東京都美術館で開催してた、デ・キリコ展を観に行く。キリコ、好きなんです。会場は多くの来場者で賑わっていたが、この手の展覧会にしては、イモ洗い状態とまではいかず、比較的観やすい雰囲気だった。
で、キリコが好きな割に、自分が大きな勘違いを2点ばかりしていたのを痛感した次第。
1つは、キリコの、あの列柱上の回廊をモチーフにした形而上的な絵は、イタリアのトリノの街からインスピレーションを受けていたと思い込んでいた(小生、大学院生の時に、トリノに4か月くらい住んで建築修行に勤しんでいたということもあり、キリコへの思い入れも大きくなったという次第)のだが、実は、トリノではなくフェラーラだったのか(!)(この辺り名言されていないので少し曖昧なのだが)と推察した次第。年表を見るとトリノには非常に短い滞在だったようなので、トリノ説は少しどうかな?と思い始めてしまった。
2つめは、キリコのことを、大天才と勝手に思っていたのだが、一連の絵画作品を眺めていくと、完全にゼロから生み出した作品でないことが、よく分かった。過去の他の作家の絵のモチーフを参考にしていたり、自分自身の過去の作品を再解釈して描いている様子が伺え、非常に苦労して試行錯誤をしている様子が(全く個人的な感触ではあるが)感じられた。やはり創作活動は、大変なのだなぁ、と不思議に(そして勝手に)親近感が湧いてくる。それにしてもトリノはその暮らしていた30年くらい前から訪れていないので、猛烈にまた行きたくなってきたのでありました。
そして、キリコ展、今は、大阪に巡回展しているので、もう1回観たい、と思いながらの日々であります。 (TM)