計・制作していた訳だが、それもいよいよ本格的に再開という運びに。ここ2年も製作はしていたのだが、来場者が少なかったので、かない小規模な制作物になっていたので、やっと本来の姿に回帰できた。

 本当に久しぶりに、作品に多くの人々に体感してもらうことが実現でき、本当によかった、というのが正直な感想。このつくっていく文化が後輩たちに再び無事に引き継がれていくと思う。来年以降も乞うご期待。

 来場したいただいたみなさま、ありがとうございました。(TM)


2024/10/22

ウルム・スツール

 大学で授業を展開している、木工で実際にイスをつくる授業。今年度は新しい取り組みで、「きっちりと、木工作業しよう!」というテーマで、ひとつ課題に取り組む。

 名作椅子のひとつである、マックス・ビルによるデザイン、「ウルム・スツール」を、再現して制作するというものである。

 非常にシンプルな造形なので、一見、作るのは簡単そうにみえるのだが、いざ真剣につくろうとすると、これが、なかなか難しい。

 木工作家の臼井仁美さんに、一度、基本的な技術的なレクチャーをしていただいて、履修学生13名がそれぞれの、ウルム・スツールの制作に取り組んだ。出来映えは、やはり、個々に違いが出るもので、「キチンとつくる」という行為のプロセスを、学生も実際に体感できたのではないか、と思う。後期から本格化する自分のイス制作に、是非有効に活用して欲しい。(TM)


2024/10/21

旭山の動物たち


 夏季休暇を利用して、旭川にある旭山動物園を訪問。ずっと観てみたかった施設なのだが、なかなか行く機会をつくれずにいたところ、やっと念願が叶った次第。

 やはり、他の動物園と違って、さまざまな動物と接することのできる仕掛けに工夫が凝らされており、大人が体験しても面白いと感じる。冬はまた違った魅力的な企画もあるようで、是非とも再来したところだが、やはり、遠い!ので、その願いは叶うのだろうか?と思いながら施設を後にする。

 旭川の街中も、なかなか魅力的で、とても過ごしやすいのではないかなぁ、と感じた。でも、今年の旭川は暑かったけど(笑)。逆に、冬は雪が大変なのかな、と思いながら旭川を短い期間だが堪能したのでありました。(TM)

2024/10/20

刺繍少年フォーエバー

 夏前に、目黒美術館に『青山悟 刺繍少年フォーエバー』展を観に行く。この美術館は、市民参加のプログラムが充実していて、初めての訪問を楽しみにしていたのだが、いざ行ってみると、「この美術館、来た事ある!」と初訪問ではない事実に気づき、苦笑い。いやはや。

 展覧会自体は、全ての作品を刺繍に落とし込んでいる、というのが新鮮。いや、これも超アナログやな、と鑑賞しながら、ほくそ笑む自分がいる。

 収蔵作品(美術館の)を作家オリジナルの視点で分析して、マトリクス状に類型化して解説している作品が、作家のユーモア感が溢れていて、ものすごく面白かった。

 こういうある意味私的で、内省的な作品が個人的に好きなので、観ていて元気になる。常に公共性や全体性的なものばかりに囲まれてると、時々疲れてくるこの現在、こういう空気感はとても良いのであります。(TM)


2024/10/19

設計演習前期2024

 今更の話なのだが、写真を整理していたら出てきた、前期の設計演習(授業名「設計製図1」)の話。前期は、2年生の最初の設計演習の指導を、4人の建築家の方々としている。

 今年度から始めた新たな取り組みで、A0の大きさで手書きのビジュアルを制作する、という課題を最後に提示した。学生も先輩の前例がなかったので、少し戸惑ったかもしれないが、結果的には良い取り組みだったと思う。

 AIの進歩も著しく、さまざまな方面でデジタル化が進んでいるが、その時代の波に敢えて逆らうかのような、超アナログな課題。ある意味、自分の身体と同じくらいのスケールの絵(ビジュアル)を描くという行為は、多分、学生のこれからの建築活動を展開していく上でも何らかの良い影響があると思っている。今後の成長に期待したい。(TM)


