2025/03/31

卒業と、雑感と 2025

  年度が変わる。少し前の話になってしまったが、武蔵野大学の水谷研19期生のゼミ生11名が卒業。今年度の、学位記の授与と卒業式は、有明コロシアムで開催の運びに。朝一から大学院の学位授与、昼に修了&卒業式、夕方から学部の学位授与、ということで1日仕事になる。いつもいる武蔵野キャンパスと違い、勝手が分からないので、何となくこちらとしては居場所が無くて大変なのだが、学生の門出を祝う。式後、研究室の卒業生たちと記念撮影。例年開催される卒業生企画のパーティも学生の意向で開催無しになったので、「とてもあっさりですね。」と他の先生方とは話しながら、催しを無事終える。

  院を修了した研究室ゼミ生のゲン(今年度は院生は彼一人のみだが、研究室から巣立つ)からギター・ブランドのFENDER関連の品をプレゼントとしていただく。設計業界も大変な時代だと思うので、4月からの新しい世界での活躍を期待したい。そして、式後のガイダンスで卒業生に話したが、ロック精神を持ってがんばって欲しい。

 今年の水谷研のキャッチフレーズ(毎年勝手に小生が定めている次第。。。)は、YOASOBIと、村上春樹と、スタイル・カウンシル(!)、をモチーフにしている。それでは、卒業生へのはなむけに。

  ヒーローも、お星さまの引き立て役B

  その不確かな壁を越えてゆけ

  Walls Come Tumbling Down !TM




2025/03/24

八戸美術館

 八戸市美術館に視察に伺う。八戸市美術館は、他にない美術館の姿が実現されていて、後、JIAの表彰式等で一緒のタイミングになったりしたこともあって、個人的にもご縁があり是非訪れたい施設だったのだが、今になってしまい、やっと観ることができた次第。館長の佐藤慎也先生に館内をご案内いただき、展示の内容も含め、隅々まで拝見させていただく。

 施設は、「ジャイアント・ルーム」と呼ばれる、大きなヴォリュームの共用スペースが最大の特徴であり、この空間で、さまざまな市民活動が展開される、というのが大きな魅力である。ある意味、展示室よりも充実した共用スペース、という普通の美術館を逆転したような構成が新鮮で、館長とお話ししながら、公共的な場がこの大きなヴォリュームによる空間によってできている、という様子を実感できた。ありがとうございました。

 帰路で、新幹線の連結外れの事故の影響で、八戸駅で4時間くらい足止めされるが、これも一興で何とか東京に戻れて一安心。冬の八戸は寒さも一段だったが、元気が出るプチトリップでありました。(TM)



2025/03/23

夭逝のtpとジェシカ

 自宅のダイニング・スペースの横の小さな棚に、その時の気分でレコードを立てかけている。

 今回は、ブッカー・リトルの『Booker Little』と、オールマン・ブラザース・バンドの『Brothers & Sisters』。

 久しぶりにジャズ、という感じだったので、名盤中の名盤を。23歳という若さで天に召されたブッカー・リトルだが、クリフォード・ブラウンの後に新しい音楽を推し進めた最初の一人と見なされている。その代表作がコレ。

 オールマンのアルバムでは、このアルバムのジャケットが一番好き。ここからシングル・カットもされたB2曲目の「Jessica」の疾走感が、気持ちいい。元気にいきましょう。(TM)

2025/03/07

MUレビュー2025

 少し遅ればせながら、UPになりますが、武蔵野大学の卒業設計の審査会を開催。

 昨年度から卒業設計の審査のやり方を大きく変えた(個人的には、かなり遅ればせながらの感があったが、数年提案し続けてきたことがやっと実現した次第)。一大変革と言ってもいいだろう。大学の学内審査とは別に建築設計界で活躍する建築家を審査員として招聘し、「武蔵野大学卒業設計レビュー MU Review 」と銘打った公開審査会を併せて開催する企画を発動している。今回が昨年度に引き続き2回目。ちなみに、今年度の審査員は大島芳彦(ブルースタジオ)、稲垣淳哉(Eureka)、アリソン理恵(ARA)、入江可子(アリイイリエアーキテクツ)という顔ぶれで、モデレーターを水谷が務めた訳である。

 昨年もそうだったのだが、個人的には、この準備があまりに大変で、ひっくり返りそうだった。その反面、学生の参加者が、わずか11名(!)という事実に愕然(昨年度は30名以上が参加したので、この状況は予想不可能で、かなり衝撃だった。。。)。

 ただ、その心配は他所に、審査会自体は盛り上がり、審査員の方々も熱心に審査いただき、一安心。まずは、無事に2年目を開催できた成果は大きいと思う(って、誰も褒めてくれないから、ここで静かに主張(笑))。今年度は、学生も含めて懇親会を開催できた(当事者の4年生よりも、3年生の参加の方が多かったのも面白かった)のが大きな成果で、審査員の方々も最後までお付き合いいただき、異常な盛り上がりをみせたのが非常にうれしい限りで。今後も引き続き、学内の卒業設計、設計演習(設計製図)が盛り上がって欲しい、ということと、学生の今度の糧となることを切に願うばかりである。(TM)

