2015/11/28

アーツ前橋ツアー

 アーツ前橋で開催されている展覧会『ここに棲む-地域社会へのまなざし』の企画のひとつで、「設計者と巡る美術館ツアー」というプログラムがあり、馳せ参じる。
  参加者が誰もいなかったらどうしようと思いながらだったが、幸い30名を超える参加者があり胸をなでおろす。
  プログラムの後半に、横浜国立大学の寺田真理子先生と簡単なトークをおこなう機会があり、いくつの質問におこたえしながら進める運びになったが、その質問の中に「前橋の街の最初の感想は?」というのがあり、このある意味基本的な質問が、逆に新鮮で面白かった。改めて思い返してみると、雄大な赤城山を望むロケーション、地方都市としての多様なスケール感、そして駅~中心市街地~官庁街の回遊性、ということの印象があり、そして、中心市街地の衰退という状況があったのを思い出した。うちの研究室の2期生のマリヤが前橋出身で卒業研究で前橋の商店街のリサーチをしていた、という経緯がありそのあたりの予備知識が当時現地に最初に赴いた時に想起されていったのだった。
  それらを総合的に考えながら、「街とつながる散歩道のような美術館」というゆるやかなコンセプトで施設の設計をおこなうことになる、ということを改めて思い起こした。
  改めて初心に立ち返るということは、ある意味新しい発見のようなものに繋がったりする。そういった思いで、施設内をめぐってみると、また自分でも新たな発見があって面白い。と、いう訳である。
寺田先生ありがとうございました。そして、お越し頂いた皆様、ありがとうございました。
展覧会は年明け112日まで開催していますので、是非、足をお運び下さい。(TM)

2015/11/23

日本建築士連合会賞

 

 平成27年日本建築士連合賞において、「アーツ前橋」で奨励賞を受賞しました。
http://www.kenchikushikai.or.jp/torikumi/awards/2015.html

 6月に開催された現地審査では、難波和彦、岸和郎、両先生に丁寧に講評を頂きました。
ありがとうございました。
 

2015/11/20

恋する演劇2015

 さて、今年もやってきました。武蔵野大学で木工演習の授業を担当していて、その授業内で毎年、何故か、演劇をおこなうことを学生に課している。なぜ、演劇をやるのか(学生にとっては、やらされるのか、ということだが)?全くもって理由はない。ので、学生はまったく意味も分からないまま、そして見ているこちらも深い意味も持たないまま、劇が執り行われる。全く学生にとっては不条理な話しな訳だが、だからなのか不思議な可笑し味があって、これがとてもいい。基本的にキャンパス周辺も含めて、大学に帰って来られる範囲で、ということなので野外に飛び出すグループも多い。
 今年度は武蔵野キャンパスに戻ってきて開催。やはり自然環境が豊かな武蔵野の方がこの企画は向いているかもしれない。この劇をおこなうという行為(あくまでド素人演技だが)の意味は、場所性ということと身体性というものと切り離せないものがあると考えている。どこで演じる場所を選ぶかという、選球眼のセンス。そして、その環境でどう自分(達)の身体がつくる、ある意味造形のようなものを表現できるか、ということだ。
毎年同じようなことを言っている訳だが、それらを体感することによる様々な意味でのコミュニケーション行為というものは、現在のネットやSNSの範囲でしか繋がらないように思える状況を打ち破るきっかけを有していると思う。そして、実際演じる行為にたどり着くまで、みんなでシナリオを考えたり、舞台セットのようなもの(小道具)を準備したりする行為が付随する訳で、このプロセスも非常にデザイン(或いは、設計)ということも含めた意味があるものだと思っている。
 今年は天候が生憎の雨だったが、全4グループ、(多分、、、)楽しんで演じているように見受けられた。この不条理な体験が将来何らの意味を持つことを祈念するばかりである。(TM)

2015/11/17

Duran Duran の家

  ちょっと前の話になってしまったが、3年生最後の建築設計演習(授業名:空間造形4)も第1課題が終了。この授業は、僕を含め5名の建築家の先生と一緒に運営する、スタジオ制の設計演習。水谷スタジオでは例年、第1課題ではスーパースター(ロック・アーティスト)の家シリーズの課題を提示する。もうこれも11年目も突入!非常にコンセプチャルな課題で、学生にとっては非常に難しいと思うけど、頭をグニャグニャにさせて思い切り頑張って欲しい、と例年思っている。今年度は当初はブラー(90年代ブリット・ポップ系列)でいこうと思ったが、かなり悩んだ挙句に、この秋、何とニューアルバムをリリースした「デュラン・デュラン」(!)(80年代ニューロマンティック(!懐かしい響き)系列(今となっては、それって何?(笑)))とした。おそらく学生は誰ももう全く知らない課題ネタとなり、独りほくそ笑みながら納得つつも、履修希望者が果たしているのか?と不安に駆られながら授業に臨んでいった。約3週間の短いスパンだが、履修者7名が課題に取り組み、7者7様のそれぞれ面白い提案が完成した。
  全体的には、建築的に攻めるか(空間の斬新さを追求)、建築外の方向から攻めるか(舞台設定やプログラム設定やプレゼンテーション手法の特異性、等を逆手にとるかたちで提案)で別れるところだが、これはどちらがいいということもないので、難しくもあり、面白くもある。普段は、建築の妥当性を念頭に置きながら、そっちの側はある程度外さずに考えているのが、頭の使い方をまったく違う方向に持っていかなければいけないので、実は講評する教員の側もかなり疲れる課題とも言える。でもこういう頭の使い方をすることも、大切なのだなぁと、毎年この時期になると思う。(思い切り自己弁護!)
 さて、課題文全文を下に流します。
 学生諸君には、第2課題も期待しています!
(TM)

