相変わらず、移動が多い。移動中の電車で仕事ができない性質なので、寝るか、ビールか、本を読んでいる。
移動途中の駅で手に取った、『レプリカたちの夜』(一條次郎著)を読了。非常に奇妙で、でも面白い(そして読みやすい)作品だった。小説の冒頭、主人公が、自身が勤務する工場(動物のレプリカ)を作る工場の設定)で、大きな白熊に遭遇する場面からはじまる。時代や場所の設定が抽象的に描かれているのだ、本物の動物がすべて絶滅した近未来が舞台であり、その白熊が本物なのか、レプリカなのか?ということを主人公がさぐっていく。しかし、そのうち、同じ工場で勤務している同僚や、最後には自分までも、本物なのか?レプリカなのか?分からなくなっていく、というストーリーである。
この感じ、映画『ファイト・クラブ(デヴィッド・フィンチャー 監督)』を想い出した。段々、自分という存在が分からなくなっていく、という感覚。ふと、歳を取る
というのは、こういうことなのかも、と感じてしまった。