2024/10/30

建築に宿る空気感

 先月のはじめに、所用で鎌倉方面に赴く。せっかく神奈川方面に出てきたので、鎌倉、茅ケ崎の建築(茅ヶ崎市美術館を訪問。小規模ながら、良い感じの美術館。)を少し巡り、湘南台へ出る。湘南台と言えば、湘南台文化センター(設計:長谷川逸子)である。

この建築は、自分の学生の頃、非常に話題になり、いつか観なければと思いながら幾星霜。何となく、自分の好みの建築ではない気がしていたので、訪れる機会を逸していたのだが、遅ればせながら遂に訪問。築35年くらい経っているので、さすがに経年している感も否めないが、実際観てみて、軽い衝撃を受けた。


 この建築、時代的にも丁度ポスト・モダン建築の集大成的な受け止められ方をしていたと記憶している。確かに、ポスト・モダンのような建築の様相、例えば、ユニークな造形や過剰な装飾等、は各所に見られるのだが、その過剰さが尋常ではない徹底ぶり。ポスト・モダン建築は表層的なものが多い印象なのだが、この建築は、それをはるかに超えた密度と質感があるのである。それを言葉で表現すると、建築家の、精神?いや、狂気、とか、怨念、といった感じなのである。いや、まったく、私独断の感想です。

 その空間の中、たくさんの子どもたちが、併殺されている「子ども館」で遊んでおり、建築家の怨念(失礼!)による空間と、そのイノセントな子どもたちの空気感が相交じり合った様子が、非常に観る者を(ある意味)感動させる。

 今の時代では、絶対できない建築。「やっぱ、建築は実際に観なきゃ、分からんなぁ。。」と感じ入りながら、神奈川を後にするのでありました。元気にいきましょう。(TM)