最近、カヴァーもののアルバムを立て続けに購入し、何となくヘヴィー・ローテーションで聴いている。カヴァーものは、つまらないのもたくさんあるけど、いいものはいいなぁ、とつくづく感じる。カヴァーの良い面は曲を再構築している、という、そのコンセプトから手法までを含めたテイストを楽しめる所であり、そう考えるとある意味、有名な楽曲のカヴァーの方が面白いのかもしれない、と思ってみる。有名という所が、みんなが知っているということにつながり、ハードルが高くなっている所もあるが、その壁を突き抜けたところでいい形で再構築できている作品は、オリジナルを超えた面白さがあると思う。そのあたり、建築にもつながることかもしれないなぁ、と思ってみたりする。 さて、ビリー・ホリデイが生誕100周年ということで、ビリー・ホリデイのカヴァー・プロジェクトがいくつかあると思うのだけど、カサンドラ・ウィルソン(『Coming Forth By Day』)とホセ・ジェームス(『Yesterday
I Had The Blues』)の盤を購入。ホセ・ジェームスは最高に素晴らしい。ここ2作品程、個人的にはちょっとはまらなかったので嬉しい限り。正当ジャズに取り組んだ作品が意外と良いなぁと思うが、気のせいかな。後、70年代ポップス(ロック?)を中心にセレクトした、ダイアナ・クラールの盤『Wallflower』もいい。少し静かなテイストでまとめられているのが物足りなさを感じるかもしれないが、静かに仕上げることによりひきたつ側面をかなり意識しているのではまいか、と思う。プロデュースはデヴィッド・フォスター。最後にボブ・ディランの盤(『Shadows In The Night』)が最高。あまり表だってクレジットされていないが、フランク・シナトラが唄っていたトラディショナル・ナンバーをカヴァーしたもの。あまりに多様にカヴァーされ尽くされてきた楽曲を渋く選曲し、それを更にディランがカヴァーすることにより、新の魅力を「アンカヴァー」するという意図があるらしい。まさに、そのあたりカヴァーの真髄なのではないか、と感じさせられる。ちなみにLP盤はブルー・ノートのレーベルデザインをそのまま踏襲(コピー)していて、ある意味ウィットに富んでいる。
再度、改めてだが、こういう試行(或いは思考)って、建築のリノベーション(やコンバージョン)と通じるものがあるなぁ。(TM)