2014/03/19

音楽堂

 たまたま高崎で新幹線の乗り継ぎの時間がかなり空いたので群馬音楽センターを観に行く。高崎に何度も足を運んでいるのに、いつも乗り継ぎだけだったので、観に行ったことがなかった。言わずとしれたアントニオ・レーモンドの代表作であり、日本のモダニズム建築の中でも非常に意味のある建築と目されている。

 イベント開催がない日だったので、運よくホール内部も見ることができる。文句なく圧巻だ。そして文字通り骨太で力強い。竣工後50年以上経っているので現在の音楽ホールとしては使い勝手上難しい時もあるだろうが、とても綺麗に施設が利用されている様子が窺えて落ち着く。なぜこのような(ある意味、力強すぎる)建築を人々が愛するのか、という素朴な疑問を感じてしまう。非常に浅はかかもしれないが、やはりそこには「カタチ」というものが厳然として立ち現われているからだと思ってしまう。それを脱却しようとして、建築のプログラムやシステムやコンセプト等々に、僕たちは考えの糸口を見出そうとしたりしてみる訳だが、やはり「カタチ」というものを改めて大切に考えてみないといけないんではないかなぁ、と思ってしまう。まあ、当たり前の話といえば当たり前なんですけどね。  14年程前に茨城県小美玉市の劇場の設計に携わった際、ホールの内部空間をスタディした時に、真っ先に描いたスケッチがこのレーモンドに本当にそっくりだったことを想い出しして、ツナガッテル感が湧いてくる。時は流れているが、建築の「カタチ」はまだそこにある。 (TM)