最近、アラバマ・シェイクスの新作『Sound & Color』(セカンド・アルバムになります)にはまっている。まずは、冒頭1曲目の”Sound&Color”から2曲目の”Don’t Wanna Fight”の流れが最高で、”Don’t Wanna
Fight”はまさにキラー・チューンといえるくらいのインパクトを持っている。ただ、それ以上にアルバム全体が持っている曲の群としての圧倒的な力が、個人的に好きな所。巷のレビューでは、ファーストの方がサザンソウルのルーツに近いので、好き嫌いが微妙に分かれている感があるが、僕個人的にはそのファーストの枠を突き抜けた多様(多彩)性と完熟度を評価したい。
少し建築の話にスライドするが(そして、いつも同じことを言ってるような気がするが。。。すみません。。)、最近の建築は、コンセプトが明確で分かりやすく、プログラムや形態もそれに沿ってグイと引っ張っているようなもの、そしてそれにキャッチ―なコピーが附随しているようなものが評価されるようになって久しいような気がしている。別にそれが悪い訳ではなく、素晴らしいものもたくさんあるが、言いたいのは、そればっかりじゃ、つまんねぇんじゃねぇか(って何故か江戸弁)、と思いたくなる、ということである。コンセプト(と形態(或いはデザイン))の力強さばかりでなく、重層する多様な要素が混然一体となった時のその状態の魅力も評価したい所である(ちなみにアーツ前橋に関して、「ゆるやかな不統一の連続」というような表現をしてみた)。簡単に言うと、一見ではよく分からないこと(もちろん良い意味での)の面白さ、ということの方が、あるまとまった完成形を超えるという可能性もあるのではないか、ということである。これは、雑誌の誌面だけでは伝わらないだろうなぁ、と思うし、実際建築を観てみても分からないケースも多いだろう。空間を体感する人々の感性に委ねられるところでもあるが、大切なことだと感じている。
そんなこともふまえて、武蔵野大学3年生の設計演習の第1課題の講評会(課題名は『働きながら住む10世帯の住まい』)。先週までの学生たちの進捗をみていると壊滅的な結果も不安視していたが、それなりにまとめてきたので、ひとまず一安心。ただ、全体的な傾向が、ここでもワンコンセプトだけで語りつくそうとしているように見えてしまい、案に奥行きがない感じは否めない。しかもキラー・チューンのような強烈な一撃もないので、残念だ。でも、講評会終了後の懇親会には学生が20名程も参加し大いに盛り上がった。このパワーを第2課題でもぶつけてほしいなぁ。
さて、帰路につき、アラバマ・シェイクスを改めて聴きながら、長い一日が終わるのでありました。(TM)