2014/04/22

年度のはじめ2014

庭のチューリップも咲きだして、春の息吹に本当に身近に触れるようになってきた。大学の授業も新年度がスタートして、担当している授業で出すべき課題のリリースを続々とおこなう。その中でも木工制作の授業(通称:イス環)の課題は毎年趣向をこらしている。個人的な感想だが、近年いろいろな課題が、明快でシンプルな分かりやすいものへとなってきている傾向がみられるように感じているが、それに逆行するように毎年恒例で、訳の分からない課題を出しているのがこの授業。2014年度はこんな感じ。
 
 「1984から、30
  ダイアモンドの犬と未来世紀ブラジルと1Q84から
    21世紀とトータリタリスモとヴァン・ヘイレンを考察してみる
  そんな時に座るイス」
  ペルーの小説家、マリオ・バルガス・リョサは、あるインタビューで20世紀を全体主義の時代と位置付けて言葉をつづっていた。21世紀に入り少し時間が経過した現在、果たしてこれからの未来は、どのように位置付けられるだろうか。
  さて、1984という数字は何とも魅惑的な配列である。真っ先に思いつくのはロス五輪かもしれないし、ニキ・ラウダの3度目のワールドチャンピオンかもしれないし、小泉今日子旋風かもしれないし、そして、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』かもしれない。
  そんな1984から丁度30年の現在。
  ウクライナではクリミア問題で揺れ、台湾では学生が立法院を占拠し、マレーシア機は忽然と行方が分からなくなっている。
  そんな、今現在。いろいろなことが身の回りでも起きている。僕たちはどこに向かうのか。
  様々に考えを巡らしてみてください。魅力的なイスに出会えることを期待しています。

  これを学生は1年間考え(悩み?)、デザインから制作にあたることになる。珍しく例年より少しイデオロジカルな趣きをもってしまったが、いろいろと学生にも考えて欲しいという思いがあります。
  さて、おおよそ1年後、魅力的な作品を期待します!(TM)