例年そうなのだが、年度末は様々な授業の講評会、発表会、審査会がおこなわれる。その中の一つのはなし(かなり前の話になってしまい、すみませーん。)
武蔵野大学で椅子をつくる授業をやっていて、その講評会を開催。今年度もゲスト講評者を招いての講評会を何とか無事に開催の運びとなる。木工作家の渡邊浩幸さん、映像ディレクターの土居京子さん、ファッションデザイナーの國時誠さんに参加頂き、それぞれの多様な視点から講評を頂く。僕以外はみなさん建築とは違った分野の方々なので、その講評も個人的にはとても楽しい。
今年度は履修学生のうち11名が講評会でプレゼン。ゲスト・クリティークの講師の方々も、いい感じで講評いただいているように見受けたので、一安心といったところ。
例年、いろいろと学生が考えてくれるような課題の提示をしているが、2025年度は、とにかくボブ・ディランだったので、ボブ・ディランをテーマにした課題に取り組む、ということにチャレンジ。
分かったことは、学生は全くボブ・ディランに興味がない!(笑)ということだった。興味がないことには、全くやる気を示さない世代なので(というのも、どうかと思うが、もうそんなことを言っても仕方ない風潮がある)、とにかく作品制作に取り組んでもらうのが、一苦労した。そんな状況を横目でみながら、正直、この課題の出し方は失敗だったかも、、、と感じたのだが、この授業の醍醐味は、じっくりと考えて愚直に制作していく、ということであり、そういう姿勢で臨まないと、作品における本質的なパワーは生まれないような気がする。それがデザインを考えていく上でとても大切なことだと思う。当たり前のはなしなのだが、効率ばかり目指していては、底が浅くて、たかが知れているのである(と、例年同じことを言っているような気がする)。ので、興味がないことにも取り組んでもらいたい。何といっても、ボブ・ディランがノーベル文学賞を取っているので、ディランの歌詞にも注目してもらいたかったが、歌詞を題材にした学生はいなかった。長い文字に、もう興味が持てない世代かもしれない。(個人的には、アルバム『追憶のハイウェイ61』最後の曲、「廃墟の街」を学生時代にノートに書き写して憶えていたことを、懐かしくも内省的に密かに振り返ってみる。)
さて、次年度以降は、更に期待するばかりである。しっかりと頑張った学生には充実感を持ってくれれば嬉しい限り。さて、元気にいきましょう。(TM)
課題:「 『名もなき者/ A Complete Unknown』 の イス 」
【課題概要】
今年は昨年度の反省から。“長編小説を読む”ことは課さない。という訳で、「ボブ・ディラン」御大のお出ましである。簡単に言うと、“ボブ・ディランのイス”ということが課題になる。
ボブ・ディランを多角的に眺めてもらって構わない。モチーフを抽出して、今までにないイスをつくってもらいたい。
今年(2025 年)の年初めに、映画『名もなき者』が国内でも上映された。その劇中で、ボイド・ホルブロック演じるジョニー・キャッシュが、ティモシー・シャラメが演じるボブ・ディランに向かって「かき鳴らせ ボブ!」というくだりがある。そう、イマジネーションを“かき鳴らす”勢いで、臨んで欲しい。
ボブ・ディランの広大な世界観に浸りながら、斬新で、メッセージ性のある、魅力的な作品を期待しています。(水谷俊博)