2024/10/18

初みかん

今年初の、みかん。

まだ少し酸っぱいけど、美味なり。

夏が終わり、季節が変わってくるのを実感する。

さて、ずっと溜まりに
溜まっていたブログ記事を一気にドロップします。

しばらく毎日ドロップの予定。なので、だいぶ前のものもあるかも、ですが、季節感を行ったり来たりして、いただければ、と。

時間あるときにでも、ごらんください。(TM)

2024/10/11

See Sea

 あっという間に、暑すぎた夏が終わり、10月に入り涼しくなってきた。また、ブログの更新が滞ってしまった。しかも、かなり長い間。。。

 SNSやってない身にとっては、これを更新しないと、「現代でいう、『つながり』」がまったくできていないことになるのだが、いや、無駄に忙しくて、、、すみません(言い訳で)。

 夏休みのことも全くUPできなかったので、また遅ればせながらボツボツUPしていく所存であります。

 1月程前に、福井の若狭方面にでかけ、「See Sea Park」(設計:森下修)という交流施設を観る。この建築、ここ数年で、建築雑誌を眺めながら「是非観に行きたい」と感じていたもの。で、やっと観ることができた。

 鉄骨の構造が露出したままの全体の風合いが、他の建築にない魅力を感じる。内部は、この鉄骨の躯体に合わせて、木製ルーバーによる方形屋根のような天井が設けられていて、大きな一空間の中に、さまざまな居場所ができている。海辺の人里離れた立地なのだが、平日の日中も人手がチラホラみられて、居心地がいい場所づくりができているのだろうな、と感じた。最近、いろんな建築をみながら、こういった道の駅的な施設に、面白い建築が多くみられる気がしている。やはり。さまざまな結節点のような役割を果たす場所としての魅力もあるのだろうな。それにしても、公共交通機関で行くと、なかなかのロング・ディスタンスで、監理など大変だっただろうなぁ、と思ってしまう。兎にも角にも、ゆったりとした時間を堪能いたしました。元気にいきましょう。(TM)

2024/08/18

羊とWAS

 学期末で、あまりにバタバタしており、ブログが滞っています。すみません。やっと束の間の夏季休暇だが、あまりにも暑い日々。

 自宅のダイニング・スペースの横の小さな棚に、その時の気分でレコードを立てかけている。今回は、羊文学の一番新しいアルバムとWas( Not Was)80年代半ばの3rdアルバム。

 邦楽の新譜を購入することはほとんど無いのだが、子どもたちが一時みていたアニメ『呪術廻戦』のエンディングの挿入歌がカッコよかったので聴いていたら、羊文学にハマってしまった。よく知らないが、バンド名は明らかに村上春樹リスペクト?

 そして、80年代の隠れた名盤と密かに思っている、ウォズ兄弟の3枚目。いろいろな音楽が詰め込まれているようで、今聴いてもいいと思う。この頃は、ドン・ウォズがブルーノート・レーベルの社長になるなんて!夢にも思っていなかったが。時は流れる。

 さて、まだまだ夏真っ盛りですが、気持ちも新たにいきましょう。(TM)

2024/07/10

イスを巡り

 武蔵野大学で木工演習の授業をしているのだが、その授業の一環で、イスも実物の見学へ。インターオフィスさんにご協力いただき、種々のデザイナーズ・チェアを学生に堪能してもらう。授業でいくら話ていても、百聞は一見に如かずなので、実際に触れて、座ってみることで、新しい発見もあるだろう(多分)。


 新しくできた、MAARKETトーキョーの店舗も拝見。かつてのショップ・スペースがカフェが併設されたオシャレなスポットになっていて、じっくりと2時間の見学会となった。