 
P.S.
写真は第2課題の現地サーベイも兼ねた第1課題の打ち上げ
@吉祥寺いせや本店前でパシャリ。

 

 
■課題:「Duran Duran のいえ」
「スーパースターの家」シリーズの第11弾の課題は、「デュラン・デュラン」である。一般的には80年代を代表する最強のアイドル(!)・バンドの代表格として評価されており、80年代前半から、ニュー・ウェーブを商業化することにより継承し展開するニューロマンティックというムーブメントの火付け役の主要バンドと位置づけられている。今年、ニュー・アルバム『Paper Gods』をリリースし37年目の現在も一線の現役バンドとして活躍を続けている。
  78年にイギリスでバンド結成。メンバーは時代により変遷を繰り返しながら、コアメンバーとして、ニック・ローズ(key)、サイモン・ル・ボン(vo)、ジョン・テイラー(b)、アンディ・テイラー(g)、ロジャー・テイラー(ds(2006脱退)で構成されている。81年にシングル『プラネット・アース』でデビュー。その後、『グラビアの美少女』(81),『ハングリー・ライク・ザ・ウルフ』(82), 『ザ・リフレックス』(84)などのヒットを経て85年に映画007の主題歌『美しき獲物たち』で世界の頂点まで昇り詰める。85年にはメンバーが分離し「パワー・ステーション」「アーケイディア」という別バンド・プロジェクトを同時に立ち上げそれぞれがヒットを飛ばす。90年代から2000年代にかけて停滞期を経ながらも、ライブ映画『アンステージド』(2015)を鬼才デヴィッド・リンチ監督が手掛けたり、最新作では今尚、プロデュースにマーク・ロンソンやナイル・ロジャース等の超豪華な布陣を迎えている。雑誌『ロッキング・オン』の、「デュラン・デュランの真骨頂は、ロック・バンドでありながら(ニュー・オーダーやケミカルとは違った意味)でダンス・ミュージックの達人であり、一見チャラくも聴こえなくもないサウンドや歌やグルーブは、他のバンドには決してない個性とアクの強さを持っていて、確固たる「デュランらしさ」に貫かれている所」、というレビューはまさに的を得ていると言えるだろう。
  この課題を考える上で、スーパースターというテーマに関しては外せないが、決して王道ではないベクトルが働いてくる。大きく外せないのは80年代という時代背景である。多彩な流れをうみ出しながらも、バブル期と重ね合わせられ評価されない時代の社会批判性をどう捉えるかということも興味深い。そして、もともとこの課題のオリジナルは『わがスーパースターのたちのいえ』というコンペの課題(1975年、審査委員長:磯崎新)である。今年度は、その『スーパースター』をどうとらえられるかということを、ロック史上良い意味では決して語られることのない、ポップ・アイドル()・アイコンとしてのスーパースター、デュラン・デュランの存在を冠して考えてもらいたい。   
  課題へ取り組む糸口は、数多ある。ニュー・ロマンティックという音楽、MTVの演出、ルボンやジョンのアイドル性やファッション、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンと呼ばれた音楽史上の現象、80年代という時代性、各々のメンバーや楽曲群、歌詞、等など。
課題は、例年通りの前置になってしまうが、様々な社会性や文化性を持った、ポップバンド(今も現役)、デュラン・デュランという音楽グループの住まいを設計することではない。音楽という世界を通して創造をしているデュラン・デュランの拠り所としての概念(→空間)はどのようなかたちで表現することができるのか、時間や空間を超えた構想力豊かな提案を期待している。

2015/11/13

日事連建築賞

  平成27年度日事連建築賞において、「アーツ前橋」で奨励賞(部門:一般)を受賞しました。
  http://www.njr.or.jp/data/prize/2015/prizeh27.pdf
  ありがとうございました。(TM)

2015/11/05

前橋→富岡を巡る

  13年程前に劇場施設の設計に携わり、その際に非常にお世話になった、キンさん、ジオさん、モッさんの御3方が茨城から、アーツ前橋を観にお越しになるとのことで、ご案内する。この前橋の訪問はずっと前から企画をしていたのだが、なかなか全員のスケジュールが合わず、やっと宿願叶うといった感じ。みなさん建築は門外漢でいらっしゃるが、非常に丁寧に建物内と展示をご覧いただき、非常に嬉しい限り。
  アーツ前橋を堪能した後、せっかく群馬までおいでいただいたということで、世界遺産で話題の富岡まで移動して富岡製紙工場を観ることに。それにしてもすごい人だ。この、おそらく急激な(と勝手に想像するのだが)観光地化に地域の人々は追いついていないような感じに見受けるが、世界遺産のインパクトはすごいものだと改めて実感。ついでに上州富岡駅の駅舎も見るが、製紙工場と対照的でこちらは閑散とした感じがすごくてとても不思議な感じになった。
  その後、茨城まで移動して会食。地域を盛り上げるにはどのような方策をするべきか?というような話で盛り上がり、建築サイドでもいろいろ考えさせられるなぁと感じる。やはり建築単体で素晴らしくてもそれだけでは不十分で、地域とどのようなかたちで繋がっていくのかが大切なのだなぁと改めて納得。ひとつひとつ地域と繋がるチャンネルづくりを建築でもコツコツとやっていきたいですね。(TM)

2015/11/03

トロールの森2015

  杉並区の善福寺公園で、野外アート展「トロールの森2015」が開催されています。
  大学の研究室名義で、作品『People Are People -人のカタチ-』を出展しています。
  http://www.trollsinthepark.com/art/
  会期は11/3(火・祝)~11/23(月・祝)です。基本的に常時学生が作品紹介をしていますので、お声がけいただければと思います。入場無料ですので、お近くにお越しの際は是非お立ち寄りください。(TM)