やはり、というか意外にも、というか、「笠間の家」が素晴らしかった。3年ほど前から、市が所有し一般に公開されたことを知っていたが、やっと訪問することができた。設計者の伊東豊雄にとっては初期の作品だが、時期的には中野本町の家とシルバーハットの間に挟まれていて、その2作品と比較すると地味なイメージがある。が、実際に見てみると非常に好感が持てる、というか意外にもとても心地よい(!)住宅作品である。設計としては、手法が非常に技巧的(もちろんいい意味で言っています)で、軸線の設定や空間ヴォリュームの設定の仕方が秀逸で、やはり初期作品の集大成的な位置づけ(ちょっと言いすぎかな?)のような気がした。
日本においては、住宅作品はいい作品もすぐ壊されていく運命にあるが、こうやって違ったかちで使われていく姿をみて、こういう余裕が必要なのだと改めて感じる。そう、効率ばっかり重視の世の中はつまらないのだなぁ、と笠間の地で感じ入るのでありました。(TM)