2011/04/16

オマージュ?!

 16日は「Off the Wall-石神井台の家(以下、石神井台の家)」の取材でした。空模様が気がかりでしたが、当日は初夏を思わせるような好天に恵まれました。
 取材にいらっしゃったのは、 松井編集室のライター松井晴子さんと写真家キッチンミノルさん。松井さんは3月末にプレ取材に来られて、石神井台の家のことはすでにご理解いただいているので、早速、取材開始。取材の趣旨をお2人で確認されながら全体をさっと見て回り、撮影場所と方法を手早く確認していたかと思えば撮影が始まっていて、人物を入れて撮影するコマになるとご指名がかかります。その段になるとキッチンさんのアドバイスで、私たちは椅子に腰かけたり、部屋の中を歩いたり。声がかからなくても、家事をしている姿が知らぬ間に撮影されてたことも。シャッター音がカシャカシャと手際よく鳴って、撮影は終始順調。途中、庭に出てティータイムの様子も撮影。 リフォームした1階に限らず、3階までの各所でまんべんなく撮影していただきました。その合間に、松井さんの核心に迫る取材。
 3時間ほどかけて、じっくりご覧いただいて、取材・撮影もそろそろ終盤という頃に編集長の鈴木康之さんのご登場。リフォームした1階はもちろんご覧いただきましたが、鈴木さんが気になったのは、今回のリフォームではほとんど手を入れなかった2階と3階のようで、ちょっと変わった作りになっている場所を見つけられては「不思議だ・・・」としばらく佇んでらっしゃいました。納得がいかない空間構成のようで、ずいぶん理解に困ってらっしゃったようにも見受けられました。住人として、当たり前の空間になりつつあるこの住宅が、いかに「変わったものであるか」を久しぶりに感じました。確かに、私たちも最初に訪れた時はすっと理解できず、繰り返し訪れて体で覚えようとした住宅でした。私たちだったらこんな風にはデザインしないだろうな・・・・と思う空間ではあるものの、実際にある空間は魅力があるという、説明しづらい住宅。
 印象的だったのは鈴木さんの感想で、既存の吹き抜け空間にリフォーム時に設置した家具(脚長椅子)をご覧になって「この家具は、元々の風変わりな空間を私たちは受け入れましたというオマージュですね」とおっしゃった言葉。私の実感としても、この住宅のリフォームは、既存の空間があまりに普通でないことに誘われるようにして進めたように感じます。そして住む段階になっても、無駄な空間がたくさんありすぎて、それらを使いこなすのに日々知恵を絞っています。
 一筋縄ではいかない石神井台の家、取材に来ていただいて、住む器としての魅力を改めて発見したように思います。

 この取材の内容は7月に発売される「住まいの設計9・10月号」に掲載される予定です。よろしければご覧ください。