2025/03/06

公共のおにクル

 大阪は茨木にある、「茨木文化・子育て複合施設 おにクル」(設計:伊東豊雄)を観に行く。関西方面でこういうかたちでの公共施設はなかった感想を持っていたので、施設の実際の様子を見てみたくなり訪問。いや、すごい人で賑わっていて驚いた!、というか少し感動した。まさに、公共空間のあるべき姿のひとつが出現している。

 施設は図書館機能を中核として、子育て支援機能や、中規模の劇場機能を内包する複合施設。個人的には、同建築家が設計した岐阜の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」を想起させられ、「ぎふメディアコスモス」が平面的に広がった建築だとすると、この「おにクル」は、それを縦に積んだかたちで、市民が集う施設ができあがっている。ので、階数が多くなるため、人々を施設に誘(いざな)うにはハードルが高くなっている。だが、とにかく、利用者に使い倒されている感が満載で、例えば、共用廊下が少し広く確保されていて、そこにテーブルと椅子があれば中高生がたむろして勉強したり話したりしている光景が広がっている。まさに、パブリックな場と言えるのではないだろうか。いや、素晴らしい。

 地方都市周辺の市街地域も、人口減少などの影響で、元気がなくなってきている状況はどこでもみられる(多分、茨木も同じだろう)。大抵は画一的に開発(ある意味商業的に)をおこなうことで、よく分からない状況になっているのが実情だ(これ、あくまでも個人的な見解です)。その状況に対してどう処方するかを考えることは、建築家に求められていると思う。大きなヒントがここにある。(TM)

2025/03/05

設計演習講評(2024)

 既に昨年の話なのだが、授業の写真を整理していたら、武蔵野大学3年後期の設計演習(授業名、「設計製図4」)の写真がでてきたので少し振り返る(かなりタイミング遅くなってしまいすみません!)。

 武蔵野大学3年生、設計演習2024年度最終課題の講評会。武蔵野大学は4年生に設計演習の授業がないので、これが授業としてはラストの設計課題となり、後は卒業設計を残すのみとなる。

 3年生後期は僕も含めて5名の建築家(小池啓介(Thirdparty)、御手洗龍、アリソン理恵(ARA)、瀬戸健似(+NEW OFFICE)の各氏と、私め水谷)によるスタジオ制(各建築家により異なる課題を出して、少人数のスタジオのようなかたちでおこなわれる設計演習)での設計演習のかたちをとっており、他のスタジオの課題が見られるのはこの講評会だけなので、教員としても楽しみである。昨年度のこの授業の履修者が15名しかいないという前代未聞の状況だったのだが、今年度は40名ちょっとの履修があり、盛り上がりを取り戻したので、本当に良かった。

 水谷スタジオの2024年度課題は(ここ数年とそれ程変化なく)『武蔵野市現代美術館』。敷地はかつてバウスシアターが存在していたサイト。水谷スタジオの今年度の履修者7名も課題に奮闘した。

・アーティスト工房の新たなあり方に着目して、創作活動自体も魅せる美術館

・敷地全体を特徴的なジグザグの壁で構成し動線空間を軸に、展示空間を結ぶ美術館

・屋根レベルに大きなオープンスペースを設け断面的につながる美術館

・小さな諸室を敷地全体に分散配置にして、それらを路地上上の空間で巡っていく美術館

・レベル差が多様な展示空間を回遊動線を辿りながら、断面的にも関係づけた美術館

・展示エリアと共用部をパラレルに配し、相互をさまざまな開口でつなげる美術館

・ゆったりとR状を描く平面のプロムナードを中心にさまざまな機能がつながる美術館

と、いう具合にそれぞれに魅力的な提案を完成させた。

 講評会も、今年度は盛り上がったように感じる。やはり、履修者が多いと、お互いに学生も切磋琢磨し合うので、作品のクオリティが上がっていく。

 授業が終わった後、久しぶりに、学生も参加するかたちでの対面で懇親会も開催。いよいよコロナ前の状態に戻ってきたな!、と実感。

 さて、学生諸君には、この成果を是非、卒業設計につなげて欲しい。元気にいきましょう。 (TM)

2025/03/04

2期生の会

 水谷研の卒業生、2期生から声をかけてもらい、懇談の機会ができる。

 ナベ、ワタル、アサミ、が参加してくれた。なんでも、ワタルが出向でナベの勤め先に偶然赴任してきた(でも、もうすぐ戻るようだけど)、ということで、集まれる人で集まろうという感じになり、こっちにも声がかかったという次第。2期生のみなさん、ありがとうございます。

 この代が卒業して、17年が経過している、ということを考えると、時の流れの早さを感じる。彼等が在籍していたのは、まだ学科ができたばかりの時期で、確か共学になって初めての代なので、大学や学科もいろいろと変わってきた様子を話す。でも、そんな話をしながら、変化した事に、良いこともあれば、失ったこともあるな、と改めて感じる。まあ、とにかく、彼らの代は元気だった、のだ。時は移り、社会の状況も変わってきてしまっているのだが、何とか今の学生が元気が出るようにせねば!、と心に留めるのである。

 そうです。元気にいきましょう。(TM)