2025/03/06

公共のおにクル

 大阪は茨木にある、「茨木文化・子育て複合施設 おにクル」(設計:伊藤豊雄)を観に行く。関西方面でこういうかたちでの公共施設はなかった感想を持っていたので、施設の実際の様子を見てみたくなり訪問。いや、すごい人で賑わっていて驚いた!、というか少し感動した。まさに、公共空間のあるべき姿のひとつが出現している。

 施設は図書館機能を中核として、子育て支援機能や、中規模の劇場機能を内包する複合施設。個人的には、同建築家が設計した岐阜の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」を想起させられ、「ぎふメディアコスモス」が平面的に広がった建築だとすると、この「おにクル」は、それを縦に積んだかたちで、市民が集う施設ができあがっている。ので、階数が多くなるため、人々を施設に誘(いざな)うにはハードルが高くなっている。だが、とにかく、利用者に使い倒されている感が満載で、例えば、共用廊下が少し広く確保されていて、そこにテーブルと椅子があれば中高生がたむろして勉強したり話したりしている光景が広がっている。まさに、パブリックな場と言えるのではないだろうか。いや、素晴らしい。

 地方都市周辺の市街地域も、人口減少などの影響で、元気がなくなってきている状況はどこでもみられる(多分、茨木も同じだろう)。大抵は画一的に開発(ある意味商業的に)をおこなうことで、よく分からない状況になっているのが実情だ(これ、あくまでも個人的な見解です)。その状況に対してどう処方するかを考えることは、建築家に求められていると思う。大きなヒントがここにある。(TM)