 せっかく都心にでてきたので、表参道方面へ。表参道も新しい建築ができていて、数年前からまた様変わりしている。そして、最後に表参道ヒルズのレストランで打ち上げ。いつもは、木屑にまみれながら制作作業をしているので、たまには、こじゃれた感じでやるのも新鮮だ。
 さて、7月もいよいよ中盤に差し掛かり、学期末がみえてきた。元気にいきましょう。(TM)

2024/07/04

33年ぶりの邂逅

 先月末の話になってしまったが、大学の後輩の建築家、山田真也氏(以下、シンヤ君)から、突然、メールで連絡をいただき、彼が上京するタイミングで、武蔵野大学までお越しいただく。

何といっても、33年ぶり(多分)!、ということで、全くもって、感動の再会!!ちなみに、シンヤ君との出会いは、ヨーロッパでの建築旅なのだが、個人的には、そのヨーロッパ行脚がなければ、今の(建築家としての)自分はない、と断言できる経験だった。のだが、その話は長くなるので、またの機会に。

 お互いの、30年余りのこれまでの足跡を話し合いながら、時の流れをビシビシと感じる。シンヤ君は、大学卒業後、アメリカに渡り、現地での学業と実務を経験して、現在は京都に設計事務所を構えて活躍している。

 アメリカでの建築事情、UCLAの話、や日本独自の建築のふるまい、などを武蔵野大学キャンパス前の喫茶店「タンパ」で語り合いながら、あっという間に時間がたち、お互いの健闘を称えあいながら、帰路につく。

 最後おまけに、こんな久しぶりの出会いがあったので、昔の写真をひっくり返していたら、当時の写真が出てきた。これは確か、イタリア・ミラノのスフォルツェスコ城でのワンショット。シンヤ君、ありがとうございました。いや、本当に、時の流れは早く、そして偉大だ。(TM)


2024/07/03

恋する演劇2024

さて、ブログに書くことが溜まってきている。ので、順次ドロップします。

武蔵野大学で木工演習の授業をしているのだが、その授業内で何故か毎年、グループに分かれて小演劇をおこなうことを課題の一つとしている。

何故、木工の授業で演劇なのか?という、最大にして唯一の謎は相変わらず厳然と横たわっているのだが、もう毎年恒例になってしまったので、学生たちも当然の如くこの課題に取り組むようになっている。

2024年度の版が開催(開演?)された。今年度は会場(?舞台)を、大学キャンパスの隣にあるMUFJPARKにして、久しぶりのキャンパス外での開催。今年は3グループによる公演。天候は曇りで、ものすごく蒸し暑い中、各グループとも様々な趣向が凝らせており楽しめた。

今年の最大の特徴は、3グループのストーリーが連続していて、最後のグループでネタが分かるという設定でグループの垣根を越えて、学生が総合的に考えてきた設定が、とても面白かった。

せっかくの広い場所を使い切れていない感と、小道具をあまり活用できていない、という指摘はあったが、まあ、いいだろう。素人学生が演じる演劇なので、遠慮なく思い切ってやって欲しい。それが自分の殻を破るきっかけになるかもしれない、とこれまた勝手に思うのであります。(TM)

2024/06/20

月の満ち欠け

 最近、長距離を移動することが多いので、本を読む機会が多くなった。個人的に新幹線移動中にノートPCを開いて仕事をするのが苦手なので、新幹線は読書に限る。ただ、時々、本を鞄に入れていくのを忘れることがあり、そういう時は駅の書店で買ったりしている。

 ということで、書店で手に取った、佐藤正午著『月の満ち欠け』を、この度読了。直木賞受賞作なので、今さら感は満々なのだが、やはり、「うまい!」と感嘆するしかない作品。非常に読みやすいのだが、妙なひっかかりのある世界観、ストーリー展開など、非常に面白い。確か、直木賞受賞の時も、長崎在住の作家本人は授賞式には出席せず、リモートで受賞のコメントなどに応対していた記憶があり、そういったこだわりも作風ににじみ出ている(ような気がする)。

 いい小説は、人を元気にする。そうです、元気にいきましょう。(TM)