このブログでは、毎年年末に、全く勝手にマイベスト映画を、ランキング形式で挙げている。のではありますが、もの凄く気になったのだが、多分年末では、採り上げないだろうな、と思った映画の話を少しだけ。
夏前に、濱口竜介(名作『ドライブ・マイ・カー』でお馴染み)監督作品の『悪は存在しない』を観た。濱口作品だし、世界的にも評価の高い(ヴェネチアの銀獅子賞受賞作)なのだが、何と、東京の上映は2館(自分が観にいった当時)だけ!ということで、下北沢の駅前の小さな映画館へ赴く。
で、この作品、久しぶりに、映画が終わった時に、「えっ!?終わったの?今ので、終わったの??!」と感じざるを得ない映画だった。そういうのは、良い映画の“証”、ではあるのだが、あまりに作品の解釈が、観る者にオープン、ていうか、オープン過ぎ!、のため、かなり呆然としながら、駅前に近年開発された商業施設群「BONUC TRACK」(設計:ツバメアーキテクツ)をブラブラ眺めながら歩き、帰路につく。そして、ここまで解釈が観る側にオープンに委ねられると、中々、難しいんだなぁ、と感じ入る。若い頃に、観ていたら、多分、絶賛していただろう。でも、歳を重ねてくると、その辺がちょっと微妙な感じになってくる。そして、映像は、静かで、激しくて、美しい。そんな映画だった。
映画館で販売していたパンフレットに、レコード(7インチ盤)が同封されているバージョンもあり、もちろん迷わず、レコード付の方を手にする。そして、家で静かに、レコードに針を落とす。
映画を観てから半年位が経ったのだが、未だに釈然としない感じで、その余韻を楽しんでいるのであります。はい。(TM)