2017/02/16

今治←大三島

 所用があり、愛媛の今治と瀬戸内の大三島(ここも実は今治市内)へ赴く。
 今治は何と言っても丹下建築。
 市中心街に、今治市庁舎・公会堂・市民会館の3つの建築が一体で存在している。丹下建築の中では大代表作という訳ではないが、初期の傑作の一つと言っていいだろう。改めてみてみると、最初期の広島平和会館(1952)と代々木体育館、東京カセドラル(1964)の丁度真ん中の時期(1958)の建築ということになる(※注:市民会館のみ65年の作品)。
 同一サイトに3つの建築が一群で存在する所が魅力と言えるだろう。丹下建築を語れる程知見がある訳ではないが、丹下建築にはコルビュジェ・イズムのモダニズムの手法と超越的なモニュメンタリズムの2つの(場合によっては相反するようにも見える)特徴がある、ように思う。
 そしてここ今治では、その特徴が一望できるというのがとても魅力的である。市役所が前者、公会堂が後者、市民会館は前者に自由度とバリエーションの展開形、という感じである。
 公会堂は5年前くらいに取壊しの検討もされたが、最終的には改修し存続したという経緯がある。新しく生まれ変わった劇場をみながら、残るか無くなるかの曲面を生き延びた哀愁が漂っているような妄想をしてしまう。
 今更ながら、建築は(も)はかない存在なのかもしれないな、と思う。ついでに、いい建築に触れることができる幸せも感じさせる、まちの真ん中、なのである。(TM)