作品は断片的なものしか知らなかったが、多様なテーマの作品群が一堂に会しているので、なかなかヴォリューム満点、という感じである。会場の展示構成は公園のような場をつくることをコンセプトにしているらしく、にぎやかな会場の様子を演出しているように見受けられる。建築的な装置(大きな階段状のフロアやフェンスで囲まれたスペース、など)も点在しており、いい意味での雑然さを演出している。それがマッタ・クラークが活躍した70年代のニューヨークの雰囲気を醸し出すことを狙いにしているところから来るものなのかもしれない。ただ、個人的には、もう少しピリッと展示を見せてくれるようなしかけがあってもいいかな、と贅沢な望みを感じてしまう。
アイデアを出すだけなのは、ある意味簡単なのだろうが、それを実際やってしまう、というバイタリティと力づよいロジックに、やはり感銘を受けずにはいられない、のでありました。(